サプリメントに対する考え方【医師監修】

この記事のまとめ

サプリメントは食事の代わりではなく、食事で足りない分だけを補う道具として使ってください。妊活期から妊娠期の栄養は、まず毎日の食事を土台にするのが基本です。ただし葉酸だけは例外で、神経管閉鎖障害のリスクを下げるため、妊娠を計画する時期から付加的に摂ることがすすめられています。一方で脂溶性ビタミン、とくにビタミンAは体に溜まりやすく、摂りすぎが心配な栄養素。迷ったら、自己判断で増やす前にかかりつけの産婦人科へ相談してください。

この記事でわかること

  • サプリは「食事の補助」であって主役ではない、という基本の考え方
  • 葉酸だけが例外的にサプリでの付加的摂取をすすめられる理由と、量・時期の目安
  • 脂溶性ビタミン(A・D・E・K)、とくにビタミンAの摂りすぎに注意する理由
  • 鉄・カルシウム・ビタミンDの役割と、サプリの選び方・相談先
テーブルに並んだ色とりどりのサプリメントと錠剤

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サプリメントは「食事の補助」が基本の考え方

サプリメントは不足分を埋める補助であり、毎日の食事こそが栄養の土台です。妊活や妊娠が近づくと、あれもこれも飲んだほうがいいのではと気になってきます。私も家族の妊娠準備を手伝ったとき、棚に増えていくボトルを見て少し不安になりました。でも順番を間違えないことが肝心です。

自然の食品には、単体の栄養素だけでは説明できない働きがあります。食物繊維や抗酸化物質、いろいろな成分が組み合わさって体を支えているからです。まずは主食・主菜・副菜をそろえた食事で土台をつくり、それでも届かない栄養素をサプリで足す。この順序を守ってください。

毎日の食事(土台) 不足しやすい栄養素の確認 サプリで補助 上にいくほど量は少なく
食事を土台に、足りない分だけをサプリで補うイメージ

食事で足りている栄養素は重ねて摂らない

バランスのよい食事をしていれば、多くのビタミンやミネラルはすでに足りていることがほとんどです。果物や野菜からビタミンCやβ-カロテン、魚や肉からビタミンB群や鉄が自然に入ってきます。すでに届いている栄養素を、サプリで二重に足す必要はありません。

妊娠中の食事全体の整え方は、妊娠糖尿病の食事の記事体重管理の献立の記事も参考にしてください。栄養素の相互作用にも配慮が要ります。たとえば亜鉛を摂りすぎると鉄や銅の吸収が妨げられます。単品を大量に足すほど、バランスは崩れやすくなるもの。

不足しやすい栄養素を先に見極める

自分の食事を振り返り、何が足りていないかを先に確かめてください。菜食中心の方や、つわりで食事量が落ちている妊婦さんは、特定の栄養素が不足しがちです。血液検査や食事内容の見直しで不足を特定できると、必要なサプリだけに絞れます。妊娠前の準備段階の整え方は妊活前・妊娠前に確認したいことの記事も合わせてご覧ください。

葉酸だけは例外|妊娠前から付加的に摂る

葉酸は例外中の例外で、食事に加えてサプリなどから付加的に摂ることが公的にすすめられている栄養素です。理由は、胎児の神経管閉鎖障害という先天的な異常のリスクを下げる働きが知られているからです。神経管がつくられるのは妊娠のごく初期。妊娠に気づく前から準備しておく必要があります。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、妊娠を計画している女性や妊娠初期の女性に対し、妊娠の1か月以上前から妊娠3か月まで、1日400µgの葉酸を通常の食事に加えてサプリメントなどから摂ることがすすめられています(出典:厚生労働省 日本人の食事摂取基準)。妊娠前からの準備という点で、他の栄養素とは扱いが違います。

妊娠前から栄養を整える考え方は、こども家庭庁や国立成育医療研究センターも発信しています(こども家庭庁 母子保健国立成育医療研究センター)。妊娠前からの体づくりは、それ自体が赤ちゃんへの準備。

妊娠前から意識し始める人が増えている

私が話を聞いた妊活中の方は、まだ妊娠する前から葉酸のことを調べ始めていました。まだ授かってもいないのに準備してよいのか、という戸惑いも感じるようです。Xでも@sakuluck01さんが「妊娠前の栄養情報だけは順調に集まっていく…葉酸サプリを買うことは、未来を期待しすぎることなのかな。それとも、自分の体を知るだけなのかな」とつづっていました。妊娠前から葉酸を意識するのは、決して早すぎる行動ではありません。

葉酸そのものの詳しい働きや食品からの摂り方は、葉酸についての記事で詳しく解説しています。食事からの葉酸に加えて、サプリで400µgを足すという二本立てが基本形です。

