ヒロクリニックが提供するNIPT(新型出生前診断)と羊水検査・絨毛検査の違いや検査精度、リスク、適したタイミングについて詳しく解説。検査の選び方に悩む妊婦さんに向け、安心して選択できる情報をお届けします。
この記事のまとめ
NIPT(新型出生前診断)は母体の採血だけで調べる非確定的検査で、主に13・18・21トリソミーを対象とし、確定診断には羊水検査や絨毛検査が必要です。NIPTは陽性でも確定ではなく、あくまで可能性を絞り込む検査。羊水検査は妊娠15〜16週ごろに行う確定検査で、結果まで2〜3週間、流産リスクはおおむね0.3%前後とされます。絨毛検査は10〜13週ごろとより早く受けられますが、流産リスクは1%前後で、胎盤性モザイクという判定の難しさもあります。どの検査が合うかは、妊娠週数・確定の要否・不安の大きさで変わります。迷うときは遺伝カウンセリングで専門家に相談し、受ける・受けないはご自身で選んでください。
この記事でわかること
お母さんと赤ちゃんのためにNIPT検査で安心を
出生前診断とは|検査の全体像を整理する
出生前診断とは、生まれる前の赤ちゃんの染色体や体の状態を調べる検査の総称で、大きく「非確定的検査」と「確定検査」に分かれます。妊娠がわかると、多くの方が赤ちゃんの健康を気にかけます。検査には種類があり、目的も受けられる時期も違うもの。まずは全体像から順に見ていきます。
非確定的検査は、染色体の変化がある可能性を絞り込む検査です。代表がNIPT。母体の採血だけで受けられ、体への負担がほとんどありません。ただし結果は「陽性・陰性」ではなく「可能性が高い・低い」を示すもので、診断を確定させる力はありません。
一方の確定検査が、羊水検査と絨毛検査です。おなかに針を刺して細胞を採り、染色体を直接調べます。診断を確定できる代わりに、わずかながら流産などのリスクを伴います。両者は対立するものではなく、役割を分担する関係。この違いを押さえると、検査選びがぐっと楽になります。
なぜ検査の種類を知っておくと安心なのか
検査の性質を知らないまま結果を受け取ると、必要以上に動揺してしまうことがあります。私は相談の場に立ち会うなかで、「NIPTが陽性=赤ちゃんに異常が確定」と受け止めてしまう方に何度も出会ってきました。実際には陽性でも確定ではありません。前もって仕組みを知っておくだけで、心の準備が変わります。
NIPTがどんな原理で染色体を調べているのかは、NIPTの原理を解説した記事で詳しくまとめています。検査の中身がイメージできると、結果の意味も落ち着いて受け止められます。
NIPT(新型出生前診断)の特徴と調べられる範囲
NIPTは母体の採血だけで受けられる非確定的検査で、主に13・18・21トリソミーの可能性を調べます。おなかに針を刺さないため、流産の心配がほとんどありません。妊娠10週前後から受けられる手軽さも特徴です。まずは仕組みと調べられる範囲を整理します。
NIPTは、母体の血液中を流れる赤ちゃん由来のDNA(細胞外を流れるDNA)を分析します。この断片の量の偏りから、特定の染色体が1本多い「トリソミー」の可能性を推定するしくみです。採血は10ミリリットルほど。体への負担が小さく、仕事や日常を止めずに受けられます。
NIPTでわかること・わからないこと
NIPTが主に対象とするのは、次の3つの染色体の変化です。いきなり並べると分かりにくいので、代表的な呼び名とあわせて確認してください。
施設によっては、性染色体の変化や微小欠失(染色体のごく一部が欠ける変化)を追加できる場合もあります。ただし微小欠失や単一遺伝子疾患は、NIPTの一般的な対象ではありません。一部施設のオプションにとどまり、調べられる対象は限られ、検出のしやすさにも幅があります。どこまで調べたいかは、事前に医師と相談して決めてください。対象疾患の考え方はNIPTでわかること・わからないことをまとめた記事も参考になります。
精度については、対象となる染色体の変化に対して高い検出精度が報告されています。とはいえ、これは「確定」を意味しません。陽性でも実際には変化がない偽陽性、陰性でも変化を拾いきれない偽陰性が、わずかながら起こりえます。陽性のときに本当に染色体変化がある割合(陽性的中率)は、年齢や対象疾患の頻度によって変わるもの。数値をひとくくりに「ほぼ100%」と考えないでください。
陰性の結果に、ほっと胸をなでおろす方は多くいます。Xでも@shirokumabanbanさんが、認証施設でNIPTを受けて陰性だったとつづり、「完全に安心というわけではないけれど、3つの染色体異常が無いとわかっただけでも気持ちが落ち着いた」と率直な言葉を残していました。この感覚は、NIPTの性質をとても正確に言い当てています。すべてが分かるわけではないけれど、心配の一部を整理できる。そんな検査だと私も感じます。
羊水検査の特徴|確定診断と流産リスク
羊水検査は、おなかに針を刺して羊水を採り、赤ちゃんの染色体を直接調べる確定検査で、妊娠15〜16週ごろに行われます。NIPTと違い、診断を確定できるのが最大の特徴です。その分、わずかな流産リスクを伴います。時期・結果までの日数・リスクを順に見ていきます。
