出生前診断はいつからいつまで?種類や時期、診断方法について【医師監修】

出生前診断はいつからいつまで?種類や時期、診断方法について 聴診器 ハート 写真

この記事では、出生前診断をいつからいつまで受けられるか詳しく説明します。NIPTなど種類ごとの時期や費用、陽性だった場合の対応まで網羅しています。

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出生前診断とは

出生前診断とは、お腹の赤ちゃんが生まれる前に、染色体疾患や先天性の病気などを持っていないかを調べる検査の総称です。
検査を受けることで、もし病気が見つかった場合に備えて心の準備をしたり、専門医と出産後の治療計画を相談したりできます。

検査は大きく分けて2種類あります。
まず病気の可能性を調べる「非確定的検査」を受け、そこで陽性だった場合に診断を確定させる「確定的検査」へ進むのが一般的です。
どちらの検査を受けるかはご夫婦の自由な意思で決めるものであり、決して強制されるものではありません。

検査名分類検査時期(目安)特徴・対象メリットリスク・注意点
NIPT(新型出生前診断非確定的検査(血液検査)妊娠6週~22週染色体異数性/性染色体異常微小欠失重複高精度・非侵襲・早期検査が可能陽性時は確定検査が必要(偽陽性・偽陰性の可能性あり)
母体血清マーカー(クアトロ検査)非確定的検査妊娠15~18週ダウン症18トリソミー神経管閉鎖障害のリスク予測全国的に普及/比較的安価精度がNIPTより低く、年齢などで陽性率が変動
超音波検査(胎児ドック)非確定的検査妊娠11週~24週頸部浮腫(NT)など形態異常/心臓・脳・骨格の評価非侵襲で情報が多い経験により精度に差/染色体異常は直接わからない
羊水検査確定的検査妊娠15~18週染色体・遺伝子の確定診断精度が非常に高い/性別も確定流産率約0.1〜0.3%/侵襲的
絨毛検査確定的検査妊娠10~13週染色体異常の確定診断(早期)羊水検査より早く結果が出る流産リスクはやや高め(約0.3〜1%)/モザイク注意
胎児MRI画像診断補助妊娠20週以降中枢神経や臓器異常の詳細評価脳の詳細画像が得られる専門施設のみ/染色体異常は評価できない
出生前診断の種類

出生前診断の種類と受けられる時期(妊娠週数)

出生前診断には、検査の目的や母体・胎児へのリスクに応じてさまざまな種類が存在します。

ここでは、以下2つのカテゴリーに分けて、代表的な検査を解説します。

  • 非確定的検査
  • 確定的検査

それぞれの特徴と受けられる時期を知り、ご自身に合った検査を検討することが大切です。

非確定的検査

非確定的検査はスクリーニング検査とも呼ばれ、赤ちゃんに特定の染色体疾患などがある「可能性(確率)」を調べるものです。
お母さんからの採血や超音波など、母体や胎児への負担が少ないのが特徴といえます。

ここでは、代表的な6種類の非確定的検査について見ていきましょう。

これらの検査で陽性となっても病気が確定したわけではなく、診断のためには確定的検査が必要になります。

超音波検査(エコー検査)

超音波検査は、超音波を使ってお腹の中の赤ちゃんの様子を画像で確認する検査です。
プローブと呼ばれる器具をお腹にあてるだけなので、一般的にお母さんや赤ちゃんへの負担はほとんどありません。

妊婦健診で毎回行われる基本的な検査であり、赤ちゃんの成長や発育を確認するうえで不可欠です。
この検査を通じて、赤ちゃんの大きさや心拍、体の各部分が順調に作られているかなどを観察します。

また、より専門的な「胎児ドック」として、病気の兆候を詳しく調べる目的でも用いられます。

妊婦健診での超音波検査(通常超音波検査)

妊婦健診で毎回行われるのが、この通常超音波検査です。

おもな目的は赤ちゃんの推定体重や羊水量、胎盤の位置などを確認し、妊娠が順調に進んでいるかを評価することにあります。

この基本的な観察の中で、医師が病気の可能性を示す所見に気づくこともあります。

しかし、あくまで発育を確認するための検査であり、病気を発見するための精密検査ではありません。

通常、妊娠初期の5〜6週ごろから受けられます。

妊婦健診胎児ドック(胎児スクリーニング超音波検査)

