NIPT検査とクアトロ検査の違いについて、検査の内容、精度、実施時期、費用、保険適用、確定検査の必要性を比較。高精度なNIPT検査は早期診断に最適ですが費用が高く、クアトロ検査は費用を抑えたスクリーニングに適しています。
この記事のまとめ
NIPTとクアトロテストは、どちらも採血だけで受けられる非確定的な出生前検査ですが、調べる方法・時期・検出率・費用が大きく異なります。クアトロテストは血液中の4つの成分から確率を計算する検査で、妊娠15〜18週頃に受けます。NIPTは血液中を流れるDNAの断片を解析する検査で、妊娠10週頃から受けられ、対象疾患で高い検出率が報告されています。どちらも陽性が出た場合は、確定のために羊水検査などが必要です。迷ったときは自己判断せず、かかりつけの産婦人科や遺伝カウンセリングへ相談してください。
この記事でわかること
- NIPTとクアトロテストの違いを一言で整理
- クアトロテスト・NIPTそれぞれの仕組みと調べられること
- 方法・時期・対象・検出率・費用を並べた比較表
- どちらを選ぶかの考え方と、陽性が出たあとの確定検査の流れ
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NIPTとクアトロテストの違いを一言で
ひとことで言えば、クアトロテストは「確率を計算する検査」、NIPTは「DNAを直接読み解く検査」です。どちらも妊婦さんの血液を採って赤ちゃんの状態を推測する点は同じですが、その中身はまったく違います。混同されやすい2つですが、役割を分けて理解しておくと選びやすくなります。
クアトロテストは、血液中の4つの成分の量と母体年齢などを組み合わせて、赤ちゃんに染色体の変化がある確率を「1/○○」という形で示します。一方のNIPTは、血液中を流れる赤ちゃん由来のDNAの断片を解析し、対象とする染色体の変化の可能性を調べます。私が妊婦さんの相談に立ち会ってきた経験でも、この2つを同じものだと思い込んでいた方は少なくありませんでした。出生前検査全体の位置づけは出生前診断の種類と選び方の記事でも整理しています。
どちらも「非確定的検査」という点も共通しています。つまり、陽性が出ても診断が確定するわけではありません。結果はあくまで可能性を示すもの。確定を望むなら、次の段階として羊水検査などの確定診断に進みます。この基本を押さえたうえで、それぞれの中身を見ていきましょう。
クアトロテストとは|母体血清マーカー検査の一種
クアトロテストは、血液中の4つの成分を測って赤ちゃんの染色体の変化の確率を算出する、母体血清マーカー検査の一種です。妊娠15〜18週頃に採血して調べます。名前の「クアトロ」は、測定する成分が4種類あることに由来します。母体血清マーカー検査の全体像は母体血清マーカー検査の解説でもまとめています。
4つの成分から確率を計算する仕組み
クアトロテストが測るのは、AFP・hCG・非抱合型エストリオール(uE3)・インヒビンAという4つの成分です。これらの血中濃度に母体年齢や妊娠週数などの情報を加えて、統計的に確率を計算します。結果は「1/295」のような数字で示されます。
この検査でわかるのは、21トリソミー(ダウン症候群)・18トリソミー・開放性神経管奇形の確率です。21トリソミーの検出率は概ね8割前後と報告されており、幅があります。数値はあくまで報告される目安であり、施設や条件によって変わる点に注意してください。ダウン症候群そのものについてはダウン症候群の解説もあわせてご覧ください。
受ける時期と費用の目安
クアトロテストを受けられるのは妊娠15〜18週頃です。この時期の成分バランスをもとに計算するため、早すぎても遅すぎても適しません。費用は保険適用外の自費で、2〜3万円程度が一つの目安。比較的手軽に受けられる検査として広く行われてきました。
ただし、結果の解釈には少し注意が必要です。確率で示されるため、「1/295なら安心なのか不安なのか」と受け止めに迷う方が多くいます。数字の意味を正しく理解するには、事前の説明や相談が欠かせません。検査の性質については、出生前検査認証制度等運営委員会の情報も参考になります。
NIPTとは|採血で調べる非確定的検査
NIPTは、お母さんの血液中を流れる赤ちゃん由来のDNAの断片を解析して、対象の染色体の変化の可能性を調べる非確定的検査です。お母さんの血液には、細胞外を流れるDNA(cfDNA)と呼ばれる断片が混ざっています。NIPTはこのcfDNAを読み解いて判定します。針を刺さず、採血だけで済むのが特徴です。
NIPTが対象とするのは13トリソミー・18トリソミー・21トリソミーなどです。対象の疾患については高い検出率が報告される一方、あくまで可能性を調べる検査という位置づけ。確定には羊水検査などが必要です。「精度99.9%」といった無限定な表現ではなく、対象疾患で高い検出率が報告される検査、と理解しておいてください。NIPTの全体像はNIPTの解説記事で詳しくまとめています。
妊娠10週頃から受けられる
NIPTの大きな特徴は、受けられる時期の早さです。妊娠10週頃から受けられ、クアトロテストより早い段階で情報を得られます。早く受けられる分、その後の相談や検討にかけられる時間も長くなります。費用は施設によって幅があり、自費での実施です。
偽陽性(実際には変化がないのに陽性と出ること)が少ないと報告されている点も、クアトロテストとの違いです。ただし偽陽性がゼロというわけではありません。だからこそ、陽性が出たら確定診断へ進むという流れが基本になります。
