妊娠糖尿病にひっかからないためには?正しい食習慣を解説

妊娠糖尿病~健診でひっかからないための食事 妊婦 血糖値 写真

この記事では、妊娠糖尿病の健診にひっかからないための予防法について説明します。食事管理や睡眠などの生活習慣に加え、診断された場合の食事の工夫も具体的にお伝えします。

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この記事のまとめ

妊婦健診を前に「妊娠糖尿病の検査にひっかかったらどうしよう」と、不安を感じていらっしゃるかもしれません。 妊娠糖尿病は特別なことではなく、多くの方が直面する可能性のあるものです。 しかし、正しい知識を持って日々の生活を少し工夫することで、そのリスクを下げられます。 本記事では、健診でひっかからないための食事管理の具体的なコツや、無理なく続けられる予防法を解説します。 過度な心配を解消し、安心して出産を迎えるための参考としてください。

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妊娠糖尿病とは

妊娠糖尿病とは、妊娠まで糖尿病ではなかった方が妊娠中にはじめて発見・発症した糖尿病よりも軽度の耐糖能異常です。

「日本糖尿病学会」「日本糖尿病・妊娠学会」「日本産婦人科学会」の三学会の定義では、以下のように定義されています。

「妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病に至っていない耐糖能異常である。妊娠中の明らかな糖尿病、糖尿病合併妊娠は含めない」

耐糖能異常は、血糖値がうまくコントロールできない状態を意味します。

糖尿病という名称がつけられていますが、糖尿病ほど重度ではありません。

もし、妊娠中に糖尿病と診断された場合には、妊娠糖尿病ではなく、糖尿病合併妊娠となります。

妊娠糖尿病かどうか診断する際におこなわれる検査は、主に血液検査です。

血液検査には、通常時の状態の血糖値を測定する随時血糖や、食事をとっていない空腹時に測定する空腹時血糖、ブドウ糖を摂取したのちに血糖値を測定するブドウ糖負荷試験などがあります。

妊娠糖尿病の検査は、妊娠してからできるだけ早い時期と妊娠中期(14週0日〜27週6日)ごろにおこなうことが推奨されています。

妊娠糖尿病の問題は、血糖値のコントロールが悪くなることだけではありません。

血糖値のコントロールが悪くなることにより、母体とお腹の中の赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性が高くなります。

妊娠糖尿病でリスクが高くなる合併症は、以下の通りです。

また、妊娠糖尿病のお母さんから生まれた赤ちゃんは、将来、肥満やメタボリックシンドローム、糖尿病などのリスクが高まると報告されています。

そのため、妊娠糖尿病は健康な赤ちゃんを産むために注意したい病気のひとつです。

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母体にとっての妊娠糖尿病のリスク

妊娠糖尿病によって血糖値が高い状態が続くと、お母さん自身の身体にもさまざまな負担がかかり、合併症を引き起こすリスクが高まります。

ここでは、母体に起こりうるおもな3つのリスクを解説します。

これらのリスクは、妊娠中の血糖値を適切にコントロールすることで軽減できます。

妊娠高血圧症候群にかかる

妊娠糖尿病の女性は、妊娠高血圧症候群を発症するリスクが高まります。
高血糖は胎盤の機能低下を招き、赤ちゃんの発育不全につながる危険性もあります。

予防には血糖管理に加え、塩分制限(1日6.5g未満)と適度な運動が効果的です。
定期的な健診により早期発見が可能となり、適切な治療により重篤な合併症を防げます。

出産時に帝王切開が必要になる

妊娠糖尿病では帝王切開での出産となる可能性が高まります。
おもな理由は、お母さんの高血糖により胎児が巨大児(出生体重4,000g以上)となりやすく、難産につながるためです。

妊娠中の適切な血糖管理は胎児の過度な成長を抑制し、安全な出産につながります。
医師と相談し、母子の安全を最優先に分娩方法を決定しましょう。

羊水過多症にかかる

妊娠糖尿病になると、羊水過多症を合併するリスクが高まり、流産早産の危険性も増加します。
母体の高血糖は胎児にも影響を及ぼすため、血糖値を適切にコントロールすることで、これらのリスクを軽減することが期待できます。
そのため、血糖管理の徹底が肝要です。

胎児にとっての妊娠糖尿病のリスク

お母さんの血糖値が高い状態は、胎盤を通してダイレクトにお腹の赤ちゃんにも影響を及ぼします。
それは、赤ちゃんの出生時の大きさだけでなく、生まれた直後の状態や、将来の健康にまで関わってくる可能性があります。

