脂質異常症/高脂血症と妊娠【医師監修】

脂質異常症/高脂血症

脂質異常症/高脂血症は妊娠と深く関係しています。妊娠中に脂質異常症/高脂血症になる場合、妊活中に脂質異常症/高脂血症である場合のそれぞれで対処法が異なります。このページではそれぞれのケースについて対処法についてご説明します。

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はじめに

妊娠中の健康診断で脂質異常症/高脂血症を指摘され、心配な妊婦さんはいませんか?また、妊娠を希望しているけれど、脂質異常症/高脂血症があり影響がないか心配な方もいるかもしれません。

このページでは、妊娠と脂質異常症/高脂血症の関係についてご説明したうえで、脂質異常症/高脂血症を改善する食事についてご紹介します。

脂質異常症/高脂血症とは

脂質異常症とは、血液中の脂質の値が基準値から外れた状態のことをいいます。脂質の異常には、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)の血中濃度の異常があり、これらはいずれも動脈硬化の促進と関連しています。

高脂血症は脂質異常症の昔の呼び方で、2007年から脂質異常症と名称が改められました。

日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2017年版」によると、脂質異常症/高脂血症の診断基準は空腹時採血で、高LDLコレステロール血症→140㎎/dL異常、高トリグリセライド血症→150㎎/dL異常、低HDLコレステロール血症→40㎎/dL未満とされています。

妊娠中の脂質異常症/高脂血症

妊娠中の脂質異常症/高脂血症の症状

脂質異常症/高脂血症そのものには特に自覚症状はない場合が多く、痛みが生じたり、見た目が変化したりすることもありません。妊娠中の場合も症状がない場合が多いでしょう。

しかし、脂質異常症/高脂血症が進むと、動脈硬化が進むことで高血圧を引き起こしたり、心筋梗塞や脳梗塞につながったりする可能性があります。

妊娠中の脂質異常症/高脂血症の原因

妊娠中は初期(〜13週6日まで)から中期(14週0日〜27週6日)にかけて脂肪の合成が促進されます。妊娠中は体重や脂肪組織が増え、それにより血中の脂質も増えるのです。

そのため、妊婦さんは脂質異常症/高脂血症の基準値を超えてしまうことがあります。

職場の健康診断などで異常値を指摘される妊婦さんもいますが、ほとんどが妊娠中の生理的なものです。

産後も異常値が続く場合は治療が必要な場合もありますが、正常値に戻れば心配いりません。

妊娠中の脂質異常症/高脂血症の治療

ここまでご説明したとおり、妊娠中に血中脂質が増えた場合問題になることはほとんどありません。

では、妊娠前から脂質異常症/高脂血症があり治療されている方は、妊娠中どのような治療を受ければいいのでしょうか。

脂質異常症/高脂血症の治療薬は、妊娠中の女性に禁忌のものが多くあります。妊娠を希望する時点で、主治医にそのことを伝え、治療法を立ててもらうことが重要です。

胎児への影響

妊娠中の血中脂質の増加は生理的なもので、妊娠中に必要だから増えると考えられています。そのため、妊娠中、血中の脂質が増えても胎児に何か影響が及ぶ可能性は低いと考えられます。

妊活中の脂質異常症/高脂血症

妊活中の脂質異常症/高脂血症の症状

上述したとおり、脂質異常症/高脂血症は自覚症状がない場合が多く、妊活中の場合も症状がない場合が多いでしょう。

健康診断などで指摘され、分かる場合が多いと考えられます。

妊活中の脂質異常症/高脂血症の原因

妊活中は、まだ妊娠していない状態のため、血中の脂質が高くなる原因は特にありません。

妊活中のストレスによる食べ過ぎや運動不足などの生活習慣の乱れが原因で、血中脂質が高くなってしまうことは考えられます。

しかし、脂質異常症/高脂血症は妊娠しにくい原因となることがあると考えられているため、注意が必要です。

また、脂質異常症/高脂血症と肥満を合併するケースも多くあります。肥満は不妊リスクを高める可能性があるといわれているため、肥満を合併している方は痩せることも考えていきましょう。

