子どもは何人欲しい?~理想と現実~【医師監修】

双子

子どもを育てたいと考える人は、「何人欲しい」という希望がある方も多いと思います。この記事では、育てる子どもの人数について、国内での調査結果をもとに理想と現実を掘り下げていきたいと思います。

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はじめに

みなさんは将来の希望として、何人の子供が欲しいなどの理想はありますか?「一人っ子で大事に育てたい」「たくさん子どもを作ってワイワイ過ごしたい」などそれぞれ希望がある方が多いのではないでしょうか。

しかしながら、子どもは授かりものであることから理想どおりに授かることができない場合、もしくは経済的な要因や環境的な要因からあきらめることを選択する場合もあります。

この記事では国内での調査などの情報をもとに、理想の子どもの人数と現実について掘り下げていきたいと思います。

実際は何人兄弟・姉妹が多い?

日本の出生率は2016年で1.44人という統計結果があります。

合計特殊出生率は未婚・既婚関わらず15〜49歳の女性が産む子どもの平均数をあらわしますが、出生率では兄弟・姉妹の数まではわかりません。しかし夫婦の完結出生児数の統計を見るとおおよその兄弟・姉妹の数がわかります。

夫婦の完結出生児数とは、結婚持続期間が15〜19年の夫婦の平均出生数のことをいいます。つまり、夫婦の最終的な平均出生数のことを指します。2015年の夫婦の完結出生児数は1.94人であり、2010年以降は2人を下回っています。

子どもが1人という家庭は18.6%、2人は54.0%、3人は17.9%、4人以上は3.3%という統計になりました。結婚持続期間が0〜4年の夫婦の場合、1家庭につき子どもの数が0.78人、5〜9年で1.59人が平均値でした。

平均すると、子どもが2人いるという家庭がもっとも多くなっています。

何人きょうだいが多い?

理想の子どもの数

平成21年に内閣府が満20~49歳のインターネット登録モニター10,054人を対象に行った調査によると、理想の子ども数としては「2人」が55.1%で最も多く、次いで「3人」が26.7%、「1人」が5.6%となっています。

さらに、予定の子ども数をみると、理想の子ども数と同様に「2人」と回答した方が最も多く44.8%、次いで1人が16.1%、3人が11.5%となっています。

子どもを2人以上希望する理由とは

これらの結果から「子どもは2人ほしい」と望む人が多いといえそうです。子どもを2人以上望む理由にはどのようなことが挙げられるでしょうか。

兄弟をつくってあげたい

子どもが2人ほしいという理由としては、やはり一人っ子だと「日常的な遊び相手がいない」「将来的に相談したり協力しあう相手がいない」「親の介護などの負担が1人にいってしまう」などの理由が挙げられるようです。

また、明治安田総合研究所が行った「2014年20〜40代の出産と子育て」という調査結果を見ると、震災がきっかけで「理想の子どもの人数」が増加傾向にあるとわかります。震災後に家族の絆への意識が高まったことで、2人以上の子どもが理想的という統計が出たのかもしれません。実際、兄弟・姉妹がいることで乳幼児期はお互いを遊び相手にしてくれるので、親としても助かる場面は多そうです。

子どもの成長にとって人と遊んだり会話をすることは非常に重要な過程です。上の子どもに甘えたり、時には喧嘩したりといった経験は兄弟・姉妹がいるからこその体験になります。親や祖父母といった大人だけではそれを築くのが難しいことがあります。そのため、「子どもの社会」をつくれる同年代の子どもが日常的にいることはメリットが大きいといえます。

また、同じ環境で育つ兄弟・姉妹がいることで気持ちや苦労を共感・分担しやすくなります。例えば、親が共働きの場合は寂しさが緩和されたり、将来的に親に万が一のことがあった場合、気持ちの部分だけではなく、苦労や負担を分散させて助け合うことができます。家族間でしか相談したり、頼ったりできない場面というのは、誰しもが経験することでしょう。

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自分自身の体験から

また、夫婦の完結出生児数の統計を見ると、2005年以前は2〜3人兄弟・姉妹が多いです。そのため現在20~30代の出産適齢期の人たちは兄弟・姉妹がいる人が多いと思います。「自分に兄弟・姉妹がいたから自分の子どももそのくらいほしい」と感じる人もいます。

