妊娠中の葛根湯は安全?風邪対策のポイント

葛根湯

結論からお伝えします。妊娠中の葛根湯は、自己判断での服用を避け、必ず医師・薬剤師に相談してから使うべき漢方薬です。市販されているからといって、安全とは限りません。

私はヒロクリニックNIPTの診療現場で、風邪をひいた妊婦さんから「葛根湯を飲んでもいいですか」と聞かれることがよくあります。多くの方が「漢方薬だから体に優しいはず」と考えていますが、実はそう単純ではありません。

この記事では、妊娠中に葛根湯を服用する際の注意点、構成生薬「麻黄」が抱えるリスク、葛根湯に頼らない風邪対策、そしてNIPT(新型出生前診断)との関係を、公的機関の情報にもとづいて解説します。実際に妊娠中の風邪と向き合った方々の声もあわせて紹介します。

💡 この記事でわかること

  • 妊娠中に葛根湯の服用が注意される理由(麻黄のリスク)
  • 妊娠時期による考え方の違いと、服用前に確認すべき3つのポイント
  • 葛根湯に頼らない風邪予防と、他に選択肢となる漢方薬
  • 体調不良時にNIPT(新型出生前診断)の予約をどう調整するか
  • 実際に妊娠中の風邪と葛根湯に向き合った方々の体験
  • 妊娠中の薬・漢方薬に不安を感じたときの相談先

1. 妊娠中に風邪をひきやすくなる理由

妊娠中は女性ホルモンの働きで免疫機能が抑えられ、風邪をひきやすい状態になります。これは病気ではなく、赤ちゃんを守るための自然な体の変化です。

妊娠するとプロゲステロンというホルモンが増加します。胎児を異物として攻撃しないよう、母体の免疫反応を穏やかにする働きがあり、その分だけウイルスへの抵抗力も一時的に下がります。

加えて、睡眠の質の低下や食事の偏り、精神的なストレスも重なりやすい時期です。普段以上に気を配りたいのが、日々の体調管理。

2. 葛根湯とは?成分と妊娠中に注意される理由

2-1. 葛根湯の基本的な作用

葛根湯は、風邪の初期症状に使われる代表的な漢方薬です。寒気や頭痛、肩こり、鼻水といった症状への効果があるとされています。

構成生薬には葛根(かっこん)、麻黄(まおう)、桂皮(けいひ)、芍薬(しゃくやく)、生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう)、甘草(かんぞう)が含まれます。体を温め発汗を促す作用が、風邪のひき始めに使われてきた理由です。

2-2. 麻黄が妊娠中に注意される理由

妊娠中に葛根湯が注意される最大の理由は、構成生薬「麻黄」に含まれるエフェドリンという成分です。交感神経を刺激し、子宮収縮を誘発する可能性が指摘されています。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開する葛根湯エキス製剤の添付文書でも、「相談すること」の項目に妊婦または妊娠していると思われる方への注意が明記されています(PMDA 葛根湯エキス錠 添付文書)。心臓病や甲状腺疾患、前立腺肥大がある方への注意も、あわせて記載されています。

妊娠初期の漢方薬服用が妊娠経過や胎盤形成に与える影響については、学術研究でも報告が進んでいます(日本薬学会 薬学雑誌の関連論文)。「自然由来だから安全」と思い込まず、成分ごとのリスクを正しく理解することが大切です。

2-3. 西洋薬の風邪薬との違い

アセトアミノフェンなど、妊娠中でも比較的安全とされる西洋薬の解熱鎮痛薬があります。葛根湯とどちらを選ぶべきか迷う方も少なくありません。

西洋薬は成分・用量ごとの安全性データが蓄積されているのに対し、漢方薬は複数の生薬を組み合わせた製剤である分、成分ごとの影響を見極めにくいという違いがあります。どちらが優れているという単純な話ではなく、症状・体質・時期に応じて医師が選択するものです。妊娠中の薬全般については妊娠中に薬は飲める?病気と治療の基礎知識で詳しく解説しています。あわせて確認しておくと、いざというときに落ち着いて対応できます。

3. 妊娠中に葛根湯を服用してもよいか:時期別の考え方

妊娠中の葛根湯の可否は、時期や体質によって医師の判断が分かれます。一律に「大丈夫」とも「絶対にだめ」とも言い切れません。

妊娠時期一般的な考え方注意点
妊娠初期(〜13週)使用を避けるよう指導されることが多い切迫流産のリスクがある方は特に注意
妊娠中期(14〜27週)医師の判断で短期間・少量にとどめて検討される場合がある自己判断での服用は不可
妊娠後期(28週〜)子宮収縮への影響を懸念し慎重な判断が必要切迫早産の既往がある方は使用を避ける

