これから妊活をするにあたって不妊治療の体外受精を行う選択肢が生まれる可能性があります。 ただ、体外受精で本当に妊娠出来るのか気になる人もいるのではないでしょうか?今回の記事では、体外受精とは何か、年齢別の妊娠確率など気になることを解説します。
体外受精の妊娠確率は、年齢とともに段階的に下がっていきます。20代後半から30代前半では移植あたりの妊娠率が高く保たれ、35歳を過ぎると徐々に、40代に入ると大きく低下すると報告されています。ただしこの数字は施設や体の状態で幅があり、「必ずこうなる」とは言い切れません。
この記事では、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)の基本から、年齢別の妊娠・生産(出産)確率の目安、採卵1回あたりの確率、双子や流産のリスクまでを、公的機関と学会のデータをもとに解説します。数字はすべて「目安であり、文献により幅がある」という前提でお読みください。妊娠が成立したあとに考えたい出生前検査への流れも、あわせてご案内します。
💡 この記事でわかること
- 体外受精(IVF)と顕微授精(ICSI)、人工授精の違い
- 年齢別の妊娠率・生産率の目安(学会の登録データに基づく傾向)
- 採卵1回でどこまで進むのか、施行回数と確率の関係
- 双子(多胎)の確率と、自然妊娠・人工授精との流産率の比較
- 妊娠後に検討したい出生前検査(NIPTなど)への流れ
体外受精とはどのような不妊治療?
体外受精とは、体の外で卵子と精子を出会わせ、育った受精卵(胚)を子宮に戻す治療法です。英語ではIVFと呼ばれます。
取り出した卵子に精子をふりかけて自然な受精を待つ方法が、いわゆる一般的な体外受精。これに対し、細いガラス針で1個の精子を卵子へ直接注入する方法が顕微授精(ICSI)です。精子の数が少ない、動きが弱いといった男性側の要因があるときに選ばれます。

受精した胚を子宮に戻す工程が、胚移植です。大まかな流れを整理しておきます。
- 薬で卵胞を育てる
- 排卵を促す注射をする
- 採卵する
- 精子と受精させ、数日間培養する
- 育った胚を子宮に戻す(胚移植)
- 約2週間後に妊娠判定
体外受精は、タイミング法や人工授精を続けても妊娠に至らないときに選ばれる方法です。不妊の原因は女性側にあると思われがちですが、日本生殖医学会は男女ともに原因が見つかりうると説明しています。実際、精子の数や運動率など男性不妊(男性因子)が関わるケースも少なくありません。ご夫婦の両方を調べることが、遠回りを避ける近道になります。
体外受精と人工授精の違いは?
両者の一番の違いは、「受精を体の外で行うか、中で行うか」です。
人工授精(AIH/IUI)は、調整した精子を細い管で子宮の奥へ送り込み、あとは体内で自然な受精を待つ方法。手技はシンプルで体への負担も軽めです。一方の体外受精は、採卵という小手術を伴い、受精と初期の育ちまでを体の外で確認します。
妊娠率は一般に体外受精のほうが高いと報告されています。ただし費用や体への負担は体外受精のほうが大きくなります。まずは人工授精から、という順番が一般的です。それぞれの違いは人工授精の仕組みと成功率の記事で詳しく整理しています。
【年齢別】体外受精の妊娠・生産確率の目安は?
体外受精の確率は、若い年代ほど高く、35歳以降で段階的に下がる傾向が報告されています。
ここで示す数字は、日本産科婦人科学会が公表する体外受精(ART)の登録データなどをもとにした目安です。施設・治療方針・体の状態で幅が出るため、あくまで傾向としてご覧ください。とくに「妊娠率」と、無事に出産まで至る「生産率」は別物で、生産率のほうが低くなります。

25〜34歳の妊娠確率
この年代は、移植あたりの妊娠率が約35〜40%前後と、体外受精で最も高い水準にあると報告されています。卵子の質が保たれ、採卵で得られる胚の数も多い傾向があるためです。「早めに動いたほうがよい」と勧められる背景には、この年代の余力があります。迷っている段階でも、一度相談してみてください。
35〜39歳の妊娠確率
35歳を境に、妊娠率は約20〜30%前後へと下がり始めます。卵子の数と質の両方が少しずつ変化する年代です。生産率で見ると妊娠率よりさらに低くなり、流産の割合も上がってきます。1回の結果に一喜一憂しすぎず、複数回を見据えた計画を立てておくと気持ちが楽になります。
40歳以降の妊娠確率
40〜44歳では移植あたり約10〜20%前後、45歳以降は約5%前後と、低下が目立つ年代です。採卵できる卵子の数が減り、染色体の変化を持つ胚の割合が増えるためと説明されています。可能性がゼロというわけではありませんが、体調・費用・気持ちの三方向で早めの相談が現実的な選択になります。
数字はあくまで平均像です。凍結した卵子を使った体外受精について、あるユーザーは「年齢別に無事出産できる確率は30歳未満で約35〜40%、35〜39歳で約20〜30%程度、ならして大体3割くらいという実感」と@active_cns_NさんがX上で綴っていました。統計の傾向と、当事者の体感が近いところにあるのだと感じます。
採卵1回で妊娠に至る確率と、施行回数の関係は?