親と子どもは別人格であり別の人生を歩むものですが、自分自身の生い立ちや体験を重ね合わせて、兄弟・姉妹がいてほしいと感じます。一人っ子の人が「兄弟・姉妹がいたらよかった」と感じる理由として、「生活環境が自分の性格に影響があった」と感じる人も少なくないようです。一人っ子故に「人見知りがあった」「大人から甘やかされることに違和感がなかった」という経験から、親になったら2人以上の子どもがほしいと望む人もいるようです。

1人目と異なる性別の子を育ててみたい

2人目がほしいというよりも「異なる性別の子を育ててみたい」という理由もあるのではないでしょうか。また、1人目の育児をしている中で「上の子とは違う性別の子どもを育てたい」「両性がほしい」という気持ちがわく人もいます。

子どもの性別を重要視している人は少なくありません。しかし現在では、原則的に出産まで胎児の性別を教えない方針をとっている医療機関も増えてきています。性別が原因で堕胎を選択するリスクを減らすという理由があるからです。

ただ、「大人になっても母と娘で仲良く旅行に行ったり、買い物に出かけたい」「父と息子でキャッチボールをしたり、お酒を酌み交わしたい」そういった夢というのは、少なからず芽生える気持ちだと思います。

また、親と子どもという枠組みを超えて、同性だからこそ「共有できること」というものがあります。そういった理由で2人以上の兄弟・姉妹を望む家庭もあります。

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一人っ子を希望する理由とは

一方で、一人っ子にもメリットがあるため、はじめから一人っ子を望む場合もあります。

兄弟・姉妹が仲良くなるとは限らない

理由のひとつとして、兄弟、姉妹がいても、仲良くなるとは限らないということがあげられます。兄弟、姉妹であっても性格的な不一致が起こることはあるため、子ども1人で家庭内がうまくいっているのであれば、あえて2人目を作ろうと思わないこともあるでしょう。

兄弟・姉妹の学力差などで悩むケースも

また、兄弟がいる場合、どちらの方が勉強ができる、スポーツができるなど、差が出てきてしまう場合があります。その場合、親は平等に接していたとしても、家庭内の雰囲気が悪くなってしまうこともあります。一方、一人っ子はそういった点で、兄弟と比べられることもなく、両親の愛情を独り占めして伸び伸びと育てることができます。そういった理由で一人っ子を選択する家庭もあります。

十分に愛情を注いであげたい

2人目以降の子どもが生まれると、上の子どもには我慢をしてもらう場面がでてきます。親の体はひとつですから、もう1人生まれると今まで一緒に遊んでいた時間を下の子の面倒にとられてしまって、さみしい思いをさせてしまうことは少なからずあるでしょう。今いる子がかわいくてしょうがなくて、2人目を作ることが考えられないケースもあるといいます。

十分に教育を施してあげたい

今日では中学受験が一般化するなど、子どもにかける教育費用が上がっています。グローバル化等の影響もあり、留学をさせてあげたいと考える親も少なくありません。十分な教育費用をかけるために、選択的に一人っ子にする家庭も多くあります。

子どもは何人欲しい?

理想の子供の数を持てない理由

2人目の壁とは?

1982〜2002年は一人っ子家庭の割合が10%未満でしたが、2005年以降は一人っ子家庭が急増しています。一人っ子家庭は2010年には15.9%、2015年には18.6%と右肩上がりになっています。

先に挙げた理由などから選択的に一人っ子を希望する夫婦も増えていますが、複数の子どもがいる家庭を羨ましいと思いながらも「2人目の壁」を越えることができずに一人っ子となる家庭も少なからずあります。

仕事との両立

働いている女性の場合、上の子どもと同じ保育園などに預けられるのか、転職をする場合は、育児中でも働きやすい環境の職場が見つかるのか心配に思う方もいらっしゃると思います。

家庭によっては、「幼稚園に入るまでは育児に専念をしてほしい」という希望もあるかと思います。諸々の事情を考えると、2人目ができてやっていけるのか不安になるケースもあるでしょう。