コップの水と一緒にサプリメントを手に取る様子

脂溶性ビタミン(A・D・E・K)は摂りすぎに注意

脂溶性ビタミンは体に溜まりやすく、サプリで足しすぎると過剰摂取になりやすい栄養素です。水に溶けるビタミンB群やCは余った分が尿へ出ていきます。一方でA・D・E・Kは脂に溶け、肝臓などに蓄積します。だからこそ、単純に「多いほど良い」とはなりません。

ビタミンAは妊娠初期の摂りすぎに要注意

脂溶性ビタミンの中でも、妊娠初期にとくに気をつけたいのがビタミンAです。動物性由来のビタミンA(レチノール)を妊娠初期に過剰に摂ると、胎児の先天的な異常(催奇形性)のリスクが高まると指摘されています。食事摂取基準では、成人のビタミンAの耐容上限量を1日3,000µgRAEとしています(出典:厚生労働省 日本人の食事摂取基準)。レバーやうなぎなどレチノールを多く含む食品や、ビタミンA高配合のサプリを重ねる場面では注意してください。

妊娠準備をしている方の中には、あえてビタミンAを抑える人もいます。私が印象に残ったのは、マルチビタミンを一度やめてビタミンDと葉酸に絞ったという声。Xでも@muu7964さんが「今回は、ビタミンDと葉酸しかサプリは飲んでなかった!マルチビタミンは移植前はたまに飲んでいたけど、ビタミンAも摂りすぎちゃうから移植直前からは辞めていた」と書いていました。摂りすぎを避けるため、あえてサプリを絞るという判断です。

D・E・Kも上限を意識する

ビタミンD・E・Kにも、注意したい点があります。下の表に、脂溶性ビタミンの主な過剰摂取リスクと成人の上限量の目安をまとめました。数値は食事摂取基準に基づく成人向けの目安で、妊娠中は自己判断で上限まで足さないでください。

栄養素摂りすぎたときの主なリスク成人の上限量の目安
ビタミンA頭痛・吐き気・肝障害、妊娠初期は胎児への影響1日3,000µgRAE
ビタミンD高カルシウム血症、腎臓結石、血管の石灰化1日100µg
ビタミンE血が固まりにくくなる、出血傾向1日650〜900mg程度
ビタミンK過剰リスクは低いが、抗凝固薬と干渉することがある個別に医師へ相談
脂溶性ビタミンの過剰摂取リスクと上限量の目安(出典:食事摂取基準)

抗凝固薬などの薬を飲んでいる方は、ビタミンEやKが薬の働きに影響することがあります。持病や服薬がある場合ほど、サプリの追加は自己判断を避けてください。上限は「越えなければ安心」の線であって、「そこまで足そう」という目標ではありません。

鉄・カルシウム・ビタミンDの意味

鉄・カルシウム・ビタミンDは妊娠期に不足しやすい代表格ですが、まず食事から、足りない分をサプリで補うのが基本です。この3つは働きが互いに関係し合っています。役割を知っておくと、むやみに足すのではなく、必要な分だけを補えます。

鉄|貧血予防だが摂りすぎは胃腸に負担

妊娠中は赤ちゃんへ酸素や栄養を送るため、必要な鉄が増えます。不足すると貧血になりやすく、だるさや動悸につながります。ただし鉄は摂りすぎると吐き気や便秘などの胃腸症状が出やすい栄養素。赤身の肉や魚、大豆製品などを食事に取り入れつつ、不足分を医師の指示で補うのが安心です。

カルシウムとビタミンD|骨の材料と吸収の助け

カルシウムは赤ちゃんの骨や歯の材料になります。そのカルシウムの吸収を助けるのがビタミンDです。ビタミンDは日光を浴びることでも体内でつくられますが、日照が少ない生活では不足しやすくなります。乳製品や小魚でカルシウムを、魚やきのこ、日光でビタミンDを補うイメージ。両者はセットで考えると効率的です。

ただしカルシウムを大量に足すと、鉄や亜鉛など他のミネラルの吸収を妨げることがあります。ビタミンDも上限量があり、摂りすぎると高カルシウム血症を招きます。どの栄養素も、足せば足すほど良いわけではありません。

時計とともに置かれたサプリメントと水、飲むタイミングをイメージした様子

妊娠中に誰の子か
分かるDNA親子鑑定

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サプリメントの選び方|成分量と第三者性を見る

サプリを選ぶときは、パッケージの雰囲気ではなく、1日あたりの成分量と第三者の品質チェックの有無を確認してください。同じ「葉酸サプリ」でも、含まれる量や中身は製品ごとに違います。ここでは一般的な見方をお伝えします。特定の商品名を挙げることはしません。

1日あたりの成分量を数字で確認する

まず見てほしいのは、1日分に何がどれだけ入っているかです。葉酸なら400µg付近か、ビタミンAが過剰に配合されていないか。「◯種類配合」といった種類の多さより、必要な栄養素が過不足なく入っているかを数字で確かめてください。他のサプリや食事と合わせて上限を越えないかも、あわせて計算します。

