産まれてくる赤ちゃんがダウン症だったら、どう向き合うべき?【医師監修】

ダウン症の生活実態

もし、自分が出産した赤ちゃんがダウン症だったら、どのように向き合ったらよいのかわからなくなってしまうかもしれません。向き合い方がわからなくなるのは、ダウン症について理解が不足していることも一つの原因です。今回の記事では、ダウン症について紹介し、どう向き合っていけばよいのか解説します。

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ダウン症とは

ダウン症とは、細胞の中にある両親からの遺伝子やDNAを含む染色体に異常が生じて発症する疾患です。

染色体は通常、父親から23本、母親から23本受け継ぐため、合計46本あります。しかし、ダウン症では21番目の染色体が1本多くなってしまうことで、さまざまな知的・身体的障がいをきたしてしまうのです。

ダウン症は1866年に発表された疾患で、論文を報告したダウン医師の名前からダウン症といわれています。染色体に異常が生じて発症する染色体異常の中では、最も頻度が高いとされる疾患の一つです。その発症頻度は、600〜800人に1人とされています。

ですが、母親の出産年齢が高くなるにつれて、赤ちゃんがダウン症になる可能性も高まっていくことが特徴です。また、母親がダウン症である場合は、ダウン症ではない母親と比べて、赤ちゃんがダウン症になる可能性が高くなります。

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ダウン症候群の顔貌に関して

ダウン症を発症すると、顔貌に特徴が現れます。

主なダウン症の顔貌の特徴は、以下のとおりです。

  • 小さい頭
  • 広く扁平な鼻
  • 細くつり上がった眼
  • 大きい舌
  • 首の後ろの過剰な皮膚 など

ダウン症になると、必ずしもすべての顔貌の特徴が生じるわけではありませんが、これらの特徴的な顔貌になる傾向があります。

顔貌以外に身体的な特徴としては、全身の筋緊張の低下や指が短い、低身長などがあり、運動量の乏しさや食の偏りなどから肥満になるリスクも高いです。

ダウン症候群の合併症に関して

ダウン症になると、さまざまな合併症を発症する可能性があります。約50%に先天性の心疾患がみられ、心疾患の中でも心室中核欠損症と共通房室弁口という症状が最も発症頻度が高いです。

そのほかにも、消化管の合併症を発症する頻度が高く、十二指腸の閉塞・狭窄や腸管の神経異常であるヒルシュスプリング病、吸収不良を引き起こすセリアック病などがよくみられます。また、甲状腺機能低下症や糖尿病、血小板減少症など、全身に様々な合併症を発症する可能性があります。

医療が発達していなかった頃は、合併症が原因となって、ダウン症の方は短命とされていました。しかし、現在では、ダウン症の合併症の治療が可能となったことで、平均寿命が60歳前後まで伸びており、70代や80代まで生存する方もいます。

ダウン症の子ども

ダウン症候群の知的障害に関して

多くのダウン症の方は、さまざまな身体症状とともに知的障がいが生じます。

知的障がいの程度は、IQが50〜75程度の軽度知的障がいの方からIQ20〜35程度の重度知的障がいの方など幅広いです。そのほかにも、注意力の欠如や多動症、自閉的な行動をとることがあり、自閉的な行動は知的障がいが顕著であると、より発生率が高いといわれています。また、うつ病になるリスクも高いことが特徴です。

このようにダウン症の方は、知的障がいがあることから、同年代の子に比べて知的発達に遅れが生じます。ですが、遅れは生じていても発達はしていくため、ゆっくりと本人に合わせた支援をおこなっていくことが大切です。

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エコーでダウン症はいつからわかる?

超音波を使用して検査するエコー検査で、胎児がダウン症である可能性を見つけることが可能です。

エコー検査でダウン症の可能性を見つけられるのは、大体11週以降といわれています。なぜなら、ある程度胎児が成長していないと、ダウン症による特徴を見つけることが難しいからです。

エコー検査で見つけられるダウン症の特徴には、後頭部や首の後ろのむくみや鼻の骨の成長度合い、心臓の血液の逆流などがあります。

ただし、エコー検査はダウン症を確定する検査ではありません。そのため、エコー検査でダウン症の疑いがあると診断されたら、ダウン症かどうかを確定するために別の検査が求められます。

年齢別のダウン症になる確率

ダウン症は、母親の出産年齢が高くなるにつれて、発症する確率が高くなることが特徴です。

以下に、年齢別のダウン症になる確率を紹介します。

母親の年齢ダウン症の子が生まれる割合母親の年齢ダウン症の子が生まれる割合
201667人に1人(0.06%)4350人に1人(2%)
251250人に1人(0.08%)4438人に1人(2.63%)
30952人に1人(0.11%)4530人に1人(3.33%)
35385人に1人(0.26%)4623人に1人(4.35%)
40106人に1人(0.94%)4718人に1人(5.56%)
4182人に1人(1.22%)4814人に1人(7.14%)
4264人に1人(1.56%)4911人に1人(9.09%)

このように母親の年齢が高くなると、段々とダウン症の子が生まれる確率も高くなっていくと報告されているのです。

また、ダウン症だけではなく、そのほかの染色体異常症を発症する確率も高くなります。

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ダウン症の胎児の頭の大きさは?