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妊娠・出産の負担、リスク

妊娠期の辛さ、育児の大変さなどの点も2人目の壁として考えられます。妊娠期にはつわりや腰痛、睡眠不足、体重管理などの身体的な問題、出産まで子どもが健康に生まれてくるか、流産や早産などの問題がないかという不安を感じることもあるでしょう。

人によっては、出産後も妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群の影響が残る可能性もあります。「産前は健康だったけど産後に体調が戻らない」という理由で仕事を諦めたり、日々の生活に支障が出る場合もあります。

また、出産の痛みをもう一度体験するのが怖くて躊躇するケースもあります。今日、無痛分娩が少しずつ普及してきていますがまだ一般的ではありません。仮に無痛分娩をするにしても完全に無痛になるケースは少ないといいます。

ノーリスクでの出産というものはなく、常にリスクを伴います。そのような理由から、1人で十分と考えるケースも多々あるようです。

子育ての負担

子育ては子ども1人でも2人でも大変です。子どもを育てながら妊娠、出産をし、新生児のお世話をしながら上の子どもの育児もするというのは決して簡単なことではありません。

また、子どもの将来を考えると、金銭的なことも考えていかなければなりません。子ども1人当たりに教育費として約1000万円かかると言われています。子どもの人数が増えるに伴い、出費が増えるため、必要な世帯年収も高くなります。そうなると共働きをしなければならないケースも多くあると思いますが、そうなるとまた仕事と育児との両立の問題が出てきます。

このような理由から簡単には「2人目」を考えられないという現状があります。

高齢出産など、年齢的な要因

また、「初産の年齢によっては2人目以降もほしい」と考える人もいます。晩婚化が進むことで初産の年齢が上がり、それと同時に「2人目以降を考えられない」「なかなか妊娠ができない」という人も少なくありません。

妊娠の確率は25歳までで約30%、35歳で約18%、40歳で約5%といわれています。女性の初産の平均出産年齢は30.7歳と考えると、2人目以降が難しいという現状もあります。

高齢出産では、妊娠のしにくさだけではなく、流産や染色体異常などの障害が起こる確率が上がることがわかっています。最近注目されているNIPT(新型出生前診断)は、染色体異常を調べる検査ですので、高齢の妊婦さんで不安がある場合はNIPTを受検することも選択肢となるでしょう。

さらに高齢出産では、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの妊娠に伴う合併症も増加することがわかっています。これらの理由から2人目を躊躇するケースも多いようです。

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まとめ

国内の調査結果から多くの方が複数の子どもを希望していることがわかりました。

しかしながら、子どもは授かりもののため理想通りに授かるとは限りません。また、子どもが増えると楽しみも増えますが、子育ての負担は大きくなります。

理想通りに授からなくても、一人っ子には一人っ子のメリット、二人以上には二人以上のメリットがそれぞれあります。子どもの人数にこだわりすぎずに、授かった子を愛情をもって大事に育てるという心構えで妊活や子育てに取り組んでいきましょう。

子どもを育てたいと考える人は、「何人欲しい」という希望がある方も多いと思います。この記事では、育てる子どもの人数について、国内での調査結果をもとに理想と現実を掘り下げていきたいと思います。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

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記事の監修者


川野 俊昭先生

川野 俊昭先生

ヒロクリニック博多駅前院 院長
日本産科婦人科学会専門医

産婦人科医として25年以上、主に九州で妊婦さんや出産に向き合ってきた。経験を活かしてヒロクリニック博多駅前院の院長としてNIPT(新型出生前診断)をより一般的な検査へと牽引すべく日々啓発に努めている。

略歴

1995年 九州大学 医学部卒業
1995年 九州厚生年金病院 産婦人科
1996年 九州大学医学部付属病院 産婦人科
1996年 佐世保共済病院 産婦人科
1997年 大分市郡医師会立アルメイダ病院 産婦人科
1998年 宮崎県立宮崎病院 産婦人科 副医長
2003年 慈恵病院 産婦人科 医長
2007年 日本赤十字社熊本健康管理センター診療部 副部長
2018年 桜十字福岡病院 婦人科
2020年 ヒロクリニック博多駅前院 院長

資格

日本産科婦人科学会専門医
検診マンモグラフィ読影認定医
日本スポーツ協会公認 スポーツドクター
厚生労働省認定臨床研修指導医
日本抗加齢医学会専門医

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