胎児ドックは、通常の超音波検査よりもさらに詳しく赤ちゃんの体を調べる精密検査です。

専門の知識を持つ医師や技師がより高性能な機器を使い、心臓の動きや血流、脳の構造、手足の骨の長さなどを詳細に観察します。

これにより、通常の健診では発見が難しい体の構造上の異常や、染色体疾患の可能性を示唆する特徴(マーカー)を見つけることを目指します。

妊娠初期・中期・後期など特定の時期に行われ、染色体の変化そのものを診断するものではありません。

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母体血清マーカー検査(クアトロ検査)

母体血清マーカー検査は、お母さんの血液中に含まれる4つの成分(AFP・hCG・uE3・InhibinA)の濃度を測定する検査です。

これらの数値を、お母さんの年齢や体重、妊娠週数などの情報と組み合わせて分析します。

その結果から、赤ちゃんがダウン症候群(21トリソミー)や18トリソミー、開放性神経管欠損症である確率を算出します。

採血のみで済むため安全ですが、あくまで確率を評価するもので、診断を確定させることはできません。

妊娠15〜17週ごろに受けるのが一般的です。

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コンバインド検査

コンバインド検査は、複数の検査を組み合わせて精度を高めた非確定的検査です。

具体的には、妊娠11〜13週ごろに実施します。

超音波検査で赤ちゃんの首の後ろのむくみ(NT)や鼻の骨などを計測した結果と、お母さんの血液検査(血清マーカー)の結果を統合して評価。

これにより、超音波検査や血液検査を単独で行うよりも、高い精度でダウン症候群(21トリソミー)などの可能性を算出できます。

ただし、これも確率を調べる検査のため、確定診断には至りません。

NIPT(新型出生前診断)

NIPTはお母さんの血液を採取し、そこに含まれる赤ちゃんのDNA断片を分析する、精度の高い非確定的検査です。

ダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトウ症候群(13トリソミー)といった染色体疾患の可能性を調べます。

