猫鳴き症候群、プラダー・ウィリ症候群、アンジェルマン症候群の検出に関して

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性別のみを知りたい親の希望に応えるための方法と現行の検査方法の限界について解説します。

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この記事のまとめ

猫鳴き症候群(5p欠失症候群)、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群は、NIPTの基本項目(21・18・13トリソミー)には含まれません。対象を広げた拡大検査(微小欠失オプション)でなら、候補にあがることがあります。ただしNIPTはあくまで非確定的なスクリーニング検査であり、陽性であっても確定ではありません。確定には羊水検査絨毛検査による染色体マイクロアレイ検査(CMA)に加え、プラダー・ウィリー症候群とアンジェルマン症候群の鑑別にはメチル化検査が必要です。この記事では、3疾患の違いと検査の位置づけを公的機関・学術情報にもとづいて整理します。

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💡 この記事でわかること

  • 猫鳴き症候群・プラダー・ウィリー症候群・アンジェルマン症候群がどの染色体の変化で起こるか
  • NIPTの基本項目と拡大項目(微小欠失オプション)で、この3疾患がどう扱われるか
  • 同じ15番染色体の変化でも、プラダー・ウィリー症候群とアンジェルマン症候群で症状が分かれる理由(インプリンティング)
  • NIPTで陽性が出たときに進む確定検査(羊水検査・CMA・メチル化検査)の流れ
  • デノボ・均衡転座・片親性ダイソミー(UPD)など、次のお子さまへの影響の考え方
  • 診断後に頼れる相談先とご家族への支援

1. 猫鳴き症候群・プラダー・ウィリー症候群・アンジェルマン症候群とは

この3つの病気は、いずれも染色体のごく一部が生まれつき欠けている(微小欠失)ことで起こる、まれな遺伝性疾患です。猫鳴き症候群は5番染色体、プラダー・ウィリー症候群とアンジェルマン症候群は15番染色体の変化が原因ですが、原因となる場所も症状も異なります。

ヒロクリニックNIPTにも、「同じ染色体の名前が出てくるのに、なぜ違う病気なのか分からない」というご相談が寄せられることがあります。まずは3疾患の位置づけを整理しておきましょう。

病名原因となる染色体の変化主な特徴
猫鳴き症候群(5p欠失症候群)5番染色体短腕(5p)の欠失乳児期の高く細い泣き声、発達の遅れ、特徴的な顔立ち
プラダー・ウィリー症候群15番染色体長腕(15q11-q13)の父親由来領域の機能喪失乳児期の哺乳の弱さ、のちの過食傾向、発達の遅れ
アンジェルマン症候群15番染色体長腕(15q11-q13)の母親由来領域(主にUBE3A遺伝子)の機能喪失重度の発達の遅れ、てんかん、笑いを伴う特徴的な行動

なお「猫鳴き症候群」という呼び名は、乳児期の泣き声の特徴に由来する通称です。現在は「5p欠失症候群」という名称が公的資料でも中心的に使われる傾向にあり、本記事でもこれ以降は5p欠失症候群と表記します。

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2. NIPTでこの3疾患はわかるか(基本項目と拡大項目の違い)

5p欠失症候群・プラダー・ウィリー症候群・アンジェルマン症候群は、基本的なNIPTの対象には含まれません。これらが候補にあがるのは、微小欠失まで対象を広げた拡大検査(微小欠失オプション)を選んだ場合に限られます。

一般的な基本NIPTが調べるのは、21・18・13トリソミーという染色体の「数」の変化が中心です。これに対し5p欠失症候群やプラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群は、染色体の一部が「欠ける」構造の変化です。調べる仕組みそのものが異なります。国内で提供されている拡大検査の中には、こうした微小欠失・重複を広く対象に含むプランもあります。ただし対象疾患の範囲や検出率は、検査会社・プランによって幅があります。

公益社団法人日本産科婦人科学会のNIPTに関する指針でも、NIPTの結果はスクリーニング(非確定的)検査の範囲にとどまるとされています。陽性であっても、実際に疾患を有する割合(陽性的中率)は対象疾患の頻度が低いほど下がりやすい点にも注意してください。

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3. 5p欠失症候群(猫鳴き症候群)の特徴と原因

5p欠失症候群は、5番染色体の短腕(5p)の一部が生まれつき欠けていることで起こります。頻度は15,000〜50,000出生に1人程度とされる、きわめてまれな疾患。

乳児期に子猫の鳴き声に似た高く細い泣き声が特徴的に見られることが名前の由来ですが、成長とともに目立たなくなることが多いとされています。ほかに小頭症、発達の遅れ、筋緊張低下などが報告されています。難病情報センターの指定難病情報によると、原因となる染色体の変化のうち約85%は5番染色体短腕の単純な欠失です。残りは、不均衡型相互転座やモザイクなど複数のパターンに分かれます。

不均衡型相互転座が原因となるケースでは、ご両親のどちらかが症状の出ない均衡転座を持っていることがあり、次のお子さまへの再発リスクに関わります。染色体検査で由来を確認しておくことが、今後の見通しを立てるうえで助けになります。

