妊娠中毒症と妊娠高血圧症候群の違いについて【医師監修】

妊娠高血圧症候群

妊娠中に注意しておきたい妊娠中毒症。自覚症状は乏しいものの、悪化した場合は死産につながる恐れもある怖い病態で、現在では妊娠高血圧症候群と呼ばれています。約20人に1人に起き、比較的頻度が高いため注意が必要です。

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妊娠中毒症とは?

妊娠中毒症をご存