妊娠中に子宮筋腫が見つかったら流産になる?【医師監修】

妊娠中に子宮筋腫が見つかったら 流産になる?

子宮筋腫合併妊娠の流産、切迫流早産、子宮筋腫の手術が必要かどうか、子宮筋腫を持ちながら妊娠を継続する際に気になること、心配事を説明していきます。

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子宮筋腫とは

子宮筋腫とは子宮にできる良性腫瘍であり、近年では4人に1人の女性が子宮筋腫を持っているといわれています。 

良性腫瘍であり悪性腫瘍(がん)ではないため、緊急処置の必要はありませんが、筋腫が大きくなると重症な生理痛、貧血、時には不妊の原因となるため、経過を見ていき治療が必要な場合は治療を行っていく必要があります。 

子宮にできる筋肉組織由来の腫瘍であり、10代から50代の女性までにみられます。 

子宮筋腫はエストロゲンという女性ホルモンによって大きくなり、閉経すると小さくなっていきます。筋腫が小さい場合は無症状のことも多く、がん検診や妊娠時に偶然発覚する、ということも多いと言われています。 

一方で子宮筋腫が大きくなった場合では、妊婦のようなお腹となり、お腹を触れるとコリコリ、ボコボコした腫瘤が触れることもあり、様々な症状を抱える場合もあります。

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妊娠中に子宮筋腫が見つかったら、妊娠を継続できるの?

前述しましたように、子宮筋腫は妊娠時に受診したところ指摘された、というケースも多くあります。あるいは不妊の相談で受診の際に指摘されることもあります。 

妊娠中の方では、2.7%〜10.7%ぐらいの頻度で子宮筋腫を認めますが、子宮筋腫を持ちながらも多くの場合は問題なく経過します。 

しかしながら妊娠経過中に子宮筋腫が増大することもあり、そうするといくつかの問題を起こすことがあります。  

症状 

痛み 

大きさが5cm以上に増大すると、痛みを感じる頻度は増える言われています。  

血栓症 

妊娠に伴い大きくなった子宮と子宮筋腫によって、血管が圧迫され血液の流れが滞り、血管内に血栓ができることがあります。下肢静脈血栓、肺梗塞という重症な病態になる場合もあります。  

流産 

妊娠し着床に至るものの、子宮筋腫が血流障害を引き起こし、流産する場合があります。繰り返す流産のおよそ7%ぐらいが子宮筋腫が原因ではないかと言われています。 

妊娠中の子宮筋腫が出産に及ぼす影響とは

子宮筋腫が及ぼすリスク 

  • 切迫流産・早産
  • 胎位異常
  • 前置胎盤
  • 常位胎盤早期剝離(じょういたいばんそうきはくり)
  • 羊水量の異常
  • 妊娠高血圧症候群
  • 前期破水

妊娠初期から中期にかけて子宮筋腫が大きくなると、痛みが出たり、子宮収縮を起こしたりする可能性があり、上の合併症(妊娠中のトラブル)は増加します。 

切迫流産17.1~25.9%、切迫早産16.3~39.9%、前期破水7.3%、早産9.3~20%、流産、常位胎盤早期剝離、子宮内胎児発育遅延等になります。子宮筋腫による流産か否かは医師による総合的な判断になりますが、繰り返す流産の場合は子宮筋腫を疑われることが多くなります。

妊娠中に子宮筋腫。流産の可能性は?

子宮筋腫は多くの女性が持っている病気の一つですが、子宮筋腫合併妊娠(子宮筋腫を持ちながら妊娠をしている状態)は全妊娠の1.4%-3.9%程度と言われているようです。 

子宮筋腫合併妊娠では、妊娠、分娩、産褥期を通じてリスクがあります。 

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妊娠中に子宮筋腫が見つかったら、手術が必要?

ほとんどの場合、妊娠中には積極的な子宮筋腫の治療は行わず、対症療法や経過観察をすることになります。 

しかし、妊娠の継続が望めそうもない大きな筋腫や、循環障害、栄養障害のため筋腫の変性が起こり、局所症状(疼痛)の見られる場合には核出術を行う場合があります。しかしこれも妊娠12週以降は行うことは難しくなります。 

多くの場合では、対症療法で症状をコントロールしつつ、慎重に妊娠経過を観察していきます。 

最近は超音波診断でほぼ正確に筋腫の大きさ、部位を確かめることが可能であり、筋腫があっても妊娠に影響を与えず経過する場合もあります。 

妊娠中の子宮筋腫が出産に及ぼす影響

子宮筋腫がある妊婦さんは出産時に帝王切開になる?

 帝王切開か経腟分娩かの判断は、妊娠末期に子宮筋腫の大きさ・位置・個数、赤ちゃんの大きさ、向き、胎盤の位置などをすべてみて決定されます。 

帝王切開の場合、赤ちゃんの向きの異常、胎盤位置異常、筋層が伸びにくいなどの状況があり、難しい帝王切開となります。また、産後には子宮収縮不良で出血量が増す可能性があります。

帝王切開時に筋腫を取ってしまうという方法もありますが、医師によって方針が様々ですので確認しましょう。もしも妊娠前に子宮筋腫を核出する手術をしている場合は、子宮に傷が入っているため帝王切開の経験のある妊婦さんと同じ扱い で、分娩様式は帝王切開になることが多いです。

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妊娠中の子宮筋腫の変化

妊娠後期になると赤ちゃんは頭を下にする頭位に落ち着くことが多いですが、子宮筋腫の場所によっては逆子などの胎位異常が起こる可能性があります。 

子宮筋腫は小さくなるのか大きくなるのか?

