Frias 症候群 (14q22q23欠失症候群)

NIPT 早期検査で発見できる微小欠失症候群

14q22q23欠失症候群(フライアス症候群; Frias Syndrome)は、稀な遺伝性疾患で、眼や下垂体の異常、手足の異常、発達遅延などが特徴です。症状の重症度や管理方法について詳しく解説します。

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このテーマの総合ガイド微小欠失症候群とは(総合ガイド)

この記事でわかること

  • Frias症候群(14q22q23欠失症候群)の症状と原因
  • NIPTと羊水検査、それぞれの役割の違い
  • NIPTで陽性が出た場合の次のステップと費用補助
  • 治療の考え方と将来の見通し

Frias症候群(14q22q23欠失症候群)は、14番染色体の一部が失われることで起こる、非常にまれな遺伝性疾患です。眼・下垂体・手足に特徴的な所見が現れ、発達の遅れを伴うことがあります。本記事では症状・原因から診断の流れ、治療と将来の見通しまでを解説します。監修は医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・岡博史です。

病気の別称

Frias症候群は、報告した研究者や資料によって呼び方が異なります。同じ疾患を指す言葉として、以下の名称を覚えておくと文献を読むときに役立ちます。

  • 14q22q23欠失症候群
  • 14q22q23微小欠失症候群(14q22q23 Microdeletion Syndrome)
  • 成長障害-短指症-形態異常症候群(Growth deficiency-brachydactyly-dysmorphism syndrome)
遠位14qの重複
...

Frias症候群(14q22q23欠失症候群)とは

Frias症候群は、14番染色体長腕のq22-q23領域の欠失により、眼・下垂体・手足に異常が生じる染色体疾患です。1980年代、スペインの臨床遺伝学者Martínez-Fríasらが初めて報告しました。この名前はそこに由来します。

14番染色体q22.1-q23.3領域の模式図

欠失する範囲や位置は患者さんごとに異なります。そのため、現れる症状の種類や重さにも幅があります。世界的に報告例が限られており、正確な発生頻度はまだ明らかになっていません。米国NIHの希少疾患情報センター(GARD)でも、極めてまれな染色体疾患として紹介されています。

主な特徴は、眼の異常、下垂体の異常、手足の異常、特徴的な顔貌、そして発達の遅れです。次の章から、それぞれの症状を具体的に見ていきます。

主な症状

Frias症候群の症状は、欠失した範囲の大きさや位置によって一人ひとり異なります。軽い症状にとどまる方もいれば、複数の合併症を伴う方もいます。

眼の異常

眼の異常はFrias症候群でもっとも頻度が高い所見の一つです。無眼球症(片方または両方の目が形成されない状態)や小眼球症、眼瞼下垂、眼間解離、軽度の眼球突出などが報告されています。視神経が育たない視神経形成不全がみられることもあり、視力に影響することがあります。

視覚に配慮した生活支援のイメージ

下垂体と成長の異常

視床下部から下垂体にかけての経路が影響を受けやすいことも、この疾患の特徴です。下垂体の発育不全や無形成により、成長ホルモン欠乏や成長遅延が起こることがあります。低身長がみられる場合は、内分泌科での評価とホルモン補充などの管理が必要です。

手足の異常

短く四角い形の手、2本目と3本目の指の間の軽い合指症、多指症、幅の広い足の親指などが特徴です。一部の方には、小指の後ろに小さな突起がみられることもあります。ハイアーチ(凹足)や筋緊張低下も併せて報告されています。

顔貌の特徴

顔の非対称性、小顎症、高くアーチ状の口蓋、耳の形態異常、短頭症など。これらは成長とともに目立ちにくくなる場合もあれば、継続的なフォローが必要な場合もあります。

発達・神経学的な特徴

発達遅延と知的障害は高い頻度で見られる症状です。脳梁欠損(左右の脳をつなぐ構造が育たない状態)を伴うこともあり、運動・言語・認知の発達に影響します。先天性の泌尿生殖器の異常や聴覚障害、外耳道の形成不全が合併するケースも報告されています。

米国の症例報告(Kera et al., 2021, Cureus誌)があります。両眼の無眼球症とけいれん、水頭症、重度の嚥下障害を合併した女児の経過が紹介されています。同じ疾患名でも、症状の組み合わせと重さには大きな幅があることがわかります。