妊活中である方や妊娠を考えている方は、専門医に妊活中である旨を伝えたうえで指導をうけるようにしましょう。

妊活中の脂質異常症/高脂血症の治療

脂質異常症/高脂血症の治療薬には妊娠中の女性に禁忌であるものが多くあります。妊活中に脂質異常症/高脂血症の治療を受ける場合は必ず妊活中であることを伝え、妊娠しても問題のない治療を行うようにしましょう。

妊活中の脂質異常症の食事

妊活をスムーズに進めるためには、脂質異常症を改善していくことが大切です。脂質異常症を改善するための食事についてご説明します。

高LDLコレステロール血症

高LDLコレステロール血症では、コレステロールを多く含む食品、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸の摂取を控えることが大切です。

〔食べてはいけないもの〕※全く食べてはいけない訳ではありません

  • コレステロールを多く含む食品・・・卵、レバー類、うなぎ、いくら、たらこなど
  • 飽和脂肪酸を多く含む食品・・・肉の脂身、バター、ラードなど
  • トランス脂肪酸・・・マーガリン、ショートニングなど

高トリグリセライド血症

高トリグリセライド血症では、糖質を多く含むものの摂取を控えていくことが重要です。特に菓子類や、清涼飲料水などは控えるようにしましょう。また、果物や穀類のとりすぎも高トリグリセライド血症のリスクにつながるため、適量を心がけるようにしましょう。

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元気な赤ちゃんを産むためにできること

元気な赤ちゃんを産みたいという気持ちは、妊娠中のお母さん、妊活中の方、誰もが抱くことかと思います。

元気な赤ちゃんを産むためにできることの選択肢としてNIPT(新型出生前診断)があります。

ヒロクリニックNIPTの検査

NIPT(新型出生前診断)とは、お母さんの血液の中に含まれる赤ちゃん由来のDNAの量を推定することにより、胎児のダウン症候群(21トリソミー)・エドワーズ症候群(18トリソミー)・パトウ症候群(13トリソミー)などの染色体の異常を調べることができる検査です。

羊水検査・絨毛検査のような確定診断ではないのですが、ダウン症候群(21トリソミー)に関しては、感度99.9%、特異度99.90%と、検査精度が高いのが特徴です。

採血のみで実施することができるので、検査に関するリスクはほとんどありません。

エコー検査で妊娠が確認できたらすぐに検査を受けることができるため、他の出生前診断より早く検査ができるのも特徴です。

さらにヒロクリニックNIPTでは、東京都文京区にある「東京衛生検査所」にNIPT検査を依頼するため、海外の検査機関で行うNIPT(新型出生前診断)より早く結果をお伝えすることができます。

世界最高水準のNIPT
新型出生前診断(NIPT)とは、「お母さんから採血した血液から胎児の、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、1...

NIPT(新型出生前診断)を受ける際に注意すること

NIPT(新型出生前診断)は多くの方が安心するために受けようと考えるものですが、陽性判定が出る場合ももちろんあります。そんな時にどうするのかを事前に考えてから受診することが非常に大切です。

ダウン症候群(21トリソミー)とは【医師監修】
ダウン症は、21番目の染色体が通常よりも1本多くなることから21トリソミーとも呼ばれます。新生児の染色体異常症では最も多いダウン症候群(21...

まとめ

妊娠中に血中脂質が高くなった場合は多くの場合心配いりませんが、妊娠前である妊活中に脂質異常症/高脂血症がある場合、妊娠しにくくなってしまう場合があります。

元気な赤ちゃんを産むために、妊娠前からご自身の健康や食生活に気を配るようにしていきましょう。

また、エコー検査で妊娠が確認できたらNIPT(新型出生前診断)で赤ちゃんの染色体について調べることが可能です。検査を受ける場合は、結果が出た後どのようにするかをご家族で話し合ってから受けるようにしましょう。

赤ちゃんのためにできることを妊娠中、そして妊活中から少しずつ取り組んでいきたいですね。

【参考文献】

脂質異常症/高脂血症は妊娠と深く関係しています。妊娠中に脂質異常症/高脂血症になる場合、妊活中に脂質異常症/高脂血症である場合のそれぞれで対処法が異なります。このページではそれぞれのケースについて対処法についてご説明します。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

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記事の監修者


岡 博史先生

岡 博史先生

NIPT専門クリニック 医学博士

慶應義塾大学 医学部 卒業

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