従来の非確定的検査に比べて感度・特異度ともに高いのが特徴です。

妊娠6週以降と、比較的早い時期から検査できます。

ただし、あくまでスクリーニング検査であり、陽性の場合は診断を確定させるために羊水検査などが必要です。

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確定的検査

確定的検査は、非確定的検査で陽性だった場合などに、診断を確定させるために行われます。

胎児の細胞を直接調べるため、ほぼ100%の精度で診断できますが、お腹に針を刺すためわずかながら流産などの危険性も否定できません。

ここでは、代表的な確定的検査として以下2つを解説します。

どちらの検査も専門的な知識が必要になるため、医師とよく相談したうえで慎重に判断することが求められます。

絨毛検査

絨毛検査は、将来胎盤になる組織「絨毛」の細胞を採取して、赤ちゃんの染色体を調べる確定的検査です。

お腹に針を刺すか、または腟から器具を挿入して採取します。

この検査の最大のメリットは、妊娠11〜14週という早い時期に診断を確定できる点にあります。

これにより、早い段階で今後のことを考える時間を確保可能です。

ただし、約1%の確率で流産に至るリスクが報告されており、羊水検査よりもわずかにリスクが高いとされています。

専門的な技術を要する検査です。

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羊水検査

羊水検査は、お腹に細い針を刺して羊水を採取し、その中に含まれる赤ちゃんの細胞から染色体や遺伝子を調べる確定的検査です。

妊娠15〜18週ごろに行うのが一般的です。

確定的検査の中ではもっとも広く実施され、絨毛検査よりも遅い時期の検査になりますが、流産のリスクが約0.3%とより低いとされています。

結果が出るまでには通常2〜4週間ほどかかりますが、診断精度は高く、赤ちゃんの染色体疾患の有無を確実に知れます。

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先天性疾患が起きる原因

赤ちゃんが先天性疾患を持って生まれてくる原因は、多岐にわたります。

実は、多くのケースで具体的な原因は特定できていません。

しかし、現在分かっている範囲では、いくつかの要因が関与していると考えられています。

ここでは、先天性疾患のおもな原因とされる3つの要因について解説します。

  • 1.遺伝、染色体が要因
  • 2.環境因子や有害物質(催奇形物質)が要因
  • 3.母体年齢

これらの要因が単独、あるいは複雑に絡み合って、疾患につながる場合があることを理解しておきましょう。

分類内容・代表疾患診断可能方法
染色体異常・21トリソミー(ダウン症)・18トリソミー(エドワーズ症候群)・13トリソミー(パトウ症候群)・ターナー症候群・クラインフェルター症候群NIPT(新型出生前診断
心疾患(先天性心疾患)・心室中隔欠損(VSD)・心房中隔欠損(ASD)・ファロー四徴症・大動脈縮窄症超音波検査
神経系の異常・水頭症・無脳症・二分脊椎(脊髄髄膜瘤)超音波検査
消化器の異常・食道閉鎖症・鎖肛(直腸肛門奇形)・十二指腸閉鎖症胎児ドック
泌尿生殖器の異常・水腎症・腎低形成/無形成・停留精巣超音波検査
筋骨格系の異常・多指症/合指症・先天性股関節脱臼・内反足超音波検査
代謝異常(先天代謝異常)・フェニルケトン尿症(PKU)・ホモシスチン尿症・ガラクトース血症常染色体劣性遺伝
顔面・頭部の異常・口唇口蓋裂・小頭症・頭蓋縫合早期癒合症胎児ドック
遺伝子異常による症候群ウィリアムズ症候群・プラダー・ウィリ症候群・アンジェルマン症候群<ー出生前診断で検査可能NIPT(新型出生前診断
代表的な先天性疾患
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1. 遺伝、染色体が要因

先天性疾患のもっとも大きな要因の1つが、遺伝子や染色体の変異です。

これには、親から受け継がれるケースと、受精卵の細胞分裂の過程で偶然起こるケース(突然変異)があります。

たとえば、ダウン症候群は通常、染色体の数が1本多くなることで起こりますが、これは多くの場合、突然変異によるものです。

また、親自身は症状がなくても、病気の原因となる遺伝子を持っている(キャリアである)場合もあります。

このように、遺伝情報は赤ちゃんの健康に深く関わっています。

2. 環境因子や有害物質(催奇形物質)が要因

妊娠中の環境も、赤ちゃんの健康に影響を与えることがあります。

とくに、先天異常のリスクを高める物質は「催奇形物質(さいきけいぶっしつ)」と呼ばれます。

代表的なものは風疹などの感染症、特定の医薬品、アルコールやタバコ、放射線などです。

これらの影響は、お母さんが摂取したり暴露されたりした時期や量によって異なります。

そのため、妊娠中は薬の服用に注意し、アルコールやタバコを控えるなど、生活習慣に気をつけることが大切です。

3. 母体年齢

お母さんの年齢も、一部の先天性疾患のリスクと関連があることが知られています。

年齢が上がるにつれて、染色体の数に変化が起きる可能性が高まります。

これは、女性が持つ卵子の元になる細胞が、年齢とともに老化していくためです。

その結果、細胞分裂の際に染色体が均等に分配されないエラーが起こりやすくなります。

とくに35歳を過ぎると、ダウン症候群などの染色体疾患を持つ赤ちゃんの出生率が、統計的に上昇することが報告されています。

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母体年齢(歳)~1920~2425~2930~3435~3940~
先天異常児の出生率(%)2.802.422.262.342.543.27
参考:日本産婦人科医会 – 先天異常モニタリング調査 外表奇形等統計調査報告書

さらに母体年齢と染色体異常検出率についてみていくと、性染色体とよばれる男性・女性の性別に関連した遺伝子の異常はあまり増加しません。

しかし、常染色体とよばれる誰でも持っている染色体の異常は40歳前後から急増します。

染色体異常のうち、NIPT(新型出生前診断)で調べられる21トリソミー(ダウン症候群)18トリソミー(エドワーズ症候群)13トリソミー(パトウ症候群)の3つの染色体異常と母体年齢について詳しくみていきます。

母体年齢(出産時)ダウン症候群18トリソミー13トリソミー
201/14411/100001/14300
251/13831/83001/12500
301/9591/72001/11100
351/3381/36001/5300
361/2591/27001/4000
371/2011/20001/3100
381/1621/15001/2400
391/1131/10001/1800
401/841/7401/1400
411/691/5301/1200
421/521/4001/970
431/371/3101/840
引用元:公益社団法人 日本産科婦人科学会 – 専攻医教育プログラム2 出生前診断

