出生前診断でダウン症と分かったら?倫理的問題と中絶について【医師監修】

マタニティブルーズと妊娠・産後うつの違い

出生前診断は、出生前に21トリソミー(ダウン症候群)などの赤ちゃんの病気を知れる一方、中絶の判断材料になるのではといった倫理的な問題が残っています。本記事では出生前診断の倫理的課題や法律、中絶を選んだ方の理由などを解説していきます。

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出生前診断とは

出生前診断とは、お腹の中にいる赤ちゃんに先天性疾患があるかどうかを調べる検査のことです。出生前診断には以下のような方法があります。

母体血清マーカー検査・NIPT(新型出生前診断)、・胎児ドックは胎児への侵襲(ダメージ)が少ない一方、陽性リスクの有無を調べる検査となります。確定診断はできないため「非確定的検査」または「スクリーニング検査」と呼ばれています。

羊水検査と絨毛検査は、子宮に穿刺をするため胎児へのダメージが懸念されますが、染色体異常について確実な診断結果が得られるため「確定検査」と呼ばれています。

出生前診断のメリットは、赤ちゃんの健康状態を事前に知ることで、出産後の準備や将来の予測が立てやすいことが挙げられるでしょう。

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出生前診断で分かる病気

出生前診断で分かる病気には、以下のような先天性疾患があります。

奇形・変形などの形態異常は、お子さんの健康状態や輸血などの状況を評価し、手術で治療するのが基本です。

一方、ダウン症候群(21トリソミー)エドワーズ症候群(18トリソミー)などの染色体異常症は、手術や薬による治療ができません。

中でも最も症例数が多いとされるのはダウン症候群(21トリソミー)で、ダウン症候群(21トリソミー)をもつ赤ちゃんの年間出生数は推定2200人とされ、

高齢出産になればなるほど、赤ちゃんが染色体異常を持って生まれてくる確率は高くなるといわれています。

出生前診断で分かる病気・ダウン症 

ダウン症候群とは

ダウン症とは、先天性の染色体異常の一つです。人間には22対の常染色体が備わっているのですが、稀に、常染色体が3つ、または1つしかないことがあります。本来とは違う遺伝子情報は、体や知能への異常として表れてしまいます。

ダウン症は、21番目の常染色体が3つある「21トリソミー症」といわれています。いくつかある染色体異常の中でも、最も生じやすい病気です。特に、高齢出産だとダウン症の可能性が高くなるといわれており、20代前半では約1,000人に1人の割合ですが、40代以上になると約100人に1人にダウン症の赤ちゃんが生まれます。もちろん、あくまでも統計でしかありませんが、ダウン症の子が生まれるリスクが高まるのには変わりはありません。

ヒトは、2本1組の染色体を全部で23組持って生まれてきます。

ダウン症候群とは、このうち21番目の染色体が1本多く生まれてくる病気のことです。

通常2本の21番染色体が3本で生まれてくることから、「21トリソミー」とも呼ばれています。

ダウン症候群(21トリソミー)の子どもの特徴は、以下の通りです。

  • 頭は小さめ
  • 鼻が低く、顔は平坦
  • つり目で耳が小さい
  • 顔の筋肉が弱いので口を開けていることが多い
  • 身長が低い
  • 心臓などの病気を併発することが多い
  • IQは平均よりも低いことが多い
  • 注意欠如や多動症が見られることが多い
  • 対人関係が苦手、こだわりが強いといった自閉症状が出やすい など

ダウン症候群(21トリソミー)の赤ちゃんは、の赤ちゃんは、お腹の中にいる時から首の後ろが厚くなったり、鼻骨の形成が遅くなったりするなどの特徴が現れます。

なお、母親の採血だけで完了する非確定的検査のNIPT(新型出生前診断)は、ダウン症候群(21トリソミー)について、感度・特異度ともに99.9%と高い検査精度とされています。