ここでは、赤ちゃんに起こりうる代表的な3つのリスクについて見ていきましょう。

  • 巨大児として生まれる
  • 早産のリスクが高まる
  • 将来的に肥満や2型糖尿病になるリスクが高まる

これから生まれてくる大切な赤ちゃんのためにも、どのようなリスクがあるのかを理解し、日々の生活習慣を見直すことが肝心です。

巨大児として生まれる

巨大児とは、一般的に出生時の体重が4,000g以上ある赤ちゃんのことです。
お母さんの血糖値が高いと、胎盤を通じて赤ちゃんにも過剰な糖分が送られます。
すると、赤ちゃんは自分のすい臓からインスリンを大量に分泌して血糖値を下げようとします。
結果として、赤ちゃんの体が大きくなり過ぎてしまうのです。

巨大児になると、出産時に産道でつかえて難産になったり、帝王切開が必要になったりするリスクが高まります。
生まれてきた直後に「新生児低血糖」を起こしやすいという問題もあります。

早産のリスクが高まる

妊娠糖尿病は、早産のリスクを高めることが知られています。
その理由として、合併症である羊水過多症や妊娠高血圧症候群を併発する場合があります。

母体や胎児の状態悪化により、医師が早く出産させた方が安全だと判断することも。
血糖値をコントロールすることは、こうしたリスクを低減させることにもつながります。

将来的に肥満や2型糖尿病になるリスクが高まる

妊娠糖尿病の影響は、赤ちゃんが生まれたときだけでなく、その後の人生にまで及ぶ可能性があります。

胎児期にお母さんの高血糖によって過剰な糖分にさらされた赤ちゃんは、将来的に肥満や2型糖尿病を発症するリスクが高まることが研究で示されています。
妊娠中の血糖管理は、目先の出産のためだけでなく、お子さんの一生の健康の土台を作るという視点を持つことが大切です。

妊娠糖尿病になる原因

妊娠糖尿病になる原因は、妊娠中に血糖値が上がりやすくなることが影響していると考えられます。

なぜ、血糖値が上がりやすくなるのかというと、妊娠すると赤ちゃんのへその緒とつながっている胎盤から、インスリンを阻害するホルモンが分泌されるためです。

インスリンは、血糖値を下げる働きがあるホルモンで、インスリンが十分に分泌されなかったり、働かなくなったりすると、血糖値が下がりにくくなります。

つまり、妊娠中は平常時と比較して、胎盤から分泌されるホルモンの影響により、血糖値のコントロールが難しくなるわけです。

そのため、妊娠中に血糖値が高くなる妊娠糖尿病を発症すると考えられています。

妊娠糖尿病になりやすい人とは?

妊娠糖尿病になりやすい人には、以下の特徴が挙げられます。

  • 家族に糖尿病の方がいる
  • 肥満
  • 35歳以上の高年齢出産
  • 以前に巨大児と言われる赤ちゃんを産んだことがある方
  • 原因不明の習慣的な流産早産の経験がある方
  • 原因不明の周産期死亡歴
  • 先天性奇形の分娩歴
  • 妊娠高血圧症候群
  • 羊水過多症 など

