妊娠14週の母体変化とエコーでわかるダウン症【医師監修・写真あり】

ダウン症エコー写真14週目

妊娠14週は胎盤が完成の間近とされ、一般的に安定期といわれる時期に差しかかる頃です。お腹の赤ちゃんも各器官や筋肉が発達し羊水の中で運動を始めます。この記事では妊娠14週の母体と胎児の状態、またエコーでわかるダウン症について医師が解説します。

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妊娠14週の赤ちゃん

お腹の中の赤ちゃんの状態

妊娠14週を迎えると胎盤が完成に近づき、へその緒から栄養を摂取する準備が始まります。それにともない胎児の各器官や筋肉、また首や手足が発達する時期です。皮下組織(脂肪)は形成されていませんが、少しずつ皮膚が厚みを増し、産毛が生え始めます。心臓もしっかり拍動し、赤ちゃんの心拍数は1分間に約150回となります。お母さんの心拍数(1分間に約60〜70回)と比べ、倍以上の心拍数といえるでしょう。

妊娠14週の赤ちゃんの大きさはCRL(頭殿長)約90mm、体重は20〜25gほどとされています。腹部エコー検査では赤ちゃんの胃泡が見えたり、膀胱におしっこが溜まる様子が映されることも。妊娠14週は羊水内で赤ちゃんが身体の向きを変え、活発に手足を動かし運動を始める頃です。しかし胎動を感じるのは、もう少し先の妊娠18週以降となります。

妊娠14週目エコー写真

妊娠14週目のエコー写真です。

エコーによる赤ちゃんの性別判断

胎児の性分化は受精時に起こります。性別を決める染色体(性染色体)は「X染色体」と「Y染色体」となり、男性であればXY、女性であればXX染色体となります。なお、性染色体に異常が生じた場合、X1本またはXXYに代表されるような異数性となり、先天性疾患を引き起こすことも少なくありません。

妊娠14週を迎える時期に赤ちゃんの外性器は、ほぼ完成しています。しかしエコー検査で赤ちゃんの性別が判断できるのは、一般的に妊娠18週以降とされ、この時も赤ちゃんの身体の向きなどで確実に性別を判断することは難しいでしょう。

なお、医療機関によっては妊婦健診によるエコー検査での性別判断を、妊婦さんに伝えないこともあります。出産前に赤ちゃんの性別を知りたい妊婦さんは、エコー検査時に性別を教えてもらえるか事前に確認してみましょう。

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妊娠14週の妊婦さん

妊娠14週の母体の状態

妊娠14週に入ると胎盤の完成が近づき、つわりも治まる時期となります。一般的に流産リスクが低くなる”安定期”に差しかかる頃といえるでしょう。

妊娠初期とくらべ体調の安定する妊娠14週は、栄養バランスを考慮した食生活と適度な運動が大切です。しかし、赤ちゃんの成長とともに子宮が大きくなると頻尿・尿もれに悩み、運動や外出を控える妊婦さんも多くいらっしゃいます。

つわりのピークが過ぎた妊娠14週は、妊娠中の気分転換や血行促進のためにも近所を散歩したり、室内で軽いストレッチを取り入れると良いでしょう。

また、妊娠性歯肉炎などを発症すると早産を招くケースもあることから、デンタルクリニックで歯科検診をおこなうことも大切です。

妊娠14週で起こりやすいトラブル、気をつけたいこと

鉄欠乏性貧血に注意

妊娠中に起こりやすいトラブルの一つに鉄欠乏性貧血があります。妊娠以前も現代女性5人に1人が鉄欠乏性貧血といわれ、慢性的に鉄分が不足傾向にあります。なお、赤ちゃんの赤血球をつくるためには通常の2倍の鉄分が必要とされ、妊娠中の貧血は約95%が鉄欠乏症といわれています。

鉄欠乏性貧血は体内の鉄分不足により、赤血球の中に含まれるヘモグロビンが作れなくなることによって生じます。ヘモグロビンは体内において酸素運搬の役割を担い、鉄分が不足すると身体を動かした際に息切れ・動悸・頭痛・立ちくらみや疲労感を引き起こすことも少なくありません。

鉄欠乏性貧血による胎児への影響

妊婦さんの鉄欠乏性貧血は、胎児の正常な成長・発達を障害します。とくに脳の発達には十分な酸素供給が必要とされます。お腹の赤ちゃんの酸欠を防ぐためにも栄養バランスのよい食生活と適切な量の鉄分をしっかり補給しましょう。

また妊婦さんの貧血は、鉄分だけでなく葉酸が不足することで生じる葉酸欠乏性貧血も挙げられます。葉酸欠乏性貧血は、胎児の脳や脊髄に先天性異常を生じることがあるため注意が必要です。

鉄欠乏性貧血・葉酸欠乏性貧血のいずれも、妊婦健診の血液検査により診断が確定されます。医師の指示に従い、鉄剤や葉酸サプリなどで栄養補給をおこないましょう。

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妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスク

妊娠初期は、つわりで食欲がなくなる妊婦さんが多くみられる一方、食べづわりによりカロリーオーバーとなる妊婦さんもいらっしゃいます。また、妊娠14週を迎えつわりが治まると同時に食欲が止まらず、体重増加となる妊婦さんも少なくありません。

妊娠中の急激な体重増加は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクが高まるとされています。妊娠高血圧症候群は血流が低下することにより、胎児へ十分な栄養や酸素が行き渡らず発育不全を引き起こします。体重2500g未満の低出生体重児・早産や死産などのリスクが高まるため注意が必要です。また、妊娠糖尿病は胎児に過剰な糖分が供給され、臓器肥大や体重4000g以上の巨大児となる可能性も少なくありません。