ダウン症の症状について

ダウン症の症状はいくつもありますが、最も特徴的なのは「発達障害」についてです。ダウン症は幼少期の外的刺激が不十分(興味が低い)であることで、筋肉や言語の発達などが遅くなります。その結果、言葉がでなかったりあるいは出にくかったり、表現力が低いなどがありますがゆっくり成長していくのです。

また、人によっては外的刺激が無いことで知識障害になる子供もいます。ですが、車の運転や仕事をしている人も多く、決定的な症状というわけではありません。学習スピードは遅いかもしれませんが勉強できないわけではなく、実際に大学を卒業した人もいるほどです。発達障害があったとしても、それを個性として受け止めれば、あまり気にならないということでしょう。

他にも、染色体異常であることで、先天的な合併症を持っている場合もあります。

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日本の人工妊娠中絶の現状と出生前診断

出生前診断は妊娠・出産において母体の健康保持、または出産後の育児計画と将来の予測を立てることをおもな目的とします。出生前診断の結果が陽性だった場合は、覚悟を決めてダウン症などの障害のある子供を産んで育てるのか。障害はないかもしれないという奇跡を信じて産むのか、または産まない中絶といった決断をするのか。出生前診断の結果を受けての中絶率は決して低くはありません。

中絶とは

中絶は正式には「人工妊娠中絶」といい、胎児が母体外で生命を維持できない時期に、人工的に胎児を母体外に排出することを指します。なお、自己都合による中絶の費用は保険適用外です。手術費用は妊娠週数によって異なることから、中絶手術を行う医療機関に事前に費用を確認しましょう。

中絶手術が受けられるのは妊娠22週未満までです。

妊娠12週未満の場合、「掻爬(そうは)法」という子宮内をかき出す方法、もしくは「吸引」という子宮内を器械で吸い出す方法が行われます。

妊娠12週〜22週未満の場合、人工的に陣痛を起こして流産させる方法をとります。

※妊娠12週以降で中絶手術を受けた場合は、胎児の死産届の提出と、埋葬許可証が必要です。

経口中絶薬とは

経口中絶薬とは、薬剤により胎児の成長に必要なホルモン分泌を抑え、子宮を収縮させ人工的に陣痛を誘発することで胎児を排出する飲薬のことです。諸外国では一般的な中絶方法とされていますが、2022年2月現在、日本では未承認薬であり、緊急避妊薬と混同される方も少なくありません。

※2021年厚生労働省承認申請中

経口中絶薬は医師管理下で服用のタイミングが決められているほか、重篤な副作用の問題も多く挙げられています。また個人輸入サイトでの購入により、経口中絶薬を服用し中絶を行った場合、刑法212条自己堕胎罪により1年以下の懲役に処されます。

現在は厚生労働省未承認である経口中絶薬を購入すること自体が法律に抵触します。また自己判断での服用はとても危険な行為であるといえるでしょう。

中絶に関する法律

堕胎に関する罪は堕胎行為の内容により、それぞれの罪について刑法第212条〜第216条に規定されています。また、中絶を行うことができる条件は母体保護法によって定められています。

母体保護法

日本では、中絶できる条件が「母体保護法」によって定められています。この法律は、母体の生命健康を保護することを目的としています。

母体保護法第14条によると、中絶手術が行えるのは以下の条件に該当する場合です。

条件に当てはまる場合、医師会からの指定を受けた医師のみが、本人と配偶者の同意を受けて人工中絶手術を行えます。

配偶者が分からない場合や、配偶者の意思確認ができない場合は、配偶者の同意は必要ありません。

上記の条件を満たさない中絶は、刑法により堕胎罪に問われることになります。

母体保護法第 14条

第1項

第1号 妊娠の継続または分娩が身体的または経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの

第2号 暴行若しくは脅迫によってまたは抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの

第2項 前項の同意は,配偶者が知れないとき若しくはその意志を表示することができないときまた は妊娠後に配偶者がなくなったときには本人の意思だけで足りる

人工妊娠中絶可能な時期は21週6日までと定められています。初期中絶と中期中絶とあり、中絶を行う時期によって手術方法や費用、母体へのリスクも変わってきます。

初期中絶は妊娠6週〜11週6日までの間に行う手術の事を指し、中期中絶とは妊娠12週〜21週6日までの事を指します。初期中絶は通常10分程度で終わるため、入院などはなく手術が終わり次第当日帰宅することが可能です。中期中絶は初期中絶とは異なり、陣痛をおこして実際の出産と同じような処置が行われます。