ただし、これらの特徴があるからといって必ずしも妊娠糖尿病になるわけではありません。

一般社団法人日本内分泌学会によると、全妊婦における妊娠糖尿病の割合は、12.08%という報告があります。

妊娠中の食事管理

一般的な糖尿病の場合は、治療において薬物療法・運動療法・食事療法の三本柱でおこなわれます。

しかし、妊娠中は運動や薬の使用が難しい面もあり、妊娠糖尿病では食事管理が治療において重要です。

ここでは、妊娠中の食事管理について詳しく解説します。

妊娠糖尿病の食事管理

妊娠初期の食事管理と摂取カロリー

妊娠中の摂取カロリーは、「標準体重×30kcal」が基本です。

標準体重の計算方法は、「身長(m)×身長(m)×22」の計算式にあてはめて求められます。

たとえば、身長160cmの方であれば、「1.6(m)×1.6(m)×22 = 56.3(kg)」となり、標準体重は、56.3kgです。

求められた標準体重を妊娠中の摂取カロリーにあてはめると、「56.3(kg)×30kcal=1689kcal」となります。

ただし、この摂取カロリーは肥満の方の場合です。

非肥満の妊婦の方は妊娠週数に応じて、摂取カロリーが追加されます。

妊娠初期であれば、追加される摂取カロリーは50kcalです。

求められた摂取カロリーを基本として、バランスの良い食事を食べるようにするとよいでしょう。

また、ミネラルや葉酸など、赤ちゃんの発育に重要なビタミンが不足しないように意識することも大切です。

NIPT(新型出生前診断)は妊娠初期から受けられます

妊娠糖尿病による赤ちゃんへのリスク以外にも、染色体の異常によるダウン症候群エドワーズ症候群パトウ症候群などのリスクが、産まれてくる赤ちゃんにはあります。

このような染色体の異常の有無を調べるための検査をNIPT(新型出生前診断)といい、妊娠初期から受けることが可能です。

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妊娠中期の食事管理と摂取カロリー

妊娠中期の摂取カロリーも、肥満の方は妊娠初期の摂取カロリーの計算方法と同様です。

一方で、非肥満の方は、追加される摂取カロリーが50kcalから250kcalに増えます。

妊娠後期の食事管理と摂取カロリー

妊娠後期の摂取カロリーも、肥満の方は妊娠初期・中期の摂取カロリーの計算方法と同様です。

一方で、非肥満の方は、追加される摂取カロリーが250kcalから450kcalに増えます。

ただし、ここで紹介した摂取カロリーや食事管理については、あくまでも一般的な食事療法です。

人によっては、摂取カロリーをもっと制限した方がよい場合や、反対に摂取カロリーを増やした方がよい場合があります。

そのため、妊娠中の食事管理と摂取カロリーについては、医師に相談するとよいでしょう。

妊娠糖尿病の予防方法

妊娠糖尿病は、妊娠中の生理的な変化が原因ですが、日々の生活習慣を少し見直すことで、発症のリスクを下げることが可能です。

ここでは、今日から実践できる4つの予防方法を紹介します。

  • 食事管理を徹底する
  • 睡眠を十分に取る
  • ストレスを発散する
  • 水分補給を適度に行う

ご自身の体調と相談しながら、できることから生活に取り入れて、健やかなマタニティライフを送りましょう。

食事管理を徹底する

妊娠糖尿病の予防において、もっとも基本となるのが食事管理です。
とくに「食事の時間」と「栄養バランス」を意識することが大切です。
食事を抜いたり一度に多く食べたりすると、血糖値が急激に変動し、すい臓に負担をかけてしまいます。

まずは1日3食、なるべく決まった時間に食べることを心がけてください。
食事の内容は、主食(ごはん・パン)、主菜(肉・魚・卵)、副菜(野菜・きのこ)をそろえ、バランスよく栄養を摂ることが理想です。
とくに糖質の摂り方がポイントです。

甘いジュースやお菓子は血糖値を急上昇させるため控えめにし、食物繊維が豊富な野菜と一緒にごはんを食べましょう。
血糖値が上がりにくい工夫を取り入れることが、予防につながります。

睡眠を十分に取る

意外に思われるかもしれませんが、睡眠不足は血糖コントロールに悪影響を及ぼすことが分かっています。
睡眠時間が短いと、インスリン感受性が低下することが分かっており、食べ過ぎにもつながりやすくなります。
睡眠不足の状態は体にとってストレスとなり、血糖値を上げるホルモンが分泌され、インスリンの効きを悪くしてしまうのです。

妊娠中は、お腹が大きくなったり、トイレが近くなったりして、なかなか熟睡できないことも多いかもしれません。
質のよい睡眠をとるために、寝る前はスマホやテレビを避け、リラックスできる音楽を聴くのがおすすめです。
抱き枕などを活用して、自分が楽な姿勢を見つけるのもよいでしょう。

ストレスを発散する

心と体は密接につながっており、精神的なストレスも血糖値を上げる原因の1つです。
ストレスを感じると、体は対抗しようとしてコルチゾールなどのホルモンを分泌します。
これらのホルモンには血糖値を上昇させる作用があるため、インスリンが効きにくくなってしまうのです。

妊娠中は、ホルモンバランスの変化や将来への不安など、ストレスを感じやすい時期です。
軽い運動や深呼吸、家族との会話などを通じて、意識的にリラックスする時間を作り、上手にストレスを発散させましょう。
天気のよい日に近所を散歩する、好きな音楽を聴きながらゆっくりお茶を飲む、パートナーや友人に話を聞いてもらうだけでも心は軽くなります。
完璧を目指さず、自分に合った方法で心穏やかに過ごすことが、血糖値の安定にもつながります。

水分補給を適度に行う

体内の水分が不足すると血液が濃縮され、一時的に血糖値が上昇しやすくなります。
妊娠中は、お腹の赤ちゃんや羊水のためにも普段より多くの水分が必要となるため、意識的に水分を摂ることが大切です。
ただし、何を飲むかが肝心です。
基本は水や麦茶、ルイボスティーといったカフェインの含まれていないお茶にしましょう。