出産時の母体年齢が30歳台を超えると、急激に染色体異常の発生率が上がります。ダウン症では43歳での出産は20歳の出産と比べてダウン症候群の出生確率が約38倍にもなります。18トリソミーは約32倍、13トリソミーは17倍高いことがこのデータからわかります。

先天性疾患の要因 血液検査 出生前診断 いつ

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出生前診断の費用の相場

出生前診断は、基本的に健康保険が適用されない自由診療です。

そのため、費用は全額自己負担となり、検査の種類や医療機関によって大きく異なります。

以下に、各検査の費用相場をまとめました。

検査名費用相場保険適用備考
通常超音波検査2,000~5,000円適用妊婦健診に含まれる
胎児ドック1万~5万円適用外施設により差あり
母体血清マーカー1万~5万円適用外クアトロ検査含む
コンバインド検査3万~5万円適用外実施施設限定
NIPT8万~20万円適用外認証施設推奨
絨毛検査10万~20万円適用外確定診断
羊水検査10万~20万円適用外もっとも一般的な確定検査

一般的に、採血や超音波のみで行う非確定的検査は比較的費用が安く、お腹に針を刺すなどの確定的検査は高額になる傾向があります。

ご自身の希望する検査がどのくらいの費用なのか、事前に医療機関のWebサイトなどで確認しておくことが大切です。

出生前診断を受ける方の割合

近年、出生前診断、とくにNIPTを受ける方の割合は増加傾向にあります。

2020年の厚生労働省の調査によると、35歳以上で出産された方の約10.2%、40歳以上では22.7%がNIPTを受けていたと報告されました。

この割合は高齢出産になるほど高くなります。

ただし、出生前診断を受けるかどうかは、あくまで個人の価値観や家庭の状況に基づくデリケートな選択です。

割合はあくまで参考情報とし、ご自身とパートナーがどうしたいかを主体に考えることが肝要です。

参考資料:厚生労働省「出生前検査に関する実態調査研究事業報告書」

出生前診断を受けないほうがよいケース

出生前診断はすべての妊婦さんが受けられる一方で、医学的な理由から検査が推奨されない、あるいは結果の解釈に注意が必要なケースも存在します。

これはご夫婦の考え方や覚悟といった心理的な側面とは別の、純粋な技術的・身体的な問題です。

ここでは、とくに注意が必要な2つのケースについて説明します。

  • つわりがひどい
  • バニシングツインと診断された

これらに該当する場合は、検査を検討する前に必ずかかりつけの医師に相談し、ご自身の状況で検査が可能か確認することが肝心です。

つわりがひどい

つわり(妊娠悪阻)の症状が重く、水分補給もままならないほどの状態のときは、お母さん自身の健康が最優先です。

NIPTなどの血液検査は、重度の脱水状態では採血が困難であったり、血液が濃縮して検査の精度に影響を与えたりする可能性もゼロではありません。

何よりも、心身ともに大きな負担がかかっている状況で、検査やその結果について冷静に考えるのは難しいでしょう。

まずはつわりの治療に専念し、体調が回復してから、改めて出生前診断について検討することをおすすめします。

バニシングツインと診断された

バニシングツインとは、妊娠初期に双子と診断されたあと、早い段階で片方の胎児の成長が止まってしまう状態を指します。

この場合、とくにNIPTの検査は推奨されません。

なぜなら、成長が止まった胎児のDNAが、しばらくの間お母さんの血中に残り続けるからです。

NIPTではそのDNAも検出してしまうため、もし成長が止まった胎児に染色体異常があった場合は注意が必要です。

順調に育っているもう片方の赤ちゃんは健康であるにもかかわらず、「陽性」という結果(偽陽性)が出てしまう可能性が高くなります。

出生前診断で陰性だったときの対応

出生前診断、とくにNIPTなどで「陰性」という結果を受け取ると、多くの方が安堵し、妊娠生活への不安が大きく和らぐことでしょう。

赤ちゃんが検査対象の疾患を持っている可能性が低いと分かり、安心して出産準備を進められます。

ただし、注意点もあります。

陰性という結果は、あくまで「検査で調べた特定の疾患の可能性が低い」ことを意味するものです。

出生前診断では分からない病気や、生まれてから分かる発達の問題などもあります。

これからも油断せず、定期的な妊婦健診をきちんと受け、赤ちゃんの成長を見守っていくことが大切です。

