このページでわかること
- 全染色体異数性検査とは何か(1〜22番の常染色体と性染色体すべての「数の異常」を調べる検査)
- トリソミー・モノソミーの違いと、13・18・21番以外の異常が持つ意味
- 初期型NIPTとの違いと、性染色体まで含めて調べる意義
- 絨毛検査・羊水検査での陽性率と、トリソミーのタイプ別の報告データ
- 検査で陽性が出たあとの流れ(羊水検査での確定・プラン診断)
監修:岡 博史(ヒロクリニック統括院長)/NIPT(新型出生前診断)は対象を絞って調べる非確定的検査です。結果が陽性でも診断が確定するわけではなく、確定には羊水検査などの確定的検査が必要です。
NIPTと調べると、1番染色体、21番染色体、全染色体など多くのことが数字で説明されていませんか?
そもそもなんで番号があるの?と思う方も少なくありません。
染色体には常染色体(1番から22番)と性染色体(XとY染色体)が存在します。
常染色体は1番から22番までの番号が振られており、その長さによって長い順に1番から番号が振られています。
1番~22番の全染色体検査はこの常染色体の遺伝子情報を持つ領域を中心に全体的に調べています。
この検査は、染色体に異常があると身体や発達に影響を及ぼすことがあるため、胎児の健康を調べる際に非常に重要な役割を果たします。
全染色体検査とは
初期型NIPTでは主に21番、18番、13番染色体トリソミーを対象に検査が行われますが、ヒロクリニックの全染色体異数性検査は初期型に比べ、進化した診断手法となります。
当院の手法では1~22番および性染色体全体の異常(異数性)を包括的に検査し、異常があった染色体についてご報告致します。これは近年ますます注目を集めるようになった手法であり、より包括的な遺伝子情報を提供します。
全染色体異数性検査は、13・18・21番だけでなく1〜22番と性染色体すべての「数の異常」を一度に調べる検査です。
21番、18番、13番染色体トリソミー以外の染色体において異常が見つかる場合、その生存の見込みが低くなることがあります。
特に、13、18、21番常染色体以外の染色体に異常が生じた場合、それは生命の維持に深刻な影響を与える可能性があります。そのため、これらの染色体に対する網羅的な検査が重要です。
世界の出生前診断ガイドラインでは、従来の診断手法では得られなかった性染色体に関する情報も含め、より広範で包括的な染色体異常のスクリーニングが推奨されています。従来の出生前診断では、主に3つの常染色体に焦点を当てていましたが、それらに異常がなかったとしても、性染色体に問題が生じる可能性があることが報告されています。
絨毛生検では約0.56%(約200人に1人)、羊水検査では約0.05%(約2000人に1人)の割合で陽性が出るとされています。これは従来の手法では見逃されていた可能性があり、全染色体異数性検査がその不確実性を減少させる重要な手段となっています。
モノソミーとトリソミーの違いについて
2本で対をなす染色体が1本多くなり、3本となったものをトリソミー、 逆に1本減って1本のみになったものをモノソミーといいます。
通常は2本で対になる染色体が、3本になった状態がトリソミー、1本だけになった状態がモノソミーです。
35歳以上の妊婦さんが基準の理由
初期型NIPTは以前35歳以上の妊婦さんしかNIPT(新型出生前診断)を受検できませんでした。
理由として常染色体異常の発生率が35歳を境に変化するためです。
ヒロクリニックではNIPT(新型出生前診断)検査を受けた19歳〜51歳の検査結果を集計しています。高齢出産の対象年齢は35歳以上と定義されています。
21トリソミー(ダウン症症候群)の陽性結果が出た受検者様809人の内、35歳以上は613人です。
下記画像の通り年齢が上がるごとに増えていることがわかります。
絨毛生検および羊水検査における全染色体異数性の陽性率
| 21、18、13トリソミー | それ以外のトリソミー | |
|---|---|---|
| 絨毛生検での サンプル数 |
5.06% (10,511件中 532件) |
0.56% (10,511件中 59件) |
| 羊水検査での サンプル数 |
1.02% (73,268件中 748件) |
0.05% (73,268件中 30件) |
| 絨毛生検・羊水検査 両方の検査での サンプル数 |
2.1% (11,066件中 235件) |
0.12% (11,066件中 13件) |
1. Konialis C, Pangalos C. Dilemmas in prenatal chromosomal diagnosis revealed through a single center’s 30 years’ experience and 90,000 cases. Fetal Diagn Ther 2015; 38(3):218-232.
2. Comas C, Echevarria M, Rodríguez I, Serra B, Cirigliano V. Prenatal invasive testing: a 13-year single institution experience. J Matern Fetal Neonatal Med 2014 Aug;27(12):1209-12.
全染色体異数性検査で陽性だったトリソミータイプ別の報告
(モザイクを除く)
| トリソミー1 | 枯死卵 |
|---|---|
| トリソミー2 | 生存不能 |
| トリソミー3 | 陽性の報告無し |
| トリソミー4 | まれに:生存不能 |
| トリソミー5 | 生存不能 |
| トリソミー6 | 生存不能 |
| トリソミー7 | 生存不能 |
| トリソミー8 | 生存不能 |
| トリソミー9 | 生存例あり |
| トリソミー10 | 生存不能 |
| トリソミー11 | 生存不能 |
| トリソミー12 | 生存不能 |
|---|---|
| トリソミー13 | 生存例あり |
| トリソミー14 | 生存不能 |
| トリソミー15 | 生存例あり |
| トリソミー16 | 生存不能 |
| トリソミー17 | 生存不能 |
| トリソミー18 | 生存例あり |
| トリソミー19 | 極めてまれ:生存不能 |
| トリソミー20 | 生存例あり |
| トリソミー21 | 生存例あり |
| トリソミー22 | 生存例あり |
全染色体検査についてのよくある質問
Q:全染色体検査であれば胎児の染色体異常はすべてわかりますか?
A:全染色体検査は、1~22番の常染色体および、性染色体が3本あるトリソミー、1本しかないモノソミーといった「数の異常」を検査します。
染色体の数の異常だけでなく、染色体の欠失や重複などの構造異常を検査するには全染色体部分欠失・重複疾患の検査※が必要となります。
全染色体部分欠失・重複疾患については、「全染色体部分欠失・重複疾患とは」をご参照ください。
※ただし、500万塩基以上の異常に限る
Q:全染色体異数性検査と初期型NIPTは何が違いますか?
A:初期型NIPTは13・18・21番の3つの染色体を対象にした非確定的検査です。全染色体異数性検査は、1〜22番の常染色体と性染色体(X・Y)すべての「数の異常」を対象に調べます。どちらも可能性を調べる検査で、確定には羊水検査が必要です。
Q:13・18・21番以外のトリソミーはどのくらい見つかりますか?
A:当院のデータでは、絨毛生検で約0.56%(約200人に1人)、羊水検査で約0.05%(約2000人に1人)の割合で、3つの染色体以外のトリソミーが確認されています。多くは妊娠の継続が難しいケースですが、性染色体の変化など出生後も関わる異常が見つかることもあります。
Q:モノソミー(染色体が1本の状態)も調べられますか?
A:はい。全染色体異数性検査は、トリソミー(3本)だけでなくモノソミー(1本)といった数の異常も対象にします。性染色体が1本のモノソミーX(ターナー症候群)などが代表例です。
Q:検査で陽性が出たらどうすればよいですか?
A:NIPTは非確定的検査のため、陽性の場合は羊水検査などの確定的検査で診断を確定させます。ヒロクリニックでは羊水検査サポートや、医師による遺伝カウンセリングをご用意しています。
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