産まれてくる赤ちゃんがダウン症だったら、どう向き合うべき?【医師監修】

ダウン症の生活実態

もし、自分が出産した赤ちゃんがダウン症だったら、どのように向き合ったらよいのかわからなくなってしまうかもしれません。向き合い方がわからなくなるのは、ダウン症について理解が不足していることも一つの原因です。今回の記事では、ダウン症について紹介し、どう向き合っていけばよいのか解説します。

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赤ちゃんがダウン症と分かり向き合う家族のイメージ

「おなかの赤ちゃんが、ダウン症かもしれない」。検査でそう告げられたとき、多くの方が頭が真っ白になったと振り返ります。喜びと不安が入り混じり、これからどうすればいいのか分からなくなる——その気持ちは、決しておかしなものではありません。同じように戸惑い、涙し、そして少しずつ前を向いていったご家族が、これまでにたくさんいらっしゃいます。

この記事では、赤ちゃんがダウン症だと分かったとき、あるいはその可能性を告げられたときに、どう気持ちを整理し、向き合っていくかをまとめます。検査の仕組みや医学的な選択肢そのものは別記事にゆずり、ここでは心の揺れと、家族での支え合いに焦点をあてます。なお本記事は、妊娠を続けることも、続けないことも、どちらかを勧めるものではありません。ご夫婦が納得して選ぶための、心の整理の助けとしてお読みください。

💡 この記事でわかること

  • 診断を知った直後に、まず知ってほしいこと
  • 気持ちの揺れは自然な反応だということ
  • 正確な情報の集め方と、確かめるべき順序
  • パートナーやきょうだいと支え合う方法
  • ひとりで抱えないための相談先

赤ちゃんがダウン症と分かったら、まず知ってほしいこと

いちばん最初にお伝えしたいのは、あわてて結論を出さなくていいということです。そして、そうなったのはあなたのせいではありません

ダウン症は、受精のときに偶発的に起こる染色体の変化が原因です。妊娠中の行動や生活習慣、親のどちらかの責任ではありません。自分を責める必要は、まったくないのです。また、非確定検査で「可能性が高い」と言われた段階では、まだ確定していないことも少なくありません。まずは深呼吸をして、正確に知ることから始めましょう。不確かなまま思い悩む時間より、事実を一つずつ確かめる時間のほうが、心をずっと落ち着かせてくれます。検査の種類や確定診断との違いについては出生前検査で分かるダウン症のリスク・確率・検査に詳しくまとめています。

気持ちの揺れは、自然な反応です

ショック、悲しみ、戸惑い、そして時には怒り。さまざまな感情が押し寄せても、それは弱さではなく、ごく自然な反応です。無理に前向きになろうとしなくて大丈夫です。

多くの方が、受け止めるまでに時間をかけます。泣きたいときは泣いていいし、気持ちが揺れる日があって当たり前。心が追いつくスピードは、人それぞれです。他の家族と比べる必要はありません。Xでは、検査の結果を待つ日々のことを綴る投稿も多く見かけます。@aki00725さんは、「NIPTの結果を聞いてから羊水検査まで、あわただしいスピード感だった」と、揺れる気持ちのなかで検査に臨んだ体験を綴っていました。私も外来で、この時期のご夫婦の張りつめた表情を何度も見てきました。だからこそ、感情に蓋をせず、少しずつ整理していくことが大切だと感じています。

心の受け止め方には、いくつかの段階があるとも言われます。最初は事実を受け入れられない時期、次に感情が大きく揺れる時期、そして少しずつ現実と折り合いをつけていく時期。この流れは一直線ではなく、行きつ戻りつしながら進みます。「昨日は前を向けたのに、今日はまた落ち込んでしまった」——それも自然な過程の一部です。焦らず、自分の心の動きを責めないでください。時間という薬が、少しずつ力を貸してくれます。