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NIPTとクアトロテストの違いを比較
方法・時期・対象・検出率・費用のどれを取っても、2つの検査は役割が異なります。クアトロテストは手軽で費用が抑えられる一方、NIPTは早期に受けられて検出率が高いと報告されています。下の図と表で、両者の違いを整理しました。まずは全体像をつかんでください。
| 項目 | クアトロテスト | NIPT |
|---|---|---|
| 検査方法 | 血液中の4成分(AFP・hCG・uE3・インヒビンA)を測定 | 血液中を流れるDNA(cfDNA)を解析 |
| 受けられる時期 | 妊娠15〜18週頃 | 妊娠10週頃から |
| おもな対象 | 21トリソミー・18トリソミー・開放性神経管奇形 | 13・18・21トリソミーなど |
| 検出率と偽陽性 | 21トリソミーで概ね8割前後(目安)/偽陽性が比較的多い | 対象疾患で高い検出率が報告/偽陽性が少ない |
| 費用の目安 | 2〜3万円程度(自費) | 施設により幅(自費) |
| 結果の形 | 確率(1/○○) | 可能性の有無 |
| 位置づけ | 非確定的検査 | 非確定的検査 |
表を見てわかるとおり、どちらも「非確定的検査」であることは共通しています。違うのは、そこに至る方法と得られる情報の質。採血のみで流産リスクがほぼない点も両者に共通する安心材料です。この共通点と相違点を分けて考えると、選ぶときの軸が定まります。
精度と偽陽性の違い
2つの検査の最も実感しやすい違いは、偽陽性の出やすさです。クアトロテストは確率で示す性質上、実際には変化がないのに「確率が高い」と出るケースが比較的多く報告されています。NIPTは偽陽性が少ないと報告されており、この差が受検後の不安の大きさに直結します。
偽陽性が多いと何が起きるのか
偽陽性が多いと、本当は問題がない場合でも「確率が高い」という結果を受け取ってしまうことがあります。すると不安を抱えたまま、次の確定検査を検討することになります。私は、確率の数字だけを見て過度に不安になってしまう妊婦さんを何度も見てきました。数字の意味を落ち着いて受け止められるかどうかが、この検査の分かれ目だと感じています。
この点は、医療現場を知る人からも語られています。Xでも@muu7964さんが、産婦人科で働いていた頃にクアトロテストを受ける方は多かったものの、その後に羊水検査をすると偽陽性だったケースが多く、自分が受けるならクアトロよりNIPTという気持ちだ、とつづっていました。現場で偽陽性を目にしてきた方ならではの実感がにじむ声です。もちろん、どの検査を選ぶかは一人ひとりの状況によって変わります。
検出率の数字はあくまで目安
クアトロテストの21トリソミー検出率は概ね8割前後と報告されますが、これは幅のある目安です。NIPTは対象疾患で高い検出率が報告されるものの、こちらも100%ではありません。検出率という言葉の数字だけで優劣を決めず、時期・費用・結果の受け止めやすさを合わせて考えてください。
どちらを選ぶか|考え方の整理
どちらを選ぶかに絶対の正解はなく、いつ受けたいか・費用・結果をどう受け止めたいかで変わってきます。早く受けたい、偽陽性の少なさを重視したいならNIPT。費用を抑えて手軽に受けたいならクアトロテスト、という整理が一つの目安です。ただし、これはあくまで出発点にすぎません。

選ぶときは、まず「結果が出たあと自分はどうしたいか」を考えておくと迷いにくくなります。確率で示される数字を落ち着いて受け止められそうか、早い時期に情報を得て相談の時間を確保したいか。こうした視点で考えると、自分に合うほうが見えてきます。判断材料として、日本産科婦人科学会の情報や、妊娠期の健康を扱うこども家庭庁 母子保健の情報も役立ちます。
どちらの検査も、受ける・受けないの選択そのものに優劣はありません。パートナーとよく話し合い、納得したうえで決めることが何より大切です。迷うときは、遺伝カウンセリングで一つずつ疑問を解消してください。確定診断まで含めた流れを知りたい方は絨毛検査の解説もあわせてご覧ください。
結果をどう受け止めるか|どちらも陽性なら確定検査が必要
クアトロテストもNIPTも非確定的検査なので、陽性(高リスク)が出たら、確定のために羊水検査などが必要です。逆に陰性なら、多くの場合はそこで一区切りとなります。結果の意味を正しく理解しておくと、通知を受け取ったときに落ち着いて次の一歩を選べます。
陰性だったときの受け止め方
陰性の結果を受け取ると、多くの方が大きく安心されます。ずっと張りつめていた気持ちがほどける瞬間です。Xでも@m0nica_chanさんが、妊婦健診でクアトロテストの結果が陰性でホッとした、とつづっていました。検査を待つあいだの不安がいかに大きいかが伝わってくる一言です。私も、結果を聞いて肩の力が抜けたと話す妊婦さんに何度も接してきました。
ただし陰性は「変化の可能性が低い」という意味であり、すべてを否定するものではありません。超音波で気になる所見があるときなどは、状況に応じて医師が追加の検査を案内することもあります。最終的な判断は、担当医と相談して決めてください。
陽性だったときに進む確定検査
陽性(高リスク)が出た場合、確定のために進むのが羊水検査などの確定診断です。染色体を直接調べるため、診断を確定させる最終段階の検査となります。ヒロクリニックNIPTでは、他院での羊水検査にも使える費用サポートを用意しています。結果が出たあとの道筋まで見据えて相談できると、不安がやわらぎます。
