バニシングツインはよくある現象?母体・胎児への影響と双子の種類について【医師監修】

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妊娠したら15週目までに
NIPTを検討しましょう

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この記事のまとめ

この記事ではバニシングツインの概要やどのようなシチュエーション・時期に起こるか、母体や胎児への影響などを紹介します。症状への理解を深め、もし起こってしまったときに残された赤ちゃんにしっかり目を向けられるようにしましょう。

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バニシングツインとは:双胎一児死亡

バニシングツインとは、妊娠した双子の赤ちゃんのうち1人がお腹の中から消えてしまう現象のことです。多くのケースで妊娠初期に発生します。一般的に妊娠したときの胎児が1人の場合は、初期に流産すると自然に排出されます。自然排出ができない場合は子宮内容除去術を行うケースもあります双子を妊娠すると、片方の胎児が亡くなっても自然排出されず母親の子宮内に残り、そのまま吸収されるのです。医学的には双胎一児死亡と呼ばれています。

バニシングツインは珍しい症状ではない

双子の1人が消失と聞くと珍しい症状と思われがちですが、医学の進歩により実は、バニシングツインはよく起こっていた症状だとわかったのです。昔は双子の出産自体が珍しく、ほとんど起こらないと考えられていました。近年、超音波検査で精密なデータが取得できるようになり、気づいていないだけで引き起こされていたと判明してきました。また、晩婚化が進む現代において、高齢出産や不妊治療が発生率を上げているとの指摘もあります。

バニシングツインは三つ子でも起こる?

三つ子の場合は、多胎一児死亡と表現します。多胎一児死亡とは、妊娠した三つ子の赤ちゃんのうち1人あるいは2人がお腹の中から消えてしまう現象です。三つ子のときは双子よりも発生率が高いといわれています。また、1人だけ亡くなるのか、2人亡くなるのかは、そのときによって異なるのも特徴的です。発生の要因はさまざまなため、一概に亡くなる赤ちゃんは1人だけとは言い切れません。

バニシングツインは心拍確認後でも起こる

妊娠初期に超音波検査で、双子の赤ちゃんの心臓が2つとも正常に働いていると確認した後にも、バニシングツインが起こる可能性はあります。生きているのを確認できた後も妊娠中期に入るまでは消失のリスクが伴うでしょう。双子を妊娠したら早めに超音波検査を受けて、症状が生じていないか調べることが大切です。

隠れバニシングツインに注意

隠れバニシングツインとは、最初の診断で赤ちゃんは1人であるといわれていたにもかかわらず実は双子で妊娠しており、1人は検査で判明する前に亡くなっていたという現象です。知らず知らずのうちに起こっていると、NIPT(新型出生前診断)において、亡くなった赤ちゃんの組織を検出してしまい、偽陽性や偽陰性が発生しやすくなってしまいます。

特に、二卵性の赤ちゃんは遺伝子を分け合っていません。そのため、NIPTの検査結果で陽性が出ても、亡くなった赤ちゃんの組織であった場合は、生きている赤ちゃんには何も問題がないというケースがあります。

バニシングツインは妊娠6~8週に起こりやすい

バニシングツインは染色体異常が関係しているといわれていますが、明確な原因はわかっていません。しかし、多くのケースで妊娠初期の早い段階で起きていることがわかってきました。近年、超音波検査の技術が発展したことにより多くの症例が発見されるようになってきています。

妊娠初期

妊娠6週になると超音波検査で胎児心拍の確認が可能です。6~8週頃に起こりやすいため、検査により胎児の数と心音が一致しない場合は経過を観察する必要があります。胎児の体が重なっていると正確に観察できないため何度か確認を行います。

妊娠中期

妊娠中期の場合は、心臓の活動が一つになっているかで判断します。もし妊娠12週以降にバニシングツインが発覚したら、妊娠初期と同じように自然吸収されるのを待つのが一般的です。

バニシングツインによる母体への影響

亡くなった胎児が体内に残っていることで感染源になるリスクはありません。また、バニシングツインによる母体への影響はほとんどないといわれていますが、まれに以下のような症状が引き起こされます。

hCGの値が低くなる

妊娠中のhCG(妊娠成立に伴い上昇するホルモン)の値が、双子が正常に発育している場合の値と比較して低い数値が出ている場合は発生を疑います。

妊娠糖尿病になりやすくなる

バニシングツインのあと、母親が妊娠糖尿病になることが多いという研究報告があります。亡くなった双子の1人がどのように作用し影響を及ぼしているかは、はっきりしていません。また、妊娠と糖尿病が深くかかわっている要因としては、インスリン抵抗性が上がる(血糖値を正常範囲に戻すためのインスリンが効きにくい状態になる)ためということが挙げられます。

分娩への影響はほとんどない

妊娠14週以前に起きたバニシングツインによる分娩への影響はないと考えられています。ただし、妊娠14週後に起きた場合は、前期破水や低出生体重児のリスクを高めると報告されているのです。また、二卵性より一卵性の分娩で影響が出やすく、亡くなった胎児の数やお母さんの年齢も影響を及ぼすといわれています。