原因:BMP4遺伝子のはたらき不足

Frias症候群の主な原因は、14q22-q23領域にあるBMP4遺伝子のはたらきが足りなくなること(ハプロ不全)と考えられています。BMPは骨形成タンパク質と呼ばれる分子のグループです。胎児の体づくりを指揮する役割を担っています。

14番染色体の模式図

BMP4は、眼の発生に加えて腎臓や骨の形成にも関わっています。うまく働かないと胎児期の眼の発達が妨げられ、無眼球症や小眼球症につながると考えられています。私はラボディレクターとして、数多くの染色体解析データを見てきました。同じ14q22q23領域の欠失でも、範囲がわずかに異なるだけで症状の重さが大きく変わる例を何度も経験しています。欠失の大きさが小さいほど、症状が軽くとどまる傾向があるようです。

診断方法:出生前検査とNIPT

Frias症候群は、妊娠中の超音波検査やNIPTなどの検査で疑われることがあります。ただし、確定診断には染色体検査が必要です。それぞれの検査でわかること・わからないことを整理します。

検査方法特徴この疾患での位置づけ
超音波検査形態的な異常が大きい場合に発見のきっかけとなる眼や手足の形態異常が目立つ場合に疑われることがある
NIPT(新型出生前診断母体血液中の胎児DNAを調べる非侵襲的な検査染色体全体の増減や一部の微小欠失・重複を調べられるが、非確定的検査
羊水検査羊水中の胎児細胞を用いた染色体・遺伝子検査Frias症候群の欠失範囲を確認できる確定診断の検査

NIPTは、母体の血液に含まれる胎児由来のDNA断片を解析するスクリーニング検査です。母体・胎児への身体的な負担がなく、比較的早い妊娠週数から受けられる点が特徴です。ヒロクリニックのNIPTには、染色体全体を対象とする全染色体プランがあります。143種類の微小欠失・重複症候群まで検査範囲を広げたプランもあり、14番染色体長腕の欠失領域も対象に含まれる場合があります。

ただし、NIPTはあくまで非確定的検査であり、確定診断には羊水検査等が必要です。NIPTの微小欠失検査でわかること・わからないことについては、以下の記事で詳しく解説しています。

NIPTの微小欠失検査でわかること・わからないこと|精度と限界

NIPTで陽性となった場合の羊水検査

NIPTで染色体の異常が疑われた場合は、羊水検査による確定診断が必要です。結果を正しく受け止め、次の一歩を落ち着いて選べるよう、流れをあらかじめ知っておくことをおすすめします。

子どもを抱く母親

羊水検査は、羊水中に含まれる胎児細胞を採取して染色体や遺伝子を直接調べる検査です。NIPTと違い、14q22q23欠失症候群のような部分的な染色体欠失の範囲まで確認できます。実施は妊娠15週以降が目安です。受けるタイミングについては、以下の記事も参考にしてください。

羊水検査の適切な時期について

ヒロクリニックでは、NIPTで陽性判定が出た方を対象に、羊水検査の費用補助制度を設けています。プランごとの自己負担額と補助上限は次の通りです。

プラン自己負担額補助上限額
ライト3,300円最大10万円
スタンダード5,500円最大20万円
ワイド11,000円最大30万円

検体は東京衛生検査所(国内)で検査するため最短2〜5日で結果がわかります。海外の検査機関に送る場合と比べて、結果を待つ間の不安な期間を短くできる点がメリットです。NIPT羊水検査それぞれの費用については、以下の記事もご覧ください。

NIPT・出生前診断の費用相場|認可と非認可の違い・選び方

実際にご相談いただく妊婦さんの中には、微小欠失症候群という言葉を初めて聞いて戸惑う方が少なくありません。まずは検査でわかることと、わからないことを整理してお伝えするようにしています。わからないことは一人で抱え込まず、遺伝カウンセリングや専門医に相談してください。

治療と日常の管理

Frias症候群そのものを治す根本的な治療法は、現時点ではありません。そのため、一つひとつの症状に対応する対症療法と、生活の質を保つための支援が治療の中心になります。