採卵1回がそのまま1回の移植チャンスになるとは限りません。工程を進むたびに数が絞られていくためです。
採卵で得た卵子のうち、受精まで進むのは一部。受精卵がさらに育って凍結できる胚になる段階でも数は減ります。この「絞り込み」を、あるユーザーが具体的に書き残していました。私自身も現場で説明する感覚と重なります。@risu_biyouさんは「採卵から受精卵で半分になり、受精卵から凍結胚でさらに半分に。採卵数の4分の1くらいが凍結の目安で、着床や妊娠継続はまた別。AMHが低いと卵子が育ちにくい」とXで綴っていました。数字が段階的に減る現実を、当事者の言葉が的確に伝えています。
施行回数については、おおむね3〜4回目までは1回あたりの妊娠率が大きく落ちないと報告されています。逆に言えば、それ以上重ねても結果が出ない場合、卵子・精子・子宮のいずれかを詳しく調べ直す判断材料になります。妊娠を望む前の段階の体づくりについては妊娠前に整えておきたい準備の記事も参考にしてください。
体外受精で双子を妊娠する確率は高い?
複数の胚を戻せば双子(多胎)の確率は上がりますが、現在は原則1個移植が主流です。
多胎妊娠は、早産や低出生体重、妊娠高血圧など母体・赤ちゃん双方の負担が増えると報告されています。そのため多くの施設が単一胚移植を基本方針としています。双子を望む気持ちがあっても、まずは安全に1人を、という考え方が広がっています。移植する胚の数は、必ず担当医と相談して決めてください。
流産する確率に差はある?自然妊娠・人工授精・体外受精の比較
流産率そのものは、妊娠成立後で見ると治療方法による差は大きくないと考えられています。
体外受精での流産率は約20%前後、自然妊娠では約15%前後という目安が示されることがあります。ただしこの差の多くは、治療方法そのものより受ける方の年齢によるものと説明されます。年齢が上がるほど流産率も上がるためです。人工授精と体外受精のあいだにも、流産率の明確な差は報告されていません。数字は文献により幅がある点に注意してください。
| 妊娠の成立経路 | 流産率の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 自然妊娠 | 約15%前後 | 年齢が上がると上昇 |
| 人工授精 | 体外受精と大差なし | 年齢の影響が大きい |
| 体外受精 | 約20%前後 | 高年齢層で受ける割合が高い |
表のとおり、治療の種類より年齢が流産率を左右します。だからこそ、早い段階での相談が結果につながりやすいのです。
体外受精を受けるときの注意点
体外受精には、確率だけでなく体への負担や費用というもう一つの側面があります。事前に知っておきたい注意点を整理します。
卵巣過剰刺激症候群(OHSS)
排卵を促す薬に卵巣が反応しすぎると、卵巣が腫れ、お腹に水がたまることがあります。多くは軽症ですが、まれに血栓症などへ進むこともあると報告されています。お腹の張り、強い痛み、吐き気、尿量の減少に気づいたら、すぐ担当医へ連絡してください。
採卵に伴う出血・感染
採卵は針で卵胞から卵子を吸い出す処置です。ごくまれに出血や骨盤内の感染が起こることがあります。予防として抗生剤が使われる場合もあります。処置後の発熱や強い腹痛は、我慢せず相談してください。
費用と保険の扱い
近年は不妊治療の保険適用が広がり、条件を満たせば体外受精も保険で受けられる場合があります。年齢や回数の要件があるため、対象になるかは事前確認が欠かせません。公的な支援制度はこども家庭庁の母子保健ページで最新情報を確認できます。自由診療になる部分の見積もりも、早めに把握しておくと安心です。
妊娠が成立したあとに考えたい出生前検査
体外受精で妊娠が成立したら、次に気になるのが赤ちゃんの健康です。年齢が上がると染色体の変化の頻度も上がるため、出生前検査を検討する方が増えています。
その選択肢の一つがNIPT(新型出生前診断)です。妊婦さんの採血だけで、赤ちゃんの13・18・21トリソミーなど対象疾患に限って調べる非確定的(スクリーニング)検査で、流産のリスクを伴いません。ただし結果が陽性でも確定ではなく、確定には羊水検査などの確定検査が必要です。陽性的中率は年齢や有病率で変わる点も、あらかじめ知っておいてください。
検査を受けるかどうかに、正解はありません。費用の目安は出生前検査の費用をまとめた記事で確認できます。不妊の背景や検査の考え方は日本生殖医学会の生殖医療Q&Aも参考になります。迷ったときは、遺伝カウンセリングでご夫婦の疑問を整理するところから始めてみてください。
よくある質問(FAQ)
体外受精の確率について、相談で多くいただく質問をまとめました。
体外受精の妊娠確率は年齢でどのくらい変わりますか?