第三者の品質チェックや表示を見る

次に、品質を客観的に確かめる材料があるかを見ます。原材料や含有量の表示が明確か、製造や品質管理の基準が示されているか。効果を過度にうたう宣伝文句より、成分表示が具体的な製品のほうが判断しやすくなります。誇大な言葉は情報ではなく演出。冷静に成分表を読んでください。

迷ったら、かかりつけ医に相談する

妊娠中・授乳中・持病や服薬がある方は、サプリを増やす前にかかりつけの産婦人科へ相談してください。体の状態は一人ひとり違います。ネットの一般論より、あなたを診ている医師の判断のほうが確かです。とくに薬を飲んでいる場合、サプリが薬の効き方に影響することもあります。

妊娠中の体調や検査について不安があるときも、遠慮なく専門家を頼ってください。ヒロクリニックNIPTでは、出生前診断に関する相談を受け付けています。NIPT(新型出生前検査)は13・18・21トリソミーなど対象を絞った非確定的検査であり、結果の確定には羊水検査などが必要という点は、あらかじめ知っておいてください。検査の意味を理解したうえで、納得して選ぶことが大切です。

よくある質問

Q. 妊娠中もサプリメントは飲んだほうがいいですか?

基本は食事から栄養を摂り、不足分だけをサプリで補うのが望ましい形です。ただし葉酸は例外で、妊娠を計画する時期から付加的に摂ることがすすめられています。何をどれだけ飲むかは、かかりつけの産婦人科に相談して決めてください。

Q. 葉酸はいつから、どれくらい摂ればいいですか?

食事摂取基準では、妊娠の1か月以上前から妊娠3か月まで、通常の食事に加えて1日400µgをサプリメントなどから摂ることがすすめられています。神経管がつくられる妊娠初期に間に合わせるため、妊娠前からの準備が目安です。

Q. ビタミンAは妊娠中に摂ってはいけないのですか?

ビタミンAは体に必要な栄養素で、禁止されているわけではありません。ただし妊娠初期に過剰に摂ると胎児への影響が心配されるため、摂りすぎに注意します。成人の上限量は1日3,000µgRAEが目安で、レバーなど高含有の食品や高配合サプリの重複を避けてください。

Q. 鉄やカルシウムはサプリで補うべきですか?

まずは赤身の肉・魚・乳製品・大豆製品などの食事から摂るのが基本です。妊娠中は必要量が増えるため不足しやすいものの、摂りすぎは胃腸への負担や他ミネラルの吸収阻害につながります。不足が疑われるときは、血液検査の結果をもとに医師の指示で補ってください。

Q. サプリメントはどう選べばいいですか?

1日あたりの成分量を数字で確認し、必要な栄養素が過不足なく入っているかを見てください。あわせて、成分表示が明確か、品質管理の基準が示されているかといった客観的な材料を確認します。効果を過度にうたう宣伝より、成分がはっきり書かれた製品のほうが選びやすくなります。

著者・監修

岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director(ラボディレクター)。慶應義塾大学医学部卒業後、日本と米国の医師国家試験に合格し、医学博士を取得。日本に約20人しかいないラボディレクター資格を保有。YouTube「ひろし先生の正しいエビデンス妊娠ch」などで、エビデンスにもとづく妊娠・出生前診断の情報を発信しています。

医師監修 監修日:2024年10月20日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2024年10月20日
花澤 司 (医師/ヒロクリニック大宮駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2024年10月20日
陽川 英仁 (医師・医学博士/ヒロクリニック大阪駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

参考文献

  1. MRC Vitamin Study Research Group. Prevention of neural tube defects: results of the Medical Research Council Vitamin Study. Lancet. 1991 Jul 20;338(8760):131-7.
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  4. Ben-Meir A, Burstein E, Borrego-Alvarez A, Chong J, Wong EG, Behanan TB, et al. Coenzyme Q10 restores oocyte mitochondrial function and fertility during reproductive aging. Aging Cell. 2015 Oct;14(5):887-95.
  5. Balercia G, Buldreghini E, Vignini A, Tiano L, Paggi F, Amoroso S, et al. Coenzyme Q10 treatment in infertile men with idiopathic asthenozoospermia: a placebo-controlled, double-blind randomized trial. Fertil Steril. 2009 May;91(5):1785-92.
  6. Lenzi A, Lombardo F, Sgrò P, Salacone P, Caponecchia L, Dondero F, et al. Use of carnitine therapy in selected cases of male factor infertility: a double-blind crossover trial. Fertil Steril. 2003 Feb;79(2):292-300.
  7. Colagar AH, Marzony ET, Chaichi MJ. Zinc levels in seminal plasma are associated with sperm quality in fertile and infertile men. Nutr Res. 2009 Feb;29(2):82-8.

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