この表はあくまで一般的な目安です。持病の有無や体質によって判断は変わるため、最終的な可否は必ずかかりつけの産婦人科医に確認してください。

3-1. 服用前に確認したい3つのポイント

葛根湯に限らず、妊娠中に漢方薬を使う際は、次の3点を確認しておくと安心です。

  • 必ず医師や薬剤師に相談してから使用する
  • 使用するとしても妊娠中期以降・初期症状に限り短期間にとどめる
  • 他の薬との飲み合わせや持病の有無を医師に伝える

妊娠中は「たかが風邪薬」と軽く考えず、市販薬であっても服用前に必ず確認する習慣をつけましょう。自己判断での長期使用は避けてください。

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4. 妊婦のための風邪対策:葛根湯に頼らない生活習慣

薬に頼る前に、日常生活でできる予防策を徹底することが第一歩です。基本的な感染対策こそ、もっとも効果的な風邪予防。

4-1. 手洗い・うがい・マスクの徹底

帰宅後の手洗い・うがいに加え、外出時のマスク着用を習慣にしましょう。基本の徹底が、結局もっとも効果的な予防策です。

4-2. バランスの取れた食事

ビタミンA・C・Eや亜鉛、鉄分などを含む食品を意識的に取り入れ、免疫機能を支える栄養バランスを整えましょう。

4-3. 室内環境の管理

乾燥した空気はウイルスの温床です。加湿器を使って湿度を保ち、こまめな換気も忘れずに行ってください。

ソファに寝転がる妊婦

4-4. 良質な睡眠とストレスケア

妊娠中は眠りが浅くなりがちですが、昼寝やリラックスタイムを取り入れることで免疫力を高める助けになります。無理をせず、休めるときにしっかり休むことを心がけてください。

5. 葛根湯以外に妊娠中でも使える風邪対策

葛根湯以外にも、妊娠中の風邪対策として選択肢はいくつかあります。ただし、どれも自己判断ではなく医師への確認が前提です。

選択肢特徴注意点
しょうが湯・ハチミツ入りホットレモン喉の痛みや冷えのケアに使いやすいハチミツは1歳未満の乳児には禁忌だが妊婦には基本問題なし
葛湯(くずゆ)体を温める効果があり胃腸にもやさしい食べ過ぎによる血糖上昇には注意
小青竜湯(しょうせいりゅうとう)など麻黄を含まない、または少量の漢方薬もある製剤によって成分が異なるため必ず医師・薬剤師に確認

漢方薬は種類によって含まれる生薬が異なり、妊娠中の適否も変わります。詳しくは漢方薬とNIPT検査の関係についてでも解説しているので、あわせて確認してください。

6. NIPTとの関係:体調管理と検査スケジュールの調整

風邪をひいている間の体調は、NIPT(新型出生前診断)の受検スケジュールにも関わってきます。高熱や強い体調不良があるときは、無理に予定日を守る必要はありません。

NIPTは妊娠10週以降に実施される非確定的な遺伝子検査です。採血のみで行えるため母体への負担は少ないものの、高熱や体調不良があると血液成分が変動し、検査結果に影響する可能性があります。風邪や感染症のときは、まず予約変更を検討しましょう。受検時期の目安は妊娠検査薬陽性。NIPTはいつから?最短10週の完全ロードマップにまとめています。

薬の服用自体がNIPTの検査精度に直接影響することはありません。ただし、服用中の薬や体調不良の経過は、妊娠管理全体に関わる大切な情報です。診察時は必ず医師に伝えてください。妊娠中の薬全般については妊娠中に薬は飲める?病気と治療の基礎知識で詳しく解説しています。

また、体調不良時の受診や治療で避けたい行動もあります。自己判断で市販薬を選んだり、症状を我慢し続けたりすることは、かえって母体の負担を増やしかねません。妊婦の病気治療で避けたいNG行動5選もあわせてご確認ください。

風邪の症状が落ち着いたあとにNIPTを受検する場合も、以下の点を確認しておくと安心です。

  • 解熱から数日は体調を様子見し、無理に予定を詰め込まない
  • 服用した薬があれば、種類と時期を医師に伝える
  • 体調に不安が残るときは、遠慮せず検査当日でも相談する

体調管理を丁寧に行うことが、結果的に検査への安心感にもつながります。焦って予定どおりに進めることだけが正解ではありません。

7. 実際に妊娠中の風邪と葛根湯に向き合った方の声

実際に、妊娠中の風邪と葛根湯については、SNS上でもさまざまな声が見られます。私が診療の中で受ける相談とも重なる内容が多く、参考になる投稿です。

ある方は、長い妊婦生活で既に2回風邪をひいた経験から、産院に相談したうえで漢方薬を多めに処方してもらったと投稿していました。「長い妊婦生活で既に2回風邪を引いていて、2回目の時に『妊娠中にもう一回くらい引きそうな気がする』って産院に伝えて漢方をちょっと多めにいただいたんだけど」(@ippai_neruko氏の投稿より)。自己判断で市販薬を選ぶのではなく、産院に相談したうえで処方を受けている点が、まさに正しい向き合い方だと感じます。