移植あたりの妊娠率は、20代後半〜30代前半で約35〜40%前後、35〜39歳で約20〜30%前後、40代で約10〜20%前後、45歳以降は約5%前後が目安と報告されています。いずれも学会の登録データに基づく傾向で、施設や体の状態により幅があります。
妊娠率と生産率(出産に至る率)は違うのですか?
はい、違います。妊娠率は妊娠が成立した割合、生産率は無事に出産まで至った割合を指します。流産などを差し引くため、生産率は妊娠率より低くなります。年齢が上がるほど両者の差も広がる傾向があります。
体外受精は何回まで受けられますか?
回数に絶対の上限はありませんが、おおむね3〜4回目までは1回あたりの妊娠率が大きくは落ちないと報告されています。それ以上で結果が出ない場合は、卵子・精子・子宮の状態を詳しく調べ直す目安になります。保険適用には年齢や回数の要件があるため、担当医に確認してください。
体外受精だと流産しやすいのですか?
治療方法そのものより、受ける方の年齢が流産率を大きく左右します。体外受精で約20%前後、自然妊娠で約15%前後という目安がありますが、この差の多くは年齢構成の違いによると考えられています。数字は文献により幅があります。
体外受精で妊娠したらNIPTは受けられますか?
受けられます。NIPTは妊娠成立後、一般的に妊娠10週前後から採血で受けられる非確定的検査です。13・18・21トリソミーなど対象疾患に限って調べ、陽性の場合は羊水検査などの確定検査で確認します。まずは遺伝カウンセリングで相談してください。
まとめ
体外受精の妊娠確率は、年齢によって段階的に変わります。20代後半〜30代前半で高く、35歳以降にゆるやかに、40代で大きく下がるのが全体の傾向。ただしどの数字も目安であり、体の状態や施設で幅がある点を忘れないでください。
採卵から凍結胚までは数が絞られ、妊娠率と生産率も別物です。流産率は治療の種類より年齢が左右します。だからこそ、迷っている段階でも早めに相談することが、後悔の少ない選択につながります。そして無事に妊娠が成立したら、赤ちゃんの健康を確かめる一歩としてNIPTなどの出生前検査もご検討ください。ご夫婦のペースで、一つずつ進めていきましょう。
監修:岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director。慶應義塾大学医学部卒業。日本とアメリカの医師国家試験に合格し、医学博士。国内でも数少ないラボディレクター資格を持ち。著書『妊娠したら最初に読んで欲しい本』。本記事は医療広告ガイドラインに配慮し、公的機関・学会・査読論文の情報を参照して作成しています。記載の数値は文献により幅があり、診断・治療の最終判断は担当医にご相談ください。
【参考】
・日本産科婦人科学会
・日本生殖医学会 生殖医療Q&A(不妊症の原因)
・こども家庭庁 母子保健(不妊治療支援)
これから妊活をするにあたって不妊治療の体外受精を行う選択肢が生まれる可能性があります。 ただ、体外受精で本当に妊娠出来るのか気になる人もいるのではないでしょうか?今回の記事では、体外受精とは何か、年齢別の妊娠確率など気になることを解説します。
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
参考文献
- shihara O, Saitoh H, Kuwahara A, Itakura A, Yamagata Z, Tanaka M, et al. Assisted reproductive technology in Japan: a summary report for 2019 by the Japan Society of Obstetrics and Gynecology. Reprod Med Biol. 2021;21(1):e12423.
- Smith AD, Tilling K, Nelson SM, Lawlor DA. Live-birth rate associated with repeat in vitro fertilization treatment cycles. JAMA. 2015;314(24):2654-2662.
- McLernon DJ, Steyerberg EW, Te Velde ER, Lee AJ, Bhattacharya S. Predicting the chances of a live birth after one or more complete cycles of in vitro fertilisation: population based study of linked cycle data from the UK. BMJ. 2016;355:i5735.
- Practice Committees of the American Society for Reproductive Medicine and the Society for Assisted Reproductive Technology. Ovarian hyperstimulation syndrome. Fertil Steril. 2016;106(7):1634-1642.