NIPT(新型出生前診断)の検査では10週目から検査が可能な施設が多いですが、NIPNIPT(新型出生前診断)は確定検査ではないため陽性の場合は羊水検査などの確定検査を受ける流れとなります。そのため、中絶という選択をする場合には早急に決断をしなくてはなりません。

刑法第212条:自己堕胎罪

妊娠中の女子が薬物を用い、又はその他の方法により、堕胎したときは、1年以下の懲役に処する。

刑法第213条:同意堕胎罪

妊娠中の女子の嘱託を受け、又はその承諾を得て堕胎させた者は、2年以下の懲役に処する。 よって女子を死傷させた者は、3か月以上5年以下の懲役に処する。

刑法第214条:業務上堕胎罪(業務上堕胎及び同致死傷)

医師、助産婦、薬剤師又は医薬品販売業者が女子の嘱託を受け、又はその承諾を得て堕胎させたときは、3か月以上5年以下の懲役に処する。よって女子を死傷させたときは、6か月以上7年以下の懲役に処する。

刑法第215条:不同意堕胎罪

女子の嘱託を受けないで、又はその承諾を得ないで堕胎させた者は、6か月以上7年以下の懲役に処する。

刑法第216条:不同意堕胎致死傷罪

前条(第215条)の罪を犯し、よって女子を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

人工妊娠中絶について【医師監修】
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NIPT(新型出生前診断)と中絶について

NIPT(新型出生前診断)を受ける妊婦さんの数は年々増加傾向にあります。2013年4月から2017年9月までの約4年半でに5万1139人が新型出生前診断を受け、染色体異常である陽性と判定された人は933人。その中の907人が中絶を選択したと報告されています。約97%の人が人工妊娠中絶を選択しているという事がわかります。

平均すると1年間で全体の人工妊娠中絶数は17万5000人、新型出生前診断で中絶を選択した人は201人。全体の中絶件数で考えるとNIPT(新型出生前診断)での中絶件数は1%にも満たないという事になります。

妊婦になってから考える。ではなく、妊娠したらどうするか。妊娠して染色体異常を告げられたらどうするか。など、少し先回りして物事を考えていくことも大事なのではないでしょうか。

出生前診断の倫理的問題

出生前診断の結果を受けての人工妊娠中絶は、母体保護法の条件下で認められています。一方で出生前診断には倫理的な問題や意見があがることも少なくありません。

出生前診断により判明した胎児の先天性疾患の有無が、中絶の判断材料になる可能性は高く、「先天性の病気の有無で生命に優劣を付けているのではないか」といった声があるのも事実です。

また先天性疾患が判明した後の、医療機関のサポート体制が整っていないケースも問題とされています。出生前診断を実施しているにも関わらず、染色体異常による先天性疾患に精通した医師・スタッフがいない医療機関も少なくありません。

出生前診断はお母さんと、そのご家族の「知る権利」を尊重し、より健やかな妊娠期間と将来を過ごすための検査です。そして医療者は検査についての詳細な説明と、その選択に寄り添ったサポート体制の充実を図ることが課題といえるでしょう。

「我が子は大丈夫か?」と気になり、検査する人は多くいます。

ですが、すべての人が「陰性(反応なし)」というわけではありません。

残念なことに「陽性(反応あり)」と出てしまう人もいます。多くの両親は、ダウン症だと分かった子供とどのように向き合うのでしょうか?