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ダウン症のある子どもと家族が向き合うイメージ

正確な情報を、正しい順序で集める

不安なとき、人はつい情報をかき集めてしまいます。けれども、不確かな情報に振り回されると、かえって混乱が深まります。集める順序を意識しましょう。

まず確かめたいのが、いま受けた検査が非確定検査か確定検査かです。NIPTなどの非確定検査は「可能性」を示すもので、診断の確定には羊水検査などの確定検査が必要です。次に、遺伝カウンセリングで専門家から結果の意味を聞くこと。産婦人科・小児科・臨床遺伝の専門家が、中立の立場で見通しを説明してくれます。この段階を踏むことで、はじめて落ち着いた話し合いができます。ネットの断片的な情報より、専門家との対話を優先してください。とくにSNSや掲示板には、不安をあおる情報や、事実と異なる書き込みも混じっています。つらいときほど、情報源が信頼できるかどうかを立ち止まって確かめることが、心を守ることにつながります。公的な情報源としては、公益財団法人日本ダウン症協会や、こども家庭庁の障害児支援のページが信頼できます。

パートナーと支え合う

この時期を乗り越える大きな力になるのが、パートナーとの支え合いです。ひとりで抱え込まず、気持ちを分かち合いましょう。

受け止め方や、心が追いつくスピードは、夫婦の間でも違って当たり前です。片方がまだ整理できていないのに、もう片方が先に進もうとすると、すれ違いが生まれます。とくに、感情の表し方には男女差や個人差があり、「冷たいのでは」と誤解が生じることもあります。表に出さないだけで、同じように悩んでいる場合も多いのです。大切なのは、相手の気持ちを否定せず、同じ方向を向いて一緒に考えること。どちらかが我慢を抱え込むと、後になってしこりが残ります。思っていることを、少しずつでも言葉にしてみてください。うまく話せないときは、遺伝カウンセリングの場に二人で参加し、専門家を交えて話すのも良い方法です。Xで@7700goさんは、外出先で見かけたご夫婦について「夫婦そろって、しっかりお子さんに向き合っていた」「今の時代、仕事に逃げたり妻に押し付けたりする夫は少なくなった」と綴っていました。二人で向き合う姿は、周りにも温かく映ります。私も、ご夫婦で相談に来られると、その表情が回を重ねるごとにやわらいでいくのをよく目にします。

きょうだいへの伝え方

上のお子さんがいる場合、「どう伝えればいいのか」も悩みどころです。年齢に応じて、正直に、けれど不安をあおらない形で伝えることが基本になります。

小さなお子さんには、むずかしい言葉より「ゆっくり大きくなる赤ちゃんなんだよ」といった、やさしい言葉が届きます。子どもは大人が思う以上に敏感で、家の中の空気の変化を感じ取っています。何も知らされないほうが、かえって不安を募らせてしまうこともあります。伝えるべきか迷う気持ちも、ごく自然なものです。Xで@aki00725さんは、「小6の息子と小3の娘に、赤ちゃんのダウン症のことを産まれる前にどう伝えるか、伝えた方がいいのか悩む」と投稿していました。同じように悩む親御さんは、決して少なくありません。正解はひとつではなく、家庭の状況に合わせて選んでいくものです。きょうだいが感じる不安にも耳を傾け、「あなたのことも大切だよ」というメッセージを添えると、家族全体の安心につながります。上のお子さんが「自分は後回しにされている」と感じないよう、一対一で向き合う時間を意識してつくることも助けになります。きょうだいを支える活動を行う団体も各地にあり、同じ立場の子ども同士が出会える場も広がっています。

これからの暮らしの見通しを知る

不安の多くは、「この先どうなるか分からない」ことから生まれます。生まれた後の暮らしの見通しを知ると、漠然とした不安が、具体的な準備へと変わっていきます。

いまや医療の進歩でダウン症のある方の平均寿命はおよそ60歳まで延び、療育や教育、就労の選択肢も大きく広がっています。決して、閉ざされた未来ではありません。地域で働き、趣味を楽しみ、自分らしく暮らす方は大勢います。診断を告げられた直後は、どうしても不安な情報にばかり目が向きがちですが、実際の暮らしには、たくさんの笑顔と可能性があります。この事実を知っておくだけでも、心の重さは少し変わるはずです。療育の進め方はダウン症のある子どもの療育と生活、使える支援制度はダウン症児の支援制度〜教育・医療〜、成人後の暮らしはダウン症のある人の健康と生活の実態にまとめています。先を知ることは、心の準備を助けてくれます。ただし、どんな選択をするにしても、それはご夫婦自身が決めることです。私たちは、その選択に優劣を持ち込むことはしません。