バニシングツインによる胎児への影響

検査

妊娠初期のバニシングツインは胎児にほとんど影響を与えないとされていますが、妊娠中期を過ぎてからは、いくつかの影響があると考えられています。

寄生性双胎児の発生

寄生性双胎児とは、吸収されて消失したはずの胎児の歯や髪、指などが、もう一方の胎児の身体の中から発見されたり、残された組織が栄養を摂取して大きく育ってしまったりすることです。大きく育ちすぎてしまうと分離手術が必要です。消失した胎児の一部がもう1人の胎児の中に宿る寄生性双胎児は、約50万人に1人の確率で生じるといわれています。

親と異なる血液型の発生

バニシングツインが起こっていると、生まれてきた赤ちゃんの血液型が親と異なるケースがあります。マイクロキメリズムと呼ばれる現象で、通常赤ちゃんはお母さんとお父さんのDNAをそれぞれ1セットずつ受け継ぎますが、もう一つ別のDNAを持った状態で生まれてきてしまうのです。3セット目のDNAがあることで血液型が異なってしまったと考えられています。バニシングツインでは、この3セット目のDNAが亡くなった双子のもう1人の赤ちゃんのものでした。胎児は吸収され消失していましたが、残されたDNAが生まれてきた赤ちゃんに吸収されていたのです。このように不思議な現象をも引き起こしています。

双子の妊娠がわかる時期とは

妊娠しているのが双子であるかどうかは、妊婦検診の超音波検査で確認できます。また、二卵性双胎と一卵性双胎でわかる時期が異なります。

二卵性双胎がわかる時期

二卵性双胎だとわかるのは、妊娠5~6週から7~8週頃といわれています。二卵性双胎は二絨毛膜二羊膜双胎のため、赤ちゃんを包んでいる胎嚢が2つあるかを超音波で確認します。妊娠5~6週でわかるのが胎嚢の数、7~8週でわかるのが胎児の数です。

一卵性双胎がわかる時期

一卵性双胎だとわかるのは、妊娠5~6週から7~8週頃といわれています。一卵性双胎は二絨毛膜二羊膜双胎、一絨毛膜二羊膜双胎、一絨毛膜一羊膜双胎の3つのタイプに分かれます。二絨毛膜二羊膜双胎は二卵性双胎と同じように胎嚢が2つあるかを超音波で確認。一絨毛膜二羊膜双胎や一絨毛膜一羊膜双胎は、胎嚢が一つのため目視では確認できません。6〜7週目以降に確認できる心拍によって、1人か双子かを判断します。

NIPT(新型出生前診断)はバニシングツイン経験者も受けられる

バニシングツインが発生した妊婦さんでもNIPT(新型出生前診断)は受けられます。出産前に発覚し、不安を抱える妊婦さんの中には残された赤ちゃんの遺伝子に異常がないか確認しておきたいと考える方も多いでしょう。ただし、亡くなった赤ちゃんの遺伝子が子宮内に残っており、誤ってその遺伝子を検出してしまう可能性があります。一卵性双胎児の場合、双子のDNAは同じため検査結果に影響しません。しかし、二卵性双胎児の場合、双子のDNAが異なるため偽陽性や偽陰性のリスクがあります。そのため、NIPTだけで判断せず羊水検査で結果を確定させることが大切です。

世界最高水準のNIPT
新型出生前診断(NIPT)とは、「お母さんから採血した血液から胎児の、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、1...

Q&A

  • Q
    一卵性双胎とは何ですか?
    一卵性双胎とは、一つの受精卵から生まれた双子のことです。遺伝情報が同じであるため、性別や血液型が同じで容姿もそっくりに育つことが多い傾向です。身近にいる顔や背丈がそっくりな双子は一卵性の可能性が高いでしょう。
  • Q
    二卵性双胎とは何ですか?
    二卵性双胎とは、2つの受精卵から生まれた双子のことです。遺伝情報は異なるため、性別や血液型も異なるケースがあり、個人差はありますが容姿は一卵性ほどそっくりにならない場合もあります。
  • Q
    双胎の膜性とは何ですか?
    一卵性双胎には3種類の膜性があります。
    ・二絨毛膜二羊膜双胎(DD双胎):2つの胎盤と2つの部屋を持っている膜性
    ・一絨毛膜二羊膜双胎(MD双胎):1つの胎盤と2つの部屋を持っている膜性
    ・一絨毛膜一羊膜双胎(MM双胎):1つの胎盤と1つの部屋を持っている膜性

    簡単にいうと、絨毛は胎盤の数、羊膜は赤ちゃんが成長する部屋を表しています。

妊婦さんにおすすめの温活方法。寒い時期にやるべき冷え対策を詳しく解説。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

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記事の監修者


岡 博史先生

岡 博史先生

NIPT専門クリニック 医学博士

慶應義塾大学 医学部 卒業

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