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4. プラダー・ウィリー症候群とアンジェルマン症候群 ― 同じ15番染色体でも症状が違う理由

プラダー・ウィリー症候群とアンジェルマン症候群は、どちらも15番染色体長腕(15q11-q13)の変化が関わります。ただし、欠けた染色体が父親由来か母親由来かによって、どちらの病気になるかが決まります。この仕組みを「ゲノムインプリンティング(遺伝子刷り込み)」と呼びます。

父親由来の15q11-q13領域が働かなくなるとプラダー・ウィリー症候群に、母親由来のUBE3A遺伝子が働かなくなるとアンジェルマン症候群になります。同じ場所の変化でも、由来する親によって現れる病気がまったく異なる点が、この2疾患を理解するうえでの核心です。難病情報センターのプラダー・ウィリ症候群(指定難病193)難病情報センターのアンジェルマン症候群(指定難病201)にも、この原因の違いが解説されています。より専門的に確認したい方はGeneReviews Japanのプラダー・ウィリ症候群GeneReviews Japanのアンジェルマン症候群の解説もあわせてご覧ください。

原因のパターンプラダー・ウィリー症候群アンジェルマン症候群
該当領域の欠失約60〜70%約65〜75%
片親性ダイソミー(UPD)約30〜40%約3〜7%
インプリンティング異常5%未満約3%
遺伝子の変異(UBE3A等)該当なし約11%

この割合はGeneReviews Japanのプラダー・ウィリ症候群GeneReviews Japanのアンジェルマン症候群にもとづく目安です。研究によって幅があり、施設ごとに集計方法も異なります。数字を丸暗記するよりも「原因のパターンが複数ある」こと自体を押さえておいてください。医師の説明が、ぐっと理解しやすくなります。

相談を受けていて感じるのは、診断名だけを見て将来像を一律に決めつけてしまうご家族が少なくないということです。関東PWSケアギバーズネットワークの運営委員長として、30年以上プラダー・ウィリー症候群のある方を支援してきた方がいます。@YamadaYasunobu氏も、「PWSは15番染色体の変化によって起こる疾患である」とまず正しく知ることが理解の第一歩になると発信しています。症状の背景を知ることは、診断後の受け止め方にも影響します。

5. NIPTで陽性が出た場合の確定検査の流れ

NIPTの拡大検査で5p欠失やプラダー・ウィリー症候群/アンジェルマン症候群に関わる領域の陽性所見が出ることがあります。この場合、確定診断には羊水検査絨毛検査による染色体マイクロアレイ検査(CMA)が必要です。加えてプラダー・ウィリー症候群とアンジェルマン症候群では、メチル化検査による鑑別が欠かせません。

CMAは欠失の有無や範囲を細かく調べられますが、その欠失が父親由来か母親由来かまでは判別できません。小児慢性特定疾病情報センターによると、プラダー・ウィリー症候群の診断で最も有用とされるのはメチル化検査です。父由来の非メチル化領域が存在しないことを確認する方法で、欠失・UPD・インプリンティング異常のいずれが原因でも、まとめてスクリーニングできます。

メチル化検査で異常が確認された場合は、さらにFISH法やマイクロアレイ、両親の検体との比較検査を組み合わせます。こうして、欠失・UPD・インプリンティング異常のどれにあたるかを絞り込みます。アンジェルマン症候群でメチル化検査が正常だった場合は、UBE3A遺伝子そのものの変異を調べる遺伝子検査が必要になることもあります。この変異はCMAやNIPTでは検出できません。症状からアンジェルマン症候群が強く疑われる場合は、メチル化検査だけで終わらせない判断も大切です。

実際にNIPTの微小欠失オプションを検討した方の投稿を見ていても、対象疾患の一覧にこの3疾患名が挙げられており、内容を確認したうえで選択している様子がうかがえます。ある妊婦さんの投稿(@mao3145氏)でも、微小欠失検査の対象として5p欠失症候群やプラダー・ウィリー症候群/アンジェルマン症候群が具体的に挙げられていました。検査を選ぶ前に、何が分かり何が分からないかを確認しておいてください。結果が出たときに、落ち着いて次の一歩を判断しやすくなります。

陽性所見が出たあと、あわてて結論を出す必要はありません。遺伝カウンセリングで結果の意味を確認し、確定検査を受けるかどうかを専門家と一緒に整理してください。ヒロクリニックNIPTでは、他院で羊水検査を受ける場合にも使える費用サポートを用意しています。

6. 遺伝形式と次のお子さまへの影響

3疾患のいずれも、多くは偶発的な変化(デノボ)で起こり、次のお子さまへの再発リスクは一般的に低いとされています。ただし原因のパターンによっては、再発リスクが高くなる場合があります。

5p欠失症候群で不均衡型相互転座が原因だった場合は、兄弟姉妹への再発リスクが上がることがあります。プラダー・ウィリー症候群でインプリンティング異常が家族性に伝わっている場合も同様です。妊娠中の生活習慣や食事が原因で起こるものではなく、ご自身を責める必要はありません。

次のお子さまへの影響が気になる場合は、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーによる遺伝カウンセリングをご検討ください。ご両親の染色体検査で由来を確認できると、見通しを立てやすくなります。