2013年から2018年の間に出生前遺伝学的検査を行った人数は約65,000人に上りますが、そのうち約9割以上が中絶を選択しました。

中絶を選択した理由は様々ですが、一番は「身体的または経済的に産み育てることが困難」ということです。無事に出産したとしても、ダウン症の子供を育てるのは様々な困難があります。育児や教育だけではなく、合併症などのための医療費が必要になることもあるからです。それらのことを踏まえて検査結果を説明し、医者によっては「中絶」をすすめることもあります。

また、子供の将来を心配する人もいます。ダウン症と判明された親の多くは高齢出産な家庭が多く、寿命も気になります。自分たちが生きているうちは子供を守ることができますが、「自分たちが亡くなった後は大丈夫なのか?」と心配なのです。極端な考えではありますが、「子供が苦労するなら生まないほうがいいのでは?」と思うようです。

もちろん、誰もが好きで中絶をしているわけではありません。経済面や将来のことを考えて、仕方なく中絶を選択してしまいます。中絶したけど後悔する親もおり、つらい決断だったことがわかります。

出生前診断で分かる病気・ダウン症 倫理的問題

人工妊娠中絶件数と新型出生前診断の割合

[引用: 厚生労働省 平成29年度衛生行政報告例の概況 母体保護関係]

表を見てもわかる通り人工妊娠中絶件数は年々減少傾向にあります。厚生労働省の報告によると2013年から2017までの5年間で87万7182人が人工妊娠中絶を行なったという結果がでています。

最も中絶の多い年齢が20〜24歳となっていて、理由としては最も多いのが「経済的余裕がない」で23.8%(男性22.2%、女性24.7%)、「相手と結婚していないので産めない」23.0%(男性24.4%、女性22.2%)、「相手が出産に同意しなかった」10.3%(男性11.1%、女性9.9%)となっています。

[引用: 一般社団法人 日本家族計画協会]

出生前診断で中絶を選んだ人の事例

出生前診断を受けた方に関するレポートは数多く存在します。中には胎児の染色体異常による先天性疾患を理由に中絶を選んだ方も少なくありません。

  • 自身の年齢や家庭環境を考えると、障害がある子どもを育てる経済的余裕がなかった
  • 生まれた後の将来や病気の予後を考えると、子どもが幸せになると思えなかった

先天性疾患の中には、長期にわたり高額な治療費用を必要とするケースもあることから「子どもを産み、育てたくても育てられない」など、様々な要因が絡み合い苦渋の決断の末、中絶に至った方は多いといえるでしょう。

NIPT(新型出生前検査)でわかる疾患
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出産する決意

中絶する家庭は多いですが、出産を決意する家庭もあります。子育てをする大変さはよく理解していますが、それでも自分の子供です。誕生を喜ばないわけがありません。年齢的に今後の出産が難しい親も多く、「この子以外に考えられない」という親も多いのです。

また、罪悪感から出産を決意する親もいます。中絶は法律的に認められているとはいえ、子供を殺す行為です。自分の意志で死なせるという罪悪感から、中絶に踏み切れない人もいるようです。

理由は何にしろ、出産した親の多くは「産んでよかった」という答えがあります。将来どうなるかわからないですが、少なくとも子供の顔を見ることで「中絶せずによかった」と後悔しなかったということです。

NIPT(新型出生前診断)は、出産前にダウン症かどうかを知ることができます。それにより、出産前から家族の協力などの準備をすることができるのです。同じ産むにしても、NIPT(新型出生前診断)するかどうかで決意も変わり、子供への接し方も変わってくるでしょう。

海外の中絶状況

海外でもダウン症の中絶は行われています。特に北アイルランドは中絶に積極的で、出生前遺伝学的検査によってダウン症と診断された場合、ほぼ100%に近い確率で中絶を選択すると、アメリカのCBSニュースにて放送されました。「健康な子供を熱望することは悪い事ではなく」それ故、「ダウン症の撲滅を実現した」といわれています。