採取した羊水には、赤ちゃんの細胞が含まれています。この細胞を培養し、染色体の数や構造を調べる流れ。培養に時間がかかるため、結果が出るまでにはおおむね2〜3週間かかります。染色体の数的な変化だけでなく、構造の変化まで確認できる点が、確定検査ならではの強みです。
羊水検査の流産リスクと受ける前の心構え
羊水検査で気になるのは、やはり流産のリスクでしょう。検査に伴う流産の確率は、報告により幅がありますが、おおむね0.3%前後とされます。数字だけを見ると小さく思えても、当事者にとっては軽くない決断。だからこそ、受ける前に十分な説明を受けてください。
NIPTで陽性となり、確定のために羊水検査を考える方は少なくありません。Xでも@tetete_4649さんが、NIPTで21トリソミー陽性となり後日羊水検査を受ける予定だとつづり、針を刺す痛みや結果までの日数を経験者にたずねていました。こうした不安は自然なもの。私も、痛みや待ち時間への疑問はためらわず医師に聞いてほしいと感じます。受ける時期や検査後の過ごし方は、羊水検査を受ける時期を解説した記事や羊水検査の詳細をまとめた記事もあわせて確認してください。
検査後は、しばらく安静にして過ごします。腹痛や出血、まれに感染などの可能性もあるため、気になる症状が出たときはすぐに連絡を。数字上のリスクは小さくても、体からのサインには敏感でいてください。
絨毛検査(CVS)の特徴|早い時期に受けられる確定検査
絨毛検査は妊娠10〜13週ごろに受けられる確定検査で、羊水検査より早い時期に染色体を調べられます。胎盤の一部である絨毛を採取して分析します。早く結果を知りたい方にとって選択肢になる一方、羊水検査より流産リスクがやや高い点に注意が必要です。特徴を順に見ていきます。
絨毛(CVS)は、赤ちゃんと同じ受精卵から育った組織です。ここを調べることで、羊水検査を待たずに早い段階で染色体の状態を確認できます。結果が早く分かれば、その後を考える時間の余裕も生まれるもの。時期の早さは、絨毛検査ならではの利点です。
胎盤性モザイクという判断の難しさ
絨毛検査には、独特の注意点があります。まれに、胎盤の染色体と赤ちゃん本体の染色体が一致しないことがあり、これを胎盤性モザイクと呼びます。この場合、結果の解釈が難しくなり、確認のために羊水検査を追加することがあります。早さと引き換えの慎重さ、と言えるかもしれません。
流産のリスクは、報告により幅がありますが、おおむね1%前後とされます。羊水検査よりやや高めです。また、絨毛検査を行える施設は限られています。早い時期に確定検査を希望する場合は、対応できる医療機関を事前に確認しておいてください。
NIPT・羊水検査・絨毛検査の比較表
3つの検査は「確定か非確定か」「受けられる時期」「体への負担」で性格が大きく異なります。言葉だけでは違いをつかみにくいので、下の表に主な項目を並べました。自分の状況と照らし合わせる手がかりにしてください。
| 項目 | NIPT | 羊水検査 | 絨毛検査 |
|---|---|---|---|
| 検査の位置づけ | 非確定的(スクリーニング) | 確定検査 | 確定検査 |
| 方法 | 母体の採血 | おなかに針を刺し羊水を採る | おなかや腟から絨毛を採る |
| 受けられる時期 | 妊娠10週前後から | 妊娠15〜16週ごろ | 妊娠10〜13週ごろ |
| 結果までの目安 | 数日〜2週間ほど | 2〜3週間ほど | 1〜2週間ほど |
| 流産などのリスク | ほとんどなし | おおむね0.3%前後 | おおむね1%前後 |
| 主な対象 | 13・18・21トリソミーなど | 染色体の数・構造の変化 | 染色体の数・構造の変化 |
表からわかるのは、NIPTが「入口」の検査だということです。負担が少なく早く受けられる一方で、確定はできません。羊水検査と絨毛検査は確定できる代わりに、リスクと時期の制約があります。どれか1つが優れているのではなく、目的に応じて使い分ける関係です。
どの検査が自分に合うか|選び方の考え方
検査選びは、妊娠週数・確定診断が必要かどうか・不安の大きさの3つを軸に考えると整理しやすくなります。正解は人それぞれです。ここでは、迷ったときに立ち返れる考え方の道すじを示します。
体への負担をできるだけ避けたい方や、まず可能性を知りたい方は、NIPTから考える流れが自然です。採血だけで済み、早い時期に受けられます。陰性であれば、そのまま健診で経過を見守る選択も取れます。入口として使いやすい検査です。
一方で、最初から確定した結果を得たい方や、超音波検査で気になる所見があった方は、羊水検査や絨毛検査が候補になります。とくに早い時期に確定させたい場合は絨毛検査、時期に余裕があれば羊水検査、という考え方も。年齢や過去の妊娠歴も、医師との相談材料になります。NIPTが陽性だった場合の進め方は陽性後の次のステップを解説した記事で詳しくまとめています。