子宮筋腫は女性ホルモンの影響を受けます。本来であると妊娠を維持するために分泌されている女性ホルモンが、子宮筋腫へも変化を起こすことがあります。実際、約20%の妊婦さんが妊娠中に子宮筋腫が増大すると言われており、多くの場合は少し大きくなるか、ほぼ変わらないようです。妊娠中に子宮筋腫が小さくなるケースもあります。 

6センチなら大丈夫?

一概には言えませんが、妊娠前の状況では、一般的に筋腫のサイズが7cmを超える、月経困難症、過多月経など症状がある、また不妊の原因になり得るものなどは、手術などの治療を検討することが多くなります。

一方で妊娠中ではホルモン療法は行えず、手術は極力避けるため、経過観察することが多くなります。よって、妊娠中に子宮筋腫が6センチであれば経過観察となるケースが多いと思います。12センチで経腟分娩される妊婦さんもいますので、主治医と相談して経過を見ていく必要があります。痛みが強い場合は赤ちゃんに影響のない痛み止めを使って症状を和らげる治療を行います。 

妊娠中の子宮筋腫、お腹の出方に影響する?

妊娠前では、子宮筋腫が赤ちゃんの頭の大きさぐらいまで大きくなるとお腹が膨らんで妊娠しているようにみえることがあります。子宮の外側にできる漿膜下(しょうまくか)筋腫に多い症状です。

妊婦さんの中には、子宮筋腫があるとお腹の出方が変わってしまうのか、と心配があるかもしれませんが、巨大筋腫でない限り、目立つことはないと言えるでしょう。しかしながら、妊娠中後期になると膨らんできたお腹にコリコリと子宮筋腫が触れることがあるかもしれません。 

妊娠中の子宮筋腫の変化

妊娠中に子宮筋腫が痛み出すことはある?

子宮筋腫を持ちながらも多く妊婦さんは問題なく経過しますが、妊娠経過中に急激に子宮筋腫が大きくなった場合は痛みを感じる頻度は増えます。 

そのような場合では主治医へ相談し、お腹の赤ちゃんに影響のない痛み止めを使うなどして症状を緩和する対症療法を行っていくことがあります。 

妊娠の子宮筋腫で大量出血してしまうことも?

妊娠中子宮が大きくなるにつれて子宮筋腫も増大した場合、腹痛や出血を起こすことがあります。それは流産や早産の原因にもなるので注意が必要です。 

もしも出血をした場合、痛みには鎮痛剤、出血には止血剤を使用しますが、まずは安静にして流産や早産の治療が大切です。 

NIPT(新型出生前診断)でチェック

子宮筋腫合併妊娠の症状をみると多くの場合、リスク、不育、流産、早産、常位胎盤早期剝離という言葉を目にすると思います。しかしすべての子宮筋腫がそのような影響を及ぼす訳ではありません。 

医療技術や超音波検査の技術も進み、正確な子宮筋腫の大きさや場所をチェックできるようになっています。きちんと妊婦健診を受け妊娠の経過をみていれば、小さな子宮筋腫であれば怖くない病気と言えるでしょう。不妊治療と子宮筋腫の治療を並行しながら妊娠、出産に成功した、子宮筋腫を抱えながらも無事に経腟分娩ができた、など妊婦さんも多くいらっしゃいます。 

子宮筋腫を持ちながらの妊娠であっても赤ちゃんに異常がでる確率が高まるような心配はありませんが、妊婦さんの中には赤ちゃんの状態が気になるという方は多いと思います。 

最近では精度の高いNIPT(新型出生前診断)を行う施設も増えてきました。 

NIPT(新型出生前診断)とはお母さんから採血した血液から胎児の21トリソミー(ダウン症候群)18トリソミー13トリソミーなどの染色体異常を調べる検査のことです。 

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まとめ

子宮筋腫合併妊娠は妊婦さんにとって、とても不安な要素になると思います。しかし注意して診ていく必要はあるものの、妊婦健診にきちんと通っていれば過度に心配しなくてもよい病気になります。 

子宮筋腫は出てくる症状は多彩で気づきもしない人が多い反面、重い症状に悩んでいる方もたくさんいらっしゃいます。妊娠を希望されている方、生理が重かったり、妊娠しづらい方は是非一度、最寄りの婦人科を受診されていみるのも良いでしょう。子宮筋腫合併妊娠のお母さんは正しい知識を得て、あまり心配されすぎず、楽しく快適なマタニティライフを過ごされてください。

【参考文献】 

子宮筋腫合併妊娠の流産、切迫流早産、子宮筋腫の手術が必要かどうか、子宮筋腫を持ちながら妊娠を継続する際に気になること、心配事を説明していきます。

NIPTについて詳しく見る

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記事の監修者

川野 俊昭先生

川野 俊昭先生

ヒロクリニック博多駅前院 院長
日本産科婦人科学会専門医

産婦人科医として25年以上、主に九州で妊婦さんや出産に向き合ってきた。経験を活かしてヒロクリニック博多駅前院の院長としてNIPT(新型出生前診断)をより一般的な検査へと牽引すべく日々啓発に努めている。

略歴

1995年 九州大学 医学部卒業
1995年 九州厚生年金病院 産婦人科
1996年 九州大学医学部付属病院 産婦人科
1996年 佐世保共済病院 産婦人科
1997年 大分市郡医師会立アルメイダ病院 産婦人科
1998年 宮崎県立宮崎病院 産婦人科 副医長
2003年 慈恵病院 産婦人科 医長
2007年 日本赤十字社熊本健康管理センター診療部 副部長
2018年 桜十字福岡病院 婦人科
2020年 ヒロクリニック博多駅前院 院長

資格

日本産科婦人科学会専門医
検診マンモグラフィ読影認定医
日本スポーツ協会公認 スポーツドクター
厚生労働省認定臨床研修指導医
日本抗加齢医学会専門医

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