ダウン症の胎児は、ダウン症ではない胎児と比べて、頭が大きいことが特徴です。

BPD(Biparietal Diameter)という頭蓋骨の横幅とFOD(Front Occipital Diameter)という頭蓋骨の縦幅を測定し、平均値よりも大きければダウン症の疑いがあります。

ダウン症の胎児の平均的な体重は?

ダウン症の胎児は、ダウン症ではない胎児に比べて、平均的な体重が低くなる傾向にあります。ダウン症の胎児の体重を調査した公的なデータは公表されていないため、具体的な平均体重はわかっていません。

しかし、ある病院の調査データによると、ダウン症の出生時の平均体重が2,620gであったという報告があります。日本における赤ちゃんの出生児の平均体重が約3,000gであることから、ダウン症の胎児の平均体重はやや軽いといえるでしょう。

ダウン症の胎児のエコー写真

ダウン症の胎児のエコー写真には、これまでお伝えしたように、ダウン症に多い特徴的な身体所見がみられます。

エコー写真は、定期的におこなわれる妊婦検診で実施されるため、出産までに一度も検査を受けないということは基本的にはありません。

エコー写真は超音波を用いた検査であり、お腹に検査器具を当てていくだけで胎児の状態がわかります。レントゲンのように放射線の被曝がないため、安心しておこなえる検査です。

妊娠9か月エコー写真ではっきりと分かるダウン症

妊娠9か月ころになると、胎児の身体の機能もだいぶ成長し、ほとんど産まれてくるときの赤ちゃんの姿形になってきます。目鼻や頭の形などの判断がつきやすくなるため、妊娠9か月ころに撮影したエコー写真では、はっきりとダウン症の特徴を見つけられる可能性があります。

ダウン症が軽症な場合

ダウン症は細かく分類すると、以下の3つに分類されます。

このうち、モザイク型といわれるダウン症は、ダウン症全体の1〜2%の発症率で、ダウン症の症状が軽症である場合が多いとされています。

ダウン症が軽症な場合の特徴としては、知的障がいや身体障がいの程度が軽く、合併症の発症リスクも重症のダウン症と比べて低いです。ダウン症による障がいの影響が比較的少ないため、一般社会のなかで自立した生活を送る方もいます。

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ダウン症の一般的な寿命

ダウン症の方の一般的な寿命は、現在のところ約60歳という報告があります。

以前までは、合併症の影響によりダウン症の方は短命でしたが、治療技術の向上とともに、ここ20〜30年で飛躍的に寿命が伸びているのです。

そのため、成人したダウン症の方と社会の中で共に生活を送っていくことは、それほど珍しいことではありません。

ダウン症児のケア

ダウン症の赤ちゃん出産直後からのケア

出産直後の赤ちゃんは、ダウン症であることに気づかれないことがあります。

もし、生活の中で赤ちゃんの筋緊張が低かったり、授乳に時間がかかったりといった違和感を感じたら、医師に伝えましょう。

ダウン症は知的・身体的な症状に加えて、合併症に注意が必要です。

ダウン症の赤ちゃんの出産直後からのケアとしては、赤ちゃんの様子の変化に注意し、医療機関の適切なサポートを受けましょう。

もし、自分の子どもがダウン症であったら、はじめは不安に感じてしまうかもしれません。しかし、ある側面ではダウン症は個性だと捉えることもできます。適切なケアをおこないながら、愛情を持って育んでいくことが大切です。

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まとめ

今回は、ダウン症の赤ちゃんとどう向き合うかについて解説しました。

突然、自分の子どもがダウン症だと知らされたら、多くの方が不安や焦りを感じてしまうのは当然のこと。ダウン症について知らなければ、正しく向き合っていくことも難しいため、ダウン症とはどのような疾患なのか知ることも重要です。

また、ダウン症NIPT(新型出生前診断)によって、出産前に胎児がダウン症であるかどうか見つける検査ができます。確定診断ではありませんが、エコー検査で妊娠を確認後であれば、高い確率で胎児がダウン症であるかどうか見つけられます。

産まれてくる赤ちゃんがダウン症なのか、そのほかの染色体に異常がある疾患はないか調べたいという方は、ヒロクリニックNIPTまでお気軽にお問い合わせください。

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もし、自分が出産した赤ちゃんがダウン症だったら、どのように向き合ったらよいのかわからなくなってしまうかもしれません。向き合い方がわからなくなるのは、ダウン症について理解が不足していることも一つの原因です。今回の記事では、ダウン症について紹介し、どう向き合っていけばよいのか解説します。

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記事の監修者


伊藤 雅彦先生

岡 博史先生

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