どの検査にも、長所と短所があります。「絶対にこれが正解」という選び方はありません。自分が何を知りたいのか、結果をどう受け止めたいのかを言葉にすると、進む道が見えてきます。迷ったまま決めなくて大丈夫。専門家と一緒に考えていきましょう。
受ける前の遺伝カウンセリングと心理的サポート
検査を受ける前に遺伝カウンセリングを受けると、検査の意味や結果の受け止め方を整理でき、納得して選べるようになります。出生前診断は、医学的な検査であると同時に、気持ちの整理を伴う選択です。専門家の支えを上手に使ってください。
遺伝カウンセリングでは、それぞれの検査で何がわかり何がわからないのか、結果をどう考えればよいのかを、専門家が一緒に整理してくれます。臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーが対応する施設もあります。ひとりで抱え込まず、疑問をそのまま持ち込んでください。
結果を待つ数日から数週間は、そわそわと落ち着かないものです。パートナーや家族と気持ちを共有したり、必要に応じて専門のカウンセラーに頼ったりすることが、心の負担を軽くします。誰かに話すだけでも、気持ちは整理されるもの。ためらわず支えを求めてください。
出生前診断について、受けるか受けないかに正解はありません。検査を選ばないことも、まっとうな選択です。染色体の変化がある赤ちゃんも、かけがえのない一人ひとり。この記事は特定の結論を勧めるものではなく、あくまで判断の材料をお届けするものです。公的な情報として日本産科婦人科学会、出生前検査認証制度等運営委員会、日本産婦人科医会の発信もあわせて確認してください。
よくある質問
Q. NIPTと羊水検査の一番の違いは何ですか?
もっとも大きな違いは、確定できるかどうかです。NIPTは母体の採血だけで受けられる非確定的検査で、染色体の変化がある可能性を絞り込みます。羊水検査はおなかに針を刺して染色体を直接調べる確定検査です。NIPTで陽性でも診断は確定せず、確定には羊水検査や絨毛検査が必要になります。負担の少なさと確実さは、それぞれの検査で役割が分かれています。
Q. NIPTが陽性だったら必ず赤ちゃんに異常があるのですか?
陽性でも確定ではありません。NIPTはあくまで可能性を示す検査で、陽性のときに実際に染色体変化がある割合(陽性的中率)は、年齢や対象疾患の頻度によって変わります。確定させるには、羊水検査や絨毛検査などの確定検査が必要です。陽性の結果に驚くのは自然なことですが、まずは遺伝カウンセリングで次の進め方を相談してください。
Q. 羊水検査と絨毛検査の流産リスクはどのくらいですか?
報告によって幅がありますが、羊水検査はおおむね0.3%前後、絨毛検査はおおむね1%前後とされます。絨毛検査のほうがやや高めです。どちらもおなかに針を刺す確定検査のため、わずかながらリスクを伴います。数値の受け止め方には個人差があるので、受ける前に医師から十分な説明を受け、納得したうえで決めてください。
Q. NIPTではどんな病気がわかりますか?
主な対象は、13トリソミー・18トリソミー・21トリソミー(ダウン症候群)です。施設によっては性染色体の変化や微小欠失を追加できる場合もありますが、微小欠失や単一遺伝子疾患は一般的な対象ではなく、一部施設のオプションにとどまり、調べられる対象は限られます。NIPTですべての病気や障害がわかるわけではない点も、あわせて理解しておいてください。
Q. 検査を受ける前に何を準備すればよいですか?
まず、遺伝カウンセリングを受けて検査の意味を整理することをおすすめする施設が多くあります。何を知りたいのか、結果をどう受け止めたいのかを、パートナーや家族と話しておくと落ち着いて臨めます。妊娠週数によって受けられる検査が変わるため、早めに医師へ相談してください。疑問や不安は、遠慮せずそのまま持ち込んで構いません。
Q. 検査は受けなければいけないものですか?
出生前診断は、受ける・受けないをご自身で選べる検査です。受けないという選択も、まっとうな判断です。検査を勧める目的の記事ではなく、判断の材料をお届けするものと考えてください。迷うときは遺伝カウンセリングで専門家に相談し、ご自身とパートナーの価値観に沿って決めてください。どの選択をしても、その気持ちは尊重されるべきものです。
著者・監修
岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director(ラボディレクター)。慶應義塾大学医学部卒業後、日本と米国の医師国家試験に合格し、医学博士を取得。日本に約20人しかいないラボディレクター資格を保有。YouTube「ひろし先生の正しいエビデンス妊娠ch」などで、エビデンスにもとづく妊娠・出生前診断の情報を発信しています。
ヒロクリニックが提供するNIPT(新型出生前診断)と羊水検査・絨毛検査の違いや検査精度、リスク、適したタイミングについて詳しく解説。検査の選び方に悩む妊婦さんに向け、安心して選択できる情報をお届けします。
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