7. 診断後の相談先とご家族への支援

5p欠失症候群、プラダー・ウィリー症候群、アンジェルマン症候群はいずれも指定難病・小児慢性特定疾病に指定されています。医療費助成や療育などの公的支援を受けられます。一人で抱え込まず、専門機関とのつながりを頼ってください。

発達支援では理学療法(PT)・作業療法(OT)・言語聴覚療法(ST)を組み合わせた療育が行われ、症状の組み合わせや重さは一人ひとり異なります。「この病気なら必ずこうなる」という決まった経過はないため、担当医・療育スタッフと相談しながら、お子さまに合わせた支援計画を組み立てていくことになります。

近所で同じ病気のお子さまと出会う機会は少ないかもしれませんが、疾患別の家族会や支援団体とのつながりは大きな支え。医療的な判断は医師に任せつつ、ご家族の役割は目の前のお子さまの小さな成長を一緒に喜ぶことだと感じています。

次のお子さまに向けてNIPTを検討する場合、微小欠失をどこまで対象に含むかでプランの内容が変わります。ご自身に合うプランが分からない場合は、プラン診断を試してみてください。お電話でのご相談も受け付けています。0120-169-629までお気軽にお問い合わせください。

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よくある質問

猫鳴き症候群・プラダー・ウィリー症候群・アンジェルマン症候群はNIPTでわかりますか。

基本的なNIPTの対象には含まれません。微小欠失まで対象を広げた拡大検査で候補にあがることがありますが、NIPTは非確定的なスクリーニング検査のため、陽性でも確定ではありません。確定には羊水検査絨毛検査によるCMA、プラダー・ウィリー症候群とアンジェルマン症候群の鑑別にはメチル化検査が必要です。

なぜプラダー・ウィリー症候群とアンジェルマン症候群は同じ15番染色体の変化なのに症状が違うのですか。

15q11-q13領域は、父親由来か母親由来かで働く遺伝子が異なる「ゲノムインプリンティング」という仕組みを持っています。父親由来の領域が働かなくなるとプラダー・ウィリー症候群、母親由来のUBE3A遺伝子が働かなくなるとアンジェルマン症候群になります。

NIPTの微小欠失オプションで陽性が出たらどうすればよいですか。

まず遺伝カウンセリングで結果の意味を確認してください。そのうえで、羊水検査絨毛検査による確定検査を受けるかどうかを、担当医と相談しながら判断します。あわてて結論を出す必要はありません。

これらの病気は遺伝しますか。次の子にも影響しますか。

多くは偶発的な変化(デノボ)で、次のお子さまへの再発リスクは一般的に低いとされています。ただし均衡転座やインプリンティング異常が家族内で伝わっている場合は、再発リスクが高くなることがあるため、ご両親の染色体検査で確認することが勧められます。

「猫鳴き症候群」という病名は今も使われますか。

乳児期の泣き声の特徴に由来する通称として今も知られていますが、現在は「5p欠失症候群」という名称が公的資料でも中心的に使われる傾向にあります。

確定診断はどのような検査で行いますか。

羊水検査絨毛検査で採取した細胞を、染色体マイクロアレイ検査(CMA)で調べます。プラダー・ウィリー症候群とアンジェルマン症候群では、これに加えてメチル化検査で由来を確認し、必要に応じてUBE3A遺伝子の変異検査も行われます。

監修:岡博史(おか ひろし) / 医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director。慶應義塾大学医学部卒業。日本とアメリカの医師国家試験に合格し、医学博士。国内でも数少ないラボディレクター資格を保有しています。本記事は医療広告ガイドラインに配慮し、公的機関・学会情報を参照して作成しています(難病情報センター・小児慢性特定疾病情報センター・GeneReviews Japan・日本産科婦人科学会)。記載の頻度・割合は文献により幅があります。診断・治療の最終判断は担当医にご相談ください。

Q&A

  • Q
    育休は会社で制度が定められていなくても取得できますか?
    育児休業は、法律で定められている制度のため、会社の就業規則で定められていなくとも、申し出により取得が可能です。育児休業の取得は、労働者が請求できる権利の一つであるため、就業規則で定められていないからと諦めずに、上司へ取得の申請を依頼しましょう。
  • Q
    契約社員でも育休制度は利用できますか?
    契約社員でも、申請時点で子どもが1歳6カ月になる日までに、労働契約の期間が満了することが明らかになっていなければ、育児休業制度の取得が可能です。ただし、入社1年未満の場合や申し出の日から1年以内に雇用関係が解消されると明らかになっている場合、1週間の所定労働日数が2日以下の場合などは、対象外となる可能性があるため注意しましょう。
  • Q
    上司に育休の取得を認めてもらえませんでした
    育児休業は法律によって定められている制度で、労働者には請求の権利があります。そのため、原則企業は取得を拒否したり、制限したりできません。もし、上司から断られたり、渋られたりした場合は、人事労務担当者に相談しましょう。また、企業内で対応してもらえない場合は、都道府県労働局雇用環境・均等部に相談するのも一つの手段です。

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医師監修 監修日:2024年7月31日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

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