注意したいのは、糖分を多く含むジュースや清涼飲料水です。
これらは急激に血糖値を上げてしまうため、水分補給のつもりで飲むのは避けてください。
一度に多く飲むのではなく、1日を通してコップ1杯ずつ、こまめに飲むのが効果的です。

妊娠糖尿病と診断されてしまったら

妊娠糖尿病と診断されたら、医師の指導のもと治療をおこない、血糖値をコントロールしていく必要があります。

ここでは、妊娠糖尿病と診断されてしまった時の対応を詳しくみていきましょう。

バランスのよい食事を取る

食事療法の基本は、栄養バランスを整えることです。
特定の食品を抜いたり、極端に量を減らしたりするのではなく、さまざまな食品をまんべんなく食べることが大切になります。

理想的なのは、日本の伝統的な食事スタイルである「一汁三菜」です。
エネルギー源となる「主食(ごはん)」、体を作るたんぱく質が豊富な「主菜(肉や魚など)」、そしてビタミンやミネラル、食物繊維を補う「副菜(野菜料理)」と「汁物」を組み合わせましょう。

このように品数をそろえることで、自然と栄養バランスが整い、血糖値の急上昇も防ぎやすくなります。
丼物や麺類といった単品で済ませるのではなく、なるべく多くの食材を使った定食形式の食事を心がけることが、健康な体作りの第一歩です。

規則正しい時間に食事を取る

何を食べるかと同様に、「いつ食べるか」も血糖コントロールにおいて重要です。
食事を抜くと、次の食事までの空腹時間が長くなり、その後の食事で血糖値が急激に上昇しやすくなります。

とくに朝食を抜くのは避け、1日3食をなるべく決まった時間にとるようにしましょう。
規則正しい食事は、生活リズムを整え、ホルモンバランスを安定させる効果も期待できます。

もし、1回の食事で血糖値が上がりやすい場合は、1日の食事量を5~6回に分けて食べる「分割食」がおすすめです。
これにより、一度に摂取する糖質の量が減るため、食後の血糖値の上昇を緩やかにできます。
また、食事と食事の間隔が短くなることで、空腹感をおぼえにくくなるというメリットもあります。

食物繊維を積極的に摂取する

海藻類やこんにゃくなどに多い水溶性食物繊維は、糖質の吸収を緩やかにします。
野菜やきのこ、豆類に多い不溶性食物繊維は、噛みごたえがあり食べ過ぎを防ぐため、食後の血糖値の急激な上昇を抑えられます。

食物繊維が豊富な食品は噛みごたえがあり、腹持ちもよいため、満腹感を得やすく食べ過ぎの防止にもつながるでしょう。
たとえば、ごはんに大麦を混ぜたり、味噌汁にわかめやきのこをたっぷり入れたりするのも手軽でおすすめです。
便秘の予防・改善にも効果的なので、意識して摂取するよう心がけてください。

良質な脂質を摂取する

脂質はカロリーが高いため避けられがちですが、ホルモンの材料になるなど体に必要な栄養素です。
大切なのは、脂質の「質」を選んで摂取することです。
肉の脂身やバターなどに多く含まれる飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂り過ぎは、インスリンの効きを悪くする可能性があるため注意しましょう。

一方で、積極的に摂りたいのが、オリーブオイルや青魚、ナッツ類などに含まれる不飽和脂肪酸です。
とくにサバやイワシなどの青魚に豊富なDHAやEPAといった脂質は、血糖コントロールを助ける働きも期待されています。
揚げ物や脂身の多い肉は控えめにし、調理にはオリーブオイルを使い、週に数回は魚料理を取り入れるなど、良質な脂質を上手に食事に活用しましょう。

低GI食品を選ぶ

GI(グリセミック・インデックス)とは、その食品が食後の血糖値をどれだけ上昇させやすいかを示した指標のことです。
このGI値が低い食品ほど、食後の血糖値の上昇が緩やかになります。
血糖値を安定させるためには、日々の食事で意識的に低GI食品を選ぶことが効果的です。
とくに、毎食食べる主食をGI値の低いものに置き換えるのがおすすめです。

たとえば、白米を玄米や雑穀米に、食パンをライ麦パンや全粒粉パンに変えるだけでも大きな違いがあります。
うどんよりはそば、じゃがいもよりはさつまいもを選ぶといった工夫もよいでしょう。
ただし、低GI食品であっても食べ過ぎれば血糖値は上がります。
あくまでも適量を守ったうえで、食品選びの基準の1つとしてGI値を活用してください。

