モノソミーとは~赤ちゃんの幸せを願うあなたに伝えたい【医師監修】

モノソミーとは

生まれてくる赤ちゃんを迎える準備

『生まれる前から、赤ちゃんにできることはないかな?』
『適度な運動、食事には気をつけてるけど…』
『妻にだけ大変な思いをさせ、俺にできることはないだろうか…』

悩みの解決策として、赤ちゃんの遺伝子検査を提案させてください。

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遺伝子検査において、トリソミーの検査はよく知られていますよね。
しかし、染色体の異常はトリソミーだけでなく、モノソミーもあります。

検査をすすめる理由は、生まれてくる赤ちゃんを迎える準備をあなたがはじめられるからです。

たとえば、検査により、赤ちゃんの染色体に異常があったら、

  • 生活の環境を整える
  • サポート機関を探しておく
  • 治療に適した医療機関を探しておく

など、親として、しなければならない準備がたくさんあるでしょう。

もしも、子どもに染色体異常があることを前もって知らないケースを想像してみてください。
きっと、あなたが気がついてあげられるまで、子どもは症状に苦しみ続けています。
さらに、急に子どもの病気が判明したら、あなたも焦ってしまうでしょう。
緊急時に焦ると、人はみないフリをしたり選択を誤ったりするのは、近年起こった災害などでよく知られていますよね。

しかし、生まれる前から、赤ちゃんの遺伝子情報がわかっていれば、今日から準備できます。
とくに、モノソミーで現れる症状は、あなたのサポートがとても大切です。
あなたの行動次第で、子どもがどれだけ快適に過ごせるか決まるでしょう。

本記事を読んでわかることは、

  • モノソミーとはなにか
  • 部分欠失について
  • 染色体の部分欠失とトリソミーの寿命
  • トリソミーとモノソミーの検査結果を得られるクリニックや検査

『生まれてきてくれる赤ちゃんを幸せにしたい』
本記事は、こんなあなたへ向けた情報を提供します。

モノソミーとは染色体が足りていない状態

染色体とは、ヒトの設計図がある場所

染色体は細胞※1の中にあり、ヒトの身体の設計図が記録されている場所です。
設計図を元にヒトの身体が作られます。

染色体に異常があれば、設計図にも影響がでます。
設計図の影響がヒトの身体に起こすのは、さまざまな不具合の可能性。

たとえば、設計図が書きかえられる、または一部がなくなってしまうと、ヒトの身体に必要なものが作られません。

つまり、生きるうえで必要な何かが、足りなくなってしまう可能性があります。

※1 細胞:ヒトの身体を作る一番小さな部品のようなもの。

モノソミー 染色体が足りていない状態

ヒトの染色体の数は46本【1グループにつき2本】

ヒトの染色体は2種類、合計46本あり、

  • 性染色体が2本
  • 常染色体が44本

が内訳です。

性染色体とはヒトの性別に関するもので、どのような性染色体を持つかで男か女かが決まります。
常染色体は、性染色体以外の染色体です。

さらに、染色体2本で1つのグループへわけられています。
性染色体で1グループ、常染色体は22グループ。

常染色体は1番~22番のグループと決められ、数字が小さいほど、染色体は大きいとされています。

モノソミーとは、染色体の2本のうち1本がない状態

1グループにおける染色体が1本足りないのは、ヒトの身体にとって正常ではありません。

たとえば、自転車はタイヤが2つあるから運転できます。
しかし、片方のタイヤが盗まれたり、脱輪したりしたら、正常に自転車を運転できないですよね。

染色体も2本が正常に機能して、ヒトの身体を作ります。
ですが、染色体が1本しか機能していないと、ヒトの身体の設計図が足りません。
設計図の足りない状態は、ヒトの身体にさまざまな不具合を起こします。

モノソミーの疾患の種類

モノソミーは性染色体と常染色体で起こります。
どちらの染色体でモノソミーが起こるかによって、疾患の種類も違います。

性染色体モノソミーとして多くみられるターナー症候群

モノソミー全体の疾患でも、大部分を占めるのがターナー症候群です。

ターナー症候群の症状は軽度です。
しかし、親のサポートがなくては、子どもは快適に過ごせないでしょう。

ターナー症候群は女児、または女性のみに起こります。
難病であり、自然流産の原因にもなる疾患で、性染色体2本のうち、1本が完全になくなっている状態です。

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もし、あなたが子どもに十分なサポートをしてあげられれば、子どもの寿命は健常人と変わらなくなるでしょう。

常染色体のモノソミーは稀

常染色体でもモノソミーも起こります。

しかし、多くは妊娠週数が浅いうちに流産してしまうので、確認されにくい状態です。

染色体の部分欠失

モノソミーと混同しやすいものに、部分欠失があります。

モノソミーは染色体の数の異常で、対になっている染色体の数が1本ないものです。
しかし一方で、対になっている1本の染色体の一部が欠けている場合を部分欠失といいます。

たとえば、2本の染色体を2冊の本(AとB)へ置きかえてみます。

Aの本はちゃんと100ページありますが、Bの本は100ページのうち、5ページ分がありません。

つまり、本は2冊ありますが、うち1冊に一部不備のある状態です。

このような染色体異常は、モノソミーやトリソミーが数的異常であるものに対して構造異常と呼ばれています。

22番染色体の構造異常

22番染色体の構造異常は、常染色体22番目のグループにおいて、染色体2本のうち1本が一部機能していません。

22q13と22q11.2は、

  • 常染色体22番目のグループ
  • qは染色体の腕が長い方(染色体は腕の長い部分と短い部分があります)