出生前診断で陽性だったときの対応

非確定的検査で「陽性」の結果が出た場合、まずは大きな衝撃と不安に襲われることと思います。

しかし、この段階ではまだ診断が確定したわけではありません。

最初のステップは、羊水検査などの確定的検査を受けて、本当に赤ちゃんに疾患があるのかを正確に調べることです。

確定診断の結果、赤ちゃんに疾患があると分かった場合、ご夫婦は大きな決断を迫られます。

おもな選択肢は、以下の2つです。

  • 中絶を選択する
  • 妊娠を継続する

どちらの選択が正しいことはなく、専門家と相談しながらご夫婦で納得いくまで話し合うことが肝要です。

中絶を選択する

赤ちゃんに疾患があると確定した場合、さまざまな理由から妊娠を継続しない(中絶する)という決断に至るご夫婦もいます。

これは、ご夫婦がさまざまな事情を考慮して選べる、ご本人たちの権利として認められた選択肢の1つです。

この決断をするうえでもっとも重要なのは、時間的な制約です。母体保護法では、人工妊娠中絶は妊娠21週6日までと厳密に定められています。

確定的検査の結果を待ち、十分に話し合う時間を確保するためにも、検査は早い段階で計画的に進める必要があります。

妊娠を継続する

診断を受け入れたうえで、赤ちゃんと共に生きていくために妊娠を継続するという選択もあります。

この場合、診断が確定したことは、むしろメリットにもなり得ます。

赤ちゃんの状態が分かるため、出産後すぐに専門的な治療が受けられるよう、小児科医などと連携した周産期医療体制を整えることが可能です。

また、同じ疾患を持つ子どもを育てる家族の会(患者会)に参加するなど、十分な情報収集と心の準備をして赤ちゃんを迎えられます。

まとめ

出生前診断への理解が深まると、ご自身の状況に合わせた具体的な相談をしたいと感じるかもしれません。

ヒロクリニックNIPTでは、多様な検査プランの中からご希望に合うものを選択可能です。産婦人科や小児科の専門医が在籍し、皆様の疑問に丁寧にお答えします。

万が一陽性の場合も、最大20万円までの羊水検査費用を補助する体制を整えていますのでご安心ください。

赤ちゃんとご自身の将来のために、まずはお気軽にご相談ください。

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【参考文献】

Q&A

  • Q
    母体年齢が高いと出生前診断は重要ですか?
    母体年齢が高いほど、胎児の染色体異常のリスクが高くなるため、出生前診断は特に重要となります。例えば、ダウン症候群のリスクは母体年齢が20歳で1/1441であるのに対し、40歳では1/84と大幅に増加します。
  • Q
    出生前診断は必ず受ける必要がありますか?
    出生前診断は必ず受けるべきものではなく、個人の希望や状況に応じて選択されます。特に高齢妊娠や家族歴がある場合に検討されることが多いです。
  • Q
    NIPT(新型出生前診断)の検査結果が陽性の場合、どうすればいいですか?
    NIPTの結果が陽性の場合、確定診断のために絨毛検査または羊水検査を受けることが推奨されます。これらの検査で診断を確定することで、正確な情報に基づいた判断が可能となります。
  • Q
    出生前診断の結果が陰性の場合、100%安心できますか?
    出生前診断の結果が陰性であっても、完全にリスクがないわけではありません。非確定的検査はあくまで確率を示すものであり、確定的検査でも稀に見逃しがあることがあります。最終的な判断は医師と相談しながら行うことが重要です。
  • Q
    出生前診断の種類には何がありますか?
    出生前診断には、「非確定的検査」と「確定的検査」の2種類があります。非確定的検査には超音波検査やNIPT、母体血清マーカー検査などが含まれ、確定的検査には羊水検査や絨毛検査があります。
  • Q
    出生前診断の超音波検査にはどのような種類がありますか?
    超音波検査には、通常の妊婦検診で行われる通常超音波検査と、胎児ドックと呼ばれる精密な超音波検査の2種類があります。通常超音波検査は妊娠初期から行われ、胎児の発育状況を確認します。胎児ドックは妊娠初期、中期、後期に行われ、胎児の内臓や形態の変化を詳細に調べます。
  • Q
    出生前診断は妊娠何週目まで受けられますか?
    出生前診断の種類によりますが、NIPT(新型出生前診断)は妊娠15~18週目までの実施が推奨されています。一方で羊水検査は妊娠15~18週目が適切な時期とされています。