漢方薬全般についても、「なんとなく効く薬ではない」という指摘があります。ある漢方解説アカウントは、葛根湯の効き目や適応体質、注意点を詳しく紹介したうえで「妊婦さんはご注意を」と呼びかけていました(@chanrica0707氏の投稿より)。漢方薬は体質や症状に合わせて選ぶものであり、妊娠中はなおさら自己判断を避けるべきだという点は、私も診療の中で強く実感しています。

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8. 薬・漢方薬に不安を感じたときの相談先

葛根湯に限らず、妊娠中の薬への不安は一人で抱え込まず、専門窓口に相談することで解決に近づきます。身近な相談先を知っておきましょう。

国立成育医療研究センターの妊娠と薬情報センターでは、個々の薬や漢方薬について相談できる窓口を設けています。かかりつけの産婦人科医や薬局の薬剤師も、日常的に頼れる身近な存在です。お薬手帳を持参し、服用中・服用を検討している薬をすべて伝えることが、最初の一歩になります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 妊娠中に葛根湯を飲んでも大丈夫ですか?
成分の「麻黄」に子宮収縮を誘発する可能性が指摘されており、自己判断での服用は避けるべきです。使用するかどうかは、必ず医師や薬剤師に相談してください。

Q2. 葛根湯の何が妊娠中に注意されているのですか?
構成生薬「麻黄」に含まれるエフェドリンです。交感神経を刺激し、子宮収縮を誘発する恐れがあるとされています。

Q3. 妊娠中に葛根湯以外の漢方薬なら安全ですか?
製剤によって含まれる成分は異なります。麻黄を含まない、または少量の製剤もありますが、「安全」と断定はできません。使用前に必ず医師・薬剤師に確認しましょう。

Q4. 知らずに葛根湯を飲んでしまいました。どうすればいいですか?
少量・短期間であれば過度に心配しすぎる必要はありませんが、自己判断せず、早めにかかりつけの産婦人科医に相談してください。

Q5. 風邪をひいたときNIPTの予約はどうすればいいですか?
高熱や強い体調不良があるときは、無理をせず予約変更を検討してください。体調が万全な状態で受検するほうが、安心して結果を受け取れます。

Q6. 妊娠中の風邪予防で一番大切なことは何ですか?
手洗い・うがい・マスクといった基本的な感染対策の徹底です。加えて、バランスの取れた食事と十分な睡眠が、免疫力を保つ土台になります。

まとめ:妊娠中の風邪と葛根湯の上手な付き合い方

妊娠中の体調管理は、母体だけでなく赤ちゃんの健康にも直結する大切な要素です。葛根湯は風邪の初期症状に効果が期待できる漢方薬ですが、妊娠中の使用には麻黄という成分への注意が欠かせません。

服用する際は必ず医師に相談し、自己判断での長期使用は避けましょう。基本的な感染予防と生活習慣の見直しによって風邪そのものを防ぐことも、同じくらい重要な対策です。

また、体調不良の経過はNIPTなどの検査スケジュールとも関わってきます。無理をせず、必要に応じて予約を調整しながら体調管理を行うことが大切です。正しい知識と早めの相談。それが、安心して妊娠期間を過ごすための第一歩です。

監修者

岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック 統括院長・Labo Director(ラボディレクター)

岡山県出身。慶應義塾大学医学部卒業後、日本とアメリカの医師国家試験に合格。臨床研修後2年で医学博士を取得しました。専門職大学の客員教員を務め、日本に約20人ほどしかいないラボディレクター資格を保有しています。世界最高峰のNIPT提供を目指し、産婦人科・小児科・臨床遺伝の各専門医と連携した遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

ヒロクリニックNIPTでは、東京衛生検査所(国内)で検査を行い、最短2〜5日で結果を報告します。妊娠中の薬や漢方薬について迷ったときは、遺伝カウンセリングを含めてお気軽にご相談ください。

医師監修 監修日:2025年8月1日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2025年8月1日
花澤 司 (医師/ヒロクリニック大宮駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2025年8月1日
陽川 英仁 (医師・医学博士/ヒロクリニック大阪駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

参考文献

  1. Saito J, Yakuwa N, Sandei T, Kaneko K, Suzuki T, Murase K, et al. Safety of Kakkonto during pregnancy: a cohort study using a Japanese database. BMC Complement Med Ther. 2023 Jul 26;23(1):259. doi: 10.1186/s12906-023-04085-3.

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