ベジファーストを心がける

ベジファーストとは、食事の際に「ベジタブル(野菜)」から先に食べる食事法のことです。
これは血糖コントロールにおいて、手軽で効果的な方法として知られています。

食事の最初に、食物繊維が豊富な野菜やきのこ、海藻類を食べるようにしましょう。
先に食物繊維が胃や腸に届くことで、後から食べるごはんやパンなどに含まれる糖質の吸収を緩やかにし、食後の血糖値の急上昇を抑えてくれます。
また、野菜である程度お腹を満たすことで、主食の量を自然にコントロールしやすくなり、食べ過ぎを防ぐ効果も期待できます。

食事の際は、まずサラダやおひたし、具だくさんの味噌汁やスープから食べ始める習慣をつけましょう。
外食の際にも実践しやすいおすすめの方法です。

咀嚼の回数を増やす

「よく噛んで食べること」は、簡単ながらも血糖コントロールに多くのメリットをもたらします。
早食いをすると、満腹感を得る前に食べ過ぎてしまい、血糖値も急上昇しやすくなります。
意識して咀嚼の回数を増やすことで、食事の時間をかけ、脳の満腹中枢を刺激できるため、食べ過ぎを防ぐのに効果的です。

また、よく噛むことで消化・吸収が緩やかになり、食後の血糖値の急激な上昇を抑えることにもつながります。
目標は「一口につき30回」です。
慣れないうちは大変かもしれません。
一口ごとに箸を置く習慣をつけたり、歯ごたえのある根菜やきのこなどを食事に取り入れたりすると、自然と噛む回数を増やせます。

間食の種類や量を工夫する

妊娠糖尿病だからといって、間食を完全に我慢する必要はありません。
むしろ、空腹を我慢し過ぎると、次の食事でドカ食いをしてしまい逆効果です。
大切なのは、間食の「質」と「量」を工夫することです。

ケーキやスナック菓子、甘いジュースは血糖値を急上昇させるため避けましょう。
間食には、血糖値の上昇が緩やかで、たんぱく質やカルシウムなどの栄養を補える「補食」と考えるのがおすすめです。

たとえば、無糖のヨーグルトやチーズ、素焼きのナッツ、ゆで卵などがよいでしょう。
1日の間食の目安は200kcal程度とし、食事と食事の間に計画的に摂るのがポイントです。

血糖管理

妊娠糖尿病は産後の食事も注意が必要?

多くの妊娠糖尿病の方は、出産後、血糖コントロールが正常に治ることが多いです。

しかし、妊娠糖尿病になったことがある方は、妊娠糖尿病になったことがない方と比較して、将来の2型糖尿病になるリスクが7.43倍高いと報告されています。

そのため、妊娠糖尿病の方は、将来、検診で数値がひっかからないために、産後の食事も注意したほうがよいといえるでしょう。

目安となる摂取カロリーは、肥満の方は妊娠中の時と同様に「標準体重×30kcal」です。

一方で、非肥満の方は、「標準体重×30kcal」を基本として、授乳期間でエネルギー消費が大きい間は、基本の摂取カロリーに350kcal追加が目安となります。

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まとめ

妊娠糖尿病は、妊娠中にはじめて発見・発症した糖尿病には至らない耐糖能異常です。

すぐには表立った症状が見られないことも多いですが、放置してしまうと母体やお腹の中にいる赤ちゃんに悪影響が生じるリスクが高くなってしまいます。

そのため、妊娠糖尿病と診断されたら、適切な治療を受けることが大切です。

医師の指示のもと、今回紹介した摂取カロリーや食事管理などを参考にして、血糖コントロールに注意しましょう。

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【参考文献】

この記事では、妊娠糖尿病の健診にひっかからないための予防法について説明します。食事管理や睡眠などの生活習慣に加え、診断された場合の食事の工夫も具体的にお伝えします。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

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記事の監修者


岡 博史先生

岡 博史先生

【役職】

NIPT専門クリニック医学博士
ヒロクリニック統括院長

【資格】

平成8年 医師免許 取得 
平成14年 慶應義塾大学医学博士号 取得
平成15年 皮膚科専門医 取得
平成29年 産業医 取得

【略歴】

平成8年 慶應義塾大学医学部 卒業
平成8年 慶應義塾大学医学部皮膚科学教室 入局
平成11年 川崎市立川崎病院総合心療内科 勤務
平成12年 川崎市立川崎病院皮膚科 勤務
平成14年 慶応義塾大学病院皮膚科 勤務
平成17年 城本クリニック 勤務
平成20年 ヒロクリニック開院・院長就任
平成21年 医療法人社団福美会 設立・理事長就任

【所属】

医療法人社団福美会

【SNS】

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