ひとりで抱えないための相談先

最後にお伝えしたいのは、この悩みをひとりで、あるいは夫婦だけで抱え込まないでほしいということです。頼れる相手は、想像以上にたくさんいます。

まずは遺伝カウンセリングの専門家。医学的なことを、中立の立場で相談できます。次に、同じ経験をしてきた当事者家族や親の会。「気持ちを分かってもらえる」という安心感は、専門的な説明とはまた違う支えになります。実際に育てている家族の話を聞くと、想像していた不安と現実とのギャップに気づくことも少なくありません。日本ダウン症協会の各地の支部や、地域の相談窓口が入口になります。オンラインで先輩家族とつながることもできます。話すこと、聞いてもらうこと。それだけで、張りつめた心はずいぶん軽くなります。誰かに話すのがつらいときは、まずは電話やLINEでの相談から始めてみるのもひとつの方法です。顔を合わせずに話せる分、気持ちを打ち明けやすいこともあります。どんな選択に向かうとしても、支えてくれる人は必ずいます。あなたは、決してひとりではありません。

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よくある質問(FAQ)

赤ちゃんがダウン症と分かったときの向き合い方について、ご相談でよくいただく質問にお答えします。

ダウン症は自分のせいでしょうか?

いいえ。ダウン症は受精のときに偶発的に起こる染色体の変化が原因で、妊娠中の行動や生活習慣とは関係ありません。ご自身を責める必要はまったくありません。

検査で可能性が高いと言われました。もう確定ですか?

NIPTなどの非確定検査では確定しません。診断には羊水検査などの確定検査が必要です。まずは遺伝カウンセリングで結果の意味を確認してから、次を考えましょう。

気持ちが落ち込んで前を向けません。

ショックや悲しみは自然な反応です。無理に前向きになる必要はありません。心が追いつくスピードは人それぞれです。ひとりで抱えず、専門家や当事者家族に気持ちを話してみてください。

夫婦で気持ちがすれ違ってしまいます。

受け止め方やスピードは夫婦でも違って当然です。相手の気持ちを否定せず、同じ方向を向いて一緒に考えることが大切です。第三者である専門家を交えて話すのも有効です。

上の子にどう伝えればいいですか?

年齢に応じて、正直に、けれど不安をあおらない言葉で伝えます。小さな子には「ゆっくり大きくなる赤ちゃん」といった表現が届きます。きょうだいの不安にも耳を傾けてください。

どこに相談すればいいですか?

遺伝カウンセリングの専門家、日本ダウン症協会や地域の親の会、相談窓口が入口です。同じ経験をした家族とつながると、専門的な説明とは違う安心が得られます。

まとめ

赤ちゃんがダウン症だと分かったとき、あわてて結論を出す必要はありません。それはあなたのせいではなく、気持ちが揺れるのも自然なことです。まずは非確定検査か確定検査かを確かめ、遺伝カウンセリングで正確に知ること。そのうえで、パートナーやきょうだいと支え合いながら、あせらず、ゆっくり向き合っていきましょう。

生まれた後の暮らしには、療育も教育も、支援制度も、たくさんの選択肢が広がっています。どんな選択をするとしても、それはご夫婦が納得して決めること。私たちはその選択に優劣を持ち込みません。ひとりで抱えず、どうか頼れる人を頼ってください。私たちヒロクリニックNIPTも、検査のご相談から気持ちの整理まで、あなたのペースに合わせてそっと伴走します。


監修:岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director。慶應義塾大学医学部卒業。日本とアメリカの医師国家試験に合格し、医学博士。国内でも数少ないラボディレクター資格を持ち。著書『妊娠したら最初に読んで欲しい本』。本記事は医療広告ガイドラインに配慮し、公的機関・学会の情報を参照して作成しています。妊娠の継続に関する選択は、正確な情報と十分な相談のうえ、ご本人・ご夫婦が決めるものです。

もし、自分が出産した赤ちゃんがダウン症だったら、どのように向き合ったらよいのかわからなくなってしまうかもしれません。向き合い方がわからなくなるのは、ダウン症について理解が不足していることも一つの原因です。今回の記事では、ダウン症について紹介し、どう向き合っていけばよいのか解説します。

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医師監修 監修日:2022年1月14日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2022年1月14日
花澤 司 (医師/ヒロクリニック大宮駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2022年1月14日
陽川 英仁 (医師・医学博士/ヒロクリニック大阪駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

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