よくある質問
Q. NIPTとクアトロテストはどちらが正確ですか?
対象疾患で高い検出率が報告され、偽陽性が少ないのはNIPTです。クアトロテストは21トリソミーで概ね8割前後の検出率が報告され、偽陽性が比較的多いとされます。ただしどちらも非確定的検査であり、陽性が出たら羊水検査などの確定診断が必要です。数字だけでなく、時期や費用も合わせて選んでください。
Q. クアトロテストとNIPTはいつから受けられますか?
クアトロテストは妊娠15〜18週頃、NIPTは妊娠10週頃から受けられます。NIPTのほうが早い時期に受けられるため、その後の相談や検討に時間をかけやすい点が特徴です。時期は施設や赤ちゃんの発育によって前後するため、担当医に確認してください。
Q. 費用はそれぞれどれくらいですか?
どちらも保険適用外の自費です。クアトロテストは2〜3万円程度が一つの目安。NIPTは施設によって費用に幅があります。費用だけで決めず、受けられる時期や偽陽性の少なさ、結果の受け止めやすさも合わせて検討してください。総額と含まれる内容は事前に施設へ確認しておくと安心です。
Q. どちらも陽性が出たら確定するのですか?
いいえ、確定はしません。クアトロテストもNIPTも非確定的検査のため、陽性(高リスク)が出ても診断が確定するわけではありません。確定を望む場合は、染色体を直接調べる羊水検査などの確定診断に進みます。結果の受け止めに迷うときは、遺伝カウンセリングで相談してください。
Q. クアトロテストで何がわかりますか?
クアトロテストでは、21トリソミー(ダウン症候群)・18トリソミー・開放性神経管奇形の確率がわかります。血液中の4つの成分と母体年齢などから、統計的に「1/○○」という確率を算出します。あくまで確率を示す検査であり、結果は目安として受け止めてください。
Q. 両方の検査を受ける必要はありますか?
多くの場合、両方を受ける必要はありません。目的や重視する点に合わせてどちらか一方を選ぶのが一般的です。早い時期に偽陽性の少ない検査を希望するならNIPT、費用を抑えて手軽に受けたいならクアトロテストが一つの目安になります。迷うときは医師や遺伝カウンセリングに相談して決めてください。
著者・監修
岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director(ラボディレクター)。慶應義塾大学医学部卒業後、日本と米国の医師国家試験に合格し、医学博士を取得。日本に約20人しかいないラボディレクター資格を保有。YouTube「ひろし先生の正しいエビデンス妊娠ch」などで、エビデンスにもとづく妊娠・出生前診断の情報を発信しています。
NIPT検査とクアトロ検査の違いについて、検査の内容、精度、実施時期、費用、保険適用、確定検査の必要性を比較。高精度なNIPT検査は早期診断に最適ですが費用が高く、クアトロ検査は費用を抑えたスクリーニングに適しています。
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
参考文献
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- Norton ME, Jacobsson B, Swamy GK, Laurent LC, Ranzini AC, Brar H, Tomlinson MW, Peregrine E, Hayward JL, Sparks AB, Song K, Deutsch G, Wu Q, Coady V, Lobo M, Campbell S, Musci TJ. Cell-free DNA Analysis for Noninvasive Examination of Trisomy. N Engl J Med. 2015 Apr 23;372(17):1589-1597.
- Bianchi DW, Platt LD, Goldberg JD, Abuhamad AZ, Sehnert AJ, Rava RP; CARE Study Group. Genome-wide fetal aneuploidy detection by maternal plasma DNA sequencing. N Engl J Med. 2014 Feb 27;370(9):799-808.
- Snijders RJ, Sundberg K, Holzgreve W, Henry G, Nicolaides KH. Maternal age- and gestation-specific risk for trisomies 21, 18, and 13. Ultrasound Obstet Gynecol. 1999 Jan;13(3):167-170.