また、近年アメリカでも中絶する人は増えつつあり、ダウン症と診断された約98%の妊婦が、中絶に踏み切っているそうです。

ですが、同じアメリカでも「人間の尊厳を信じる」として、中絶を禁じる州もあります。ペンシルバニア州の下院議員「マイク・ターザイ」氏は、ダウン症を一つの「個性」として判断し、社会的に受け入れる決意を持っています。人は誰でも欠点を持っており、ダウン症もその一つでしかないのです。

ドイツでも、中絶は固く禁止されています。過去には「中絶することで逮捕された」という話もあり、たとえダウン症と分かっても気軽に中絶することはできません。ただ、近年では妊婦の相談窓口である「妊娠葛藤相談所」の相談内容によっては、中絶が認められることもあります。また、認められないとしても、経済的な理由などから育てられない場合、養子縁組の公的制度を利用できるなど、国のサポートが行き届いています。

宗教的にも中絶は禁忌とされていることが多く、カトリック教徒の多いパラグアイやエルサルバドルも中絶を禁止されています。北アイルランドもカトリック教徒が多いですが、過去に「中絶を受けられずに死亡した妊婦の事件」をきっかけに議論が進み、例外的に2018年に中絶が合法化となりました。

他にも、インドやフランスは中絶が合法的。モロッコや韓国は禁止されているように、国ごとで考え方や法律は変わってきます。

ダウン症患者をめぐる裁判

話は変わりますが、出生前遺伝学的検査の結果によって裁判が行われたことがあります。

2011年に起きたある40代夫婦の話ですが、高齢出産ということもあり、ダウン症などの万が一を考え超音波検査を実施します。診断の結果は「後頭部のむくみ」があり、「ダウン症の疑い」が見受けられ、確定診断を行うため、羊水検査を受診することに決めます。

羊水検査を行った結果、超音波検査の結果とは裏腹に、医師からは「問題ない」と伝えら、夫婦は出産を決意したのです。

しかし、実際に出産してみるとダウン症の子供であり、さらには、呼吸器系や消化器系など様々な合併症を起こしていました。

もちろん、人工呼吸器などを用いた懸命な治療を行いましたが、その甲斐もなく約3ヶ月ほどで亡くなってしまいます。当時の様子では、治療中の姿があまりにも痛々しかったそうです。

そして、子供の両親は「医者の判断が間違ったこと」について慰謝料を求める裁判を起こします。「判断のミスにより中絶の機会を失った、出産のための準備をする機会を失った」という内容ですが、「産まなければ子供は合併症で苦しむこともなかった」という子供を想う気持ちもあったと思われます。

後の裁判で分かったことですが、このような事態になった理由は、医師の伝達ミスだったそうです。実際には「陽性」反応が出ていましたが、母親には「陰性」と誤って伝えたと、裁判で証言しています。

このような裁判は日本だけではなく、アメリカやフランスなどでも行われ、賠償金が認められたケースもいくつか存在しているのです。

出生前診断を受ける前に確認すべきこと

出生前診断は出産前に、胎児の先天性疾患を知ることができる検査です。一方、先天性疾患があると診断された場合、妊娠継続か中絶かを選択する必要があります。妊婦さんにとって、とてもデリケートな問題であることから、出生前診断を検討する際は以下の3つを確認しておくことが大切です。

出生前診断後のサポートの有無

出生前診断の検査のみを行ない、詳細な説明がないまま結果のみを伝える、といった医療機関も少なくありません。しかし、検査結果について詳細な説明を求めたい気持ちは当然であり、またNIPT(新型出生前診断)などの非確定的検査で陽性リスクが検出された場合、確定的検査(羊水検査)に移行するかを検討する必要もあるでしょう。

これらのことから出生前診断を検討する医療機関について、事前に調べることが大切です。染色体異常について詳細な説明を行える医師や、認定遺伝カウンセラーの在籍、確定的検査の移行についてなど、出生前診断後のサポート体制を確認すると良いでしょう。