子どものケアのイメージ

成長ホルモン欠乏には、内分泌科でのホルモン補充が検討されます。眼の異常には眼科での手術や視覚支援、筋緊張低下や運動発達の遅れにはリハビリテーションが検討されます。聴覚障害があれば補聴器などの補助具を、骨格や泌尿生殖器の異常には外科的な治療を組み合わせます。

複数の症状が重なることが多く、小児科・内分泌科・眼科・遺伝科など多職種連携による長期ケア計画が欠かせません。知的・行動面の課題には、心理士や教育の専門家によるサポートも家族の支えになります。定期的なモニタリングと早期介入を続けてください。

将来の見通し

Frias症候群の将来の見通しは、症状の重さによって大きく異なります。新生児期や乳児期に大きな手術が必要になるケースもあれば、比較的軽い症状で経過する例もあります。

親子で過ごす時間のイメージ

臨床記録には、成人期まで成長し、結婚や子育てを経験した例も報告されています。一方で、重度の合併症を伴う場合は、生涯にわたる医療的なケアが必要です。軽症例は診断されずに見過ごされている可能性も指摘されており、症状の全体像は未解明の部分が多いのが実情です。

大切なのは、医療チームと相談を重ねながら、できることを一つずつ積み重ねることです。診断直後は不安が大きいものです。支援制度や専門医のネットワークを頼りながら、焦らず向き合ってください。

よくある質問(FAQ)

Frias症候群について、妊婦さんからよく寄せられる質問をまとめました。

Q1. NIPTを受ければFrias症候群は確実にわかりますか?

NIPTは母体血液から胎児DNAを調べるスクリーニング検査です。染色体全体の増減や一部の微小欠失・重複を検出できますが、非確定的検査です。すべての欠失を100%検出できるわけではありません。陽性の場合は羊水検査で確定診断を行ってください。

Q2. NIPTで陽性が出たら、次に何をすればいいですか?

まずは遺伝カウンセリングを受け、結果の意味を専門医と一緒に確認してください。そのうえで、確定診断となる羊水検査を受けるかどうかを検討します。ヒロクリニックでは陽性判定後の羊水検査に費用補助制度を用意しています。

Q3. 羊水検査の費用はどれくらいかかりますか?

ヒロクリニックの補助制度は3プランです。ライトは自己負担3,300円で最大10万円、スタンダードは5,500円で最大20万円、ワイドは11,000円で最大30万円の補助を受けられます。検体は東京衛生検査所(国内)で検査するため最短2〜5日で結果がわかります。

Q4. Frias症候群と診断された子どもは、どのような治療を受けますか?

根本的な治療法はなく、症状ごとの対症療法が中心です。成長ホルモン補充、眼科的な治療、リハビリテーション、聴覚支援、外科的治療などを、小児科・内分泌科・眼科・遺伝科が連携して行います。

Q5. Frias症候群は遺伝しますか?次の妊娠にも影響しますか?

多くは偶発的な染色体の変化によって起こるとされていますが、まれに親から受け継がれる場合もあります。次回の妊娠への影響を含めて、遺伝カウンセリングで個別に確認してください。

Q6. NIPTを受けるタイミングはいつがよいですか?

ヒロクリニックのNIPTは妊娠10週0日から受けられます。早い時期に結果がわかれば、その後の検査や相談の選択肢を広げやすくなります。詳しい予約方法はNIPT予約ページをご確認ください。

監修者情報

監修:岡博史(おか ひろし)
医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director
慶應義塾大学医学部卒。日本の医師国家試験に加え、米国医師国家試験(USMLE)にも合格。日本国内に20人ほどしかいないラボディレクター資格を保有し、NIPTの検査精度と臨床判断の両面から診療にあたっています。

もっと知りたい方へ

14番染色体には、Frias症候群以外にもいくつかの欠失・重複症候群が知られています。関連する疾患について知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

より専門的な情報を確認したい方は、以下の海外リソースや公的機関の情報も参考にしてください。

引用文献

14q22q23欠失症候群(フライアス症候群; Frias Syndrome)は、稀な遺伝性疾患で、眼や下垂体の異常、手足の異常、発達遅延などが特徴です。症状の重症度や管理方法について詳しく解説します。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

医師監修 監修日:2024年11月15日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

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