妊娠14週は、つわりが治まり食欲が戻る時期とされています。しかし、赤ちゃんの健康のためにも栄養バランスのとれた食事を適切量とるよう心がけましょう。

妊娠14週の流産のリスク

妊娠14週を迎える時期は胎盤が安定し、流産リスクは減少します。つわりが治まるため、妊娠初期に控えていた仕事や運動などを再開する妊婦さんも多くいらっしゃいます。

妊娠初期の流産は多くの場合、胎児が持つ染色体異常症の影響となります。一方、妊娠12週以降の流産は母体の影響も関わるといわれています。これらのことから安定期に差しかかる妊娠14週であっても、切迫流産などの流産リスクは決してゼロではありません。

適度な運動は必要ですが「動きすぎ・働きすぎ」には注意が必要です。また万が一、腹痛や出血などの異常が生じた際は、すぐに担当医師の診察を受けましょう。

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妊娠14週の妊婦健診

妊娠12週までは経膣エコー、それ以降は経腹部エコーとなります。妊娠14週を迎え、体調が安定したからといって自身と赤ちゃんの健康を過信せず、決められた日時に妊婦健診を受けることが大切です。

妊婦健診のおもな検査内容

血圧測定妊娠高血圧症候群などの異常を調べる検査
体重測定体重変化をもとに妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの検査
血液検査貧血や妊娠糖尿病などの異常を調べる検査
尿検査妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など早期発見のための検査
腹囲測定胎児の大きさや羊水量に異常がないかを判断
子宮底測定子宮・胎児の大きさ・羊水量の異常を調べる検査
経腹部エコー超音波胎児計測
胎児の推定体重・形態異常・へその緒や胎盤の状態・心臓の動き・身体の動き・羊水量などの検査
胎児ドップラー法
(胎児心音)
胎児の心拍数や心拍リズムを確認し心臓の病気や胎児の健康状態の検査

妊娠14週目のエコーでわかるダウン症の特徴

妊婦検診によるエコー検査は出生前診断の一つとされています。妊娠14週を迎える時期はエコーにより胎児の形態異常や、ダウン症(21トリソミー)の評価をおこなうことが可能です。

また、胎児の性別も外性器の形状から知ることができます。しかしエコー検査による性別判断は確定検査ではありません。医療機関によってはエコーでの性別判断は、おこなわれないことがあるため事前に確認すると良いでしょう。

エコーによりダウン症(21トリソミー)が疑われるおもな特徴は、頭の大きさ・首のうしろのむくみ・鼻骨の高さ・手足の長さとされています。しかし、エコー検査はダウン症の確定的検査ではなく、ダウン症リスクの有無を評価するスクリーニング検査となります。

また、染色体異常症のなかにはエコーだけでは評価できない病気も多くあり、他の染色体異常症リスクを知るためにはNIPT(新型出生前診断)などを検討する必要があります。

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ダウン症は、21番目の染色体が通常よりも1本多くなることから21トリソミーとも呼ばれます。新生児の染色体異常症では最も多いダウン症候群(21...

妊娠6週からダウン症がわかるNIPT(新型出生前診断)

妊婦健診でおこなわれるエコー検査は、胎児の形態異常を評価する優れた出生前診断の一つといえます。しかし、エコーでわかる先天性疾患は限られており、すべての染色体異常症の評価をおこなうことは難しいでしょう。一方、NIPT(新型出生前診断)では、赤ちゃんの全染色体の染色体異常症リスク評価が可能とされています。

妊娠14週目の準備

NIPT(新型出生前診断)とは

NIPT(新型出生前診断)とは非侵襲性出生前遺伝学的検査/非侵襲的出生前遺伝学的検査とも呼ばれる出生前診断のことです。”非侵襲”とあるように胎児への直接的な侵襲(ダメージ)はなく、母体血のみで赤ちゃんの染色体異常症リスク評価をおこなうスクリーニング検査となります。なお、NIPT(新型出生前診断)はダウン症に関して感度・特異度ともに99.9%と高精度な検査とされています。

世界最高水準のNIPT
新型出生前診断(NIPT)とは、「お母さんから採血した血液から胎児の、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、1...

まとめ

妊婦さんとそのご家族が最も気がかりなことは、大切な赤ちゃんの健康状態でしょう。「いつからダウン症の検査ができますか?」「妊娠か月まで検査が可能ですか?」「NIPT(新型出生前診断)ダウン症陽性となった場合は?」このほかにも流産や早産など、妊娠中の不安は尽きることがありません。

NIPT(新型出生前診断)は妊娠6週から実施可能です。妊娠早期に胎児の染色体異常症リスクを知ることは赤ちゃんだけでなく、母体の健康リスクに備えることができるともいえるでしょう。

ヒロクリニックNIPTによるNIPT(新型出生前診断)は、赤ちゃんの全染色体と性染色体の検査が可能です。また、発症頻度の最も高いとされるダウン症(21トリソミー)単体の検査もおこなっております。NIPT(新型出生前診断)や染色体異常症について、わからないことがありましたらヒロクリニックNIPTまでご相談ください。NIPT(新型出生前診断)に精通した医師とスタッフがしっかりサポートいたします。

【参考文献】

妊娠14週は胎盤が完成の間近とされ、一般的に安定期といわれる時期に差しかかる頃です。お腹の赤ちゃんも各器官や筋肉が発達し羊水の中で運動を始めます。この記事では妊娠14週の母体と胎児の状態、またエコーでわかるダウン症について医師が解説します。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

記事の監修者


岡 博史先生

岡 博史先生

NIPT専門クリニック 医学博士

慶應義塾大学 医学部 卒業

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