までが一緒で、その先の機能しない場所に違いがあります。

22q13欠失症候群

22q13欠失症候群の症状は、

  • 新生児期の筋緊張の低下※1
  • 全体的な発達遅延
  • 過剰な成長
  • 発語の欠如や遅れ

がみられ、生命を脅かす臓器異常はないとされています。

※1 筋緊張の低下:筋肉が動かしづらい状態。赤ちゃんの場合は首がすわりにくかったり、咳が弱いので肺炎になりやすかったりします。

22q11.2欠失症候群

22q11.2欠失症候群の症状は、

  • 精神発達障害
  • 先天性心疾患
  • 免疫機能の異常
  • 特徴のある顔貌
  • 学習障害
  • ADHD

22q11.2に異常がある場合、先天性心疾患がどれだけ深刻かにより、寿命が変わります。
先天性心疾患には、ファロー四微症や大動脈弓離断を伴うケースが多くみられます。

トリソミーと部分欠失の寿命の違い

トリソミーとは、染色体の数が多すぎる状態

性染色体のグループと常染色体の1~22番のグループは、1グループにつき2本の染色体が正常でしたよね?
しかし、トリソミーは1グループにつき3本の染色体がある状態なので、ヒトの身体の設計図が多くなります。

結果、過剰に作られたものが、ヒトの身体にさまざまな悪影響を及ぼします。

つまり、1グループにおける染色体の数は、1本でも3本以上でも、身体に不具合が起こってしまうのです。

部分欠失とトリソミーの寿命を比較

部分欠失とトリソミーの比較において、トリソミーの方が寿命は短くなる傾向。

なぜなら、トリソミーが原因で起こる疾患は、部分欠失と比較し重症度が高いからです。

部分欠失の寿命は先天性心疾患の進行によりますが、他の症状は生命の危険の少ないものが多数。
くわえて、症例数は少ない現状です。

よって、部分欠失とトリソミー全体でみると、トリソミーの方が寿命は短い傾向がみられます。

トリソミーも性染色体と常染色体で起こるパターンがあります。
性染色体よりも常染色体で起こるトリソミーの方が、寿命が短いとされています。

トリソミーと部分欠失の寿命の違い

性染色体トリソミーの寿命は、健常人と変わりない

性染色体トリソミーの症状は軽いものが多く、合併症にさえ気をつければ、寿命は健常人と変わりありません。

性染色体トリソミーには、

があります。

常染色体トリソミーの寿命は、健常人より短くなる傾向

この項目では、常染色体トリソミーの7割を占める3つのトリソミーについて解説します。

具体的には、

21トリソミー(ダウン症候群)

一般的に寿命は、50~60歳。
トリソミーが原因で起こる疾患の約半分を占めています。

常染色体の21番目のグループに、染色体が3本ある状態。

以前の寿命は50~60歳より短いものでしたが、医療の発達に伴い寿命は延びています。

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13トリソミー(パトウ症候群)

一般的に寿命は50%が1か月以内、90%は1年以内。

13トリソミーはほとんど死産になり、出産できるのは4%あたりといわれています。
4%のうち、1年以上生存できるのは10%未満です。

常染色体の13番目のグループに、染色体が3本存在しています。

心疾患などを発症し、死に至るケースが確認されています。

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18トリソミー(エドワーズ症候群)

一般的に寿命は90%が1年以内。

常染色体の18番目のグループに、染色体が3本ある状態。

18トリソミーになると大部分が死産になります。

死産にならない場合は心疾患にくわえ、

  • 肺や呼吸器の合併症
  • 消化器合併症
  • 泌尿器合併症
  • 悪性腫瘍

など、多くの合併症のリスクを抱えています。

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トリソミーとモノソミーの検査が同時にできるのは、ヒロクリニックNIPTだけ

生まれてきてくれる赤ちゃんのため、ヒロクリニックNIPTで遺伝子を検査してみませんか?

ヒロクリニックNIPTである理由は、トリソミーと一緒にモノソミーの検査結果を、母体へのリスクが少なく得られるからです。

他院でモノソミーの結果を得るには、羊水検査や絨毛検査など、胎児や母体にリスクのある検査をしないといけません。

たとえば、モノソミーが原因のターナー症候群は、あなたのサポート次第で、どれだけ子どもが快適に過ごせるか決まるでしょう。ヒロクリニックNIPTは生まれる前に、あなたの選択や準備を助けてくれるシステム。
赤ちゃんの幸せに向けて、前もって準備したいあなたへ、ピッタリな検査ですよね。

妊娠18週目までの方はまだ間に合います

【参考文献】

記事の監修者


川野 俊昭先生

川野 俊昭先生

ヒロクリニック博多駅前院 院長
日本産科婦人科学会専門医

産婦人科医として25年以上、主に九州で妊婦さんや出産に向き合ってきた。経験を活かしてヒロクリニック博多駅前院の院長としてNIPT(新型出生前診断)をより一般的な検査へと牽引すべく日々啓発に努めている。

略歴

1995年 九州大学 医学部卒業
1995年 九州厚生年金病院 産婦人科
1996年 九州大学医学部付属病院 産婦人科
1996年 佐世保共済病院 産婦人科
1997年 大分市郡医師会立アルメイダ病院 産婦人科
1998年 宮崎県立宮崎病院 産婦人科 副医長
2003年 慈恵病院 産婦人科 医長
2007年 日本赤十字社熊本健康管理センター診療部 副部長
2018年 桜十字福岡病院 婦人科
2020年 ヒロクリニック博多駅前院 院長

資格

日本産科婦人科学会専門医
検診マンモグラフィ読影認定医
日本スポーツ協会公認 スポーツドクター
厚生労働省認定臨床研修指導医
日本抗加齢医学会専門医

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