  • Q
    NIPT(新型出生前診断)は妊娠何週目から受けられますか?
    NIPTは妊娠10週目以降から受けることができます。胎児の心拍が確認できていることが条件となる場合が多いです。
  • Q
    羊水検査はいつまで受けられますか?
    羊水検査は通常、妊娠15週から18週の間に行われます。それ以降の妊娠週数での実施は、母体と胎児へのリスクが高まるため避けられることがあります。
  • Q
    絨毛検査は妊娠何週目まで受けられますか?
    絨毛検査は妊娠11週から14週の間に受けることができます。それ以降は羊水検査に切り替えられる場合が一般的です。
  • Q
    妊娠後期でも出生前診断を受けることはできますか?
    妊娠後期では非確定的検査や確定的検査は一般的に行われません。ただし、胎児の状態に関する疑念がある場合、超音波検査などで詳細に確認することがあります。
  • Q
    出生前診断は妊娠初期に行うべきですか?
    妊娠初期(10~14週)はNIPTや絨毛検査などが適切な時期となります。早期に検査を行うことで、結果に基づいた次のステップを検討する時間が確保できます。
  • Q
    出生前診断を受けられる最終的な時期はいつですか?
    最終的な検査の時期は検査の種類によりますが、確定診断を伴う羊水検査は妊娠18週目ごろまでが一般的です。
  • Q
    出生前診断は妊娠後期でも有効ですか?
    妊娠後期では診断の選択肢が限られるため、出生前診断を希望する場合は妊娠中期までに実施することを推奨します。
  • Q
    出生前診断はいつまで検討すべきですか?
    検査の種類と目的によりますが、出生前診断は妊娠初期から中期にかけて行うのが一般的です。検討は妊娠初期の早い段階から始めることが望ましいです。
  • Q
    NIPTの結果が陽性だった場合、羊水検査を受けるまでの猶予はありますか?
    NIPTの結果が陽性だった場合、羊水検査は妊娠15~18週の間に受けることが推奨されます。この期間を過ぎるとリスクが高まる可能性があります。
  • Q
    クアトロ検査(母体血清マーカー検査)はいつまでに受けられますか?
    クアトロ検査は妊娠15~17週の間に受けることが一般的です。それ以降では正確な結果が得られないことがあります。
  • Q
    コンバインド検査は妊娠何週まで受けられますか?
    コンバインド検査は妊娠11週から13週の間に受けることができます。この期間を過ぎると検査が受けられなくなることが多いです。
  • Q
    胎児ドック(精密超音波検査)は妊娠後期でも受けられますか?
    胎児ドックは妊娠初期(10~13週)、中期(18~20週)、後期(28~30週)で受けられる場合があります。ただし、目的や医療機関によって異なるため、事前に確認してください。
  • Q
    出生前診断を妊娠初期から計画するメリットは何ですか?
    早期に計画を立てることで、検査を適切な時期に受けることができ、結果をもとに迅速な対応や準備を進めることが可能になります。

この記事では、出生前診断をいつからいつまで受けられるか詳しく説明します。NIPTなど種類ごとの時期や費用、陽性だった場合の対応まで網羅しています。

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記事の監修者


岡 博史先生

岡 博史先生

【役職】

NIPT専門クリニック医学博士
ヒロクリニック統括院長

【資格】

平成8年 医師免許 取得 
平成14年 慶應義塾大学医学博士号 取得
平成15年 皮膚科専門医 取得
平成29年 産業医 取得

【略歴】

平成8年 慶應義塾大学医学部 卒業
平成8年 慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 入局
平成11年 川崎市立川崎病院総合心療内科 勤務
平成12年 川崎市立川崎病院皮膚科 勤務
平成14年 慶応義塾大学病院皮膚科 勤務
平成17年 城本クリニック 勤務
平成20年 ヒロクリニック開院・院長就任
平成21年 医療法人社団福美会 設立・理事長就任

【所属】

医療法人社団福美会

【SNS】

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