ヒロクリニックNIPTには、日本産科婦人科学会専門医および出生前コンサルト小児科医、臨床遺伝専門医が在籍しており、検査後、ご希望の方には在籍医による診察、遺伝カウンセリングを行うことができます。費用などについては「検査後のカウンセリングについて」をご参照ください。

出産後の社会的サポートの内容

出生前診断で赤ちゃんの先天性疾患が陽性であった場合、最も不安なことは出産後の治療や介護費用ではないでしょうか。日本では障害がある子どもに対し、様々な福祉サービスが提供されます。障害の程度によって毎月補助金をもらえる「特別児童扶養手当」や、優先的に保育園に入れる「療育手帳」などが利用可能です。自治体によって提供している福祉サービスは異なります。詳しくはお住まいの自治体へ直接お問い合わせください。

ヒロクリニックNIPTによるサポート体制

出生前診断は胎児の染色体異常による先天性疾患を、出産前に知ることができる検査です。

出産前に適切な準備や、将来の予測を立てることができる一方、出生前診断が生命の選別や優生思想に繋がるのではないかと、懸念の声も多く挙げられています。しかし、家庭環境などにより、やむを得ず中絶を選択する方も少なくありません。

NIPT(新型出生前診断)は母体からの採血のみで検査を行うことができます。そのため現在、多くの医療機関が実施していますが、すべての医師がNIPT(新型出生前診断)に精通しているとは言い切れないのが実情です。そのため、詳細な説明やサポート体制がないまま、採血と検査結果のみを伝える医療機関もあるでしょう。

ヒロクリニックNIPTは、NIPT(新型出生前診断)専門のクリニックを全国展開しております。NIPT(新型出生前診断)に精通した日本産科婦人科学会専門医および出生前コンサルト小児科医、臨床遺伝専門医が在籍するため、染色体異常についての詳細なカウンセリングはもちろん、羊水検査への移行までをしっかりサポートいたします。より健やかな妊娠・出産のために。ヒロクリニックNIPTに、どんな些細なことでもご相談ください。

まとめ

近年、高齢化が進み、結婚年齢も引き上げられることで、ダウン症の赤ちゃんは増え続けると思われます。経済状況も好景気とはいえず、家庭が苦しいことから中絶を決断する夫婦も多いことでしょう。中絶は人生が一変する重要な選択です。ダウン症の赤ちゃんを望まない親も多いですが、出産を望む親もいます。慎重に決断し、悔いが残らない選択をしましょう。

【参考文献】

出生前診断は、出生前に21トリソミー(ダウン症候群)などの赤ちゃんの病気を知れる一方、中絶の判断材料になるのではといった倫理的な問題が残っています。本記事では出生前診断の倫理的課題や法律、中絶を選んだ方の理由などを解説していきます。

羊水検査について詳しく見る

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記事の監修者

川野 俊昭先生

川野 俊昭先生

ヒロクリニック博多駅前院 院長
日本産科婦人科学会専門医

産婦人科医として25年以上、主に九州で妊婦さんや出産に向き合ってきた。経験を活かしてヒロクリニック博多駅前院の院長としてNIPT(新型出生前診断)をより一般的な検査へと牽引すべく日々啓発に努めている。

略歴

1995年 九州大学 医学部卒業
1995年 九州厚生年金病院 産婦人科
1996年 九州大学医学部付属病院 産婦人科
1996年 佐世保共済病院 産婦人科
1997年 大分市郡医師会立アルメイダ病院 産婦人科
1998年 宮崎県立宮崎病院 産婦人科 副医長
2003年 慈恵病院 産婦人科 医長
2007年 日本赤十字社熊本健康管理センター診療部 副部長
2018年 桜十字福岡病院 婦人科
2020年 ヒロクリニック博多駅前院 院長

資格

日本産科婦人科学会専門医
検診マンモグラフィ読影認定医
日本スポーツ協会公認 スポーツドクター
厚生労働省認定臨床研修指導医
日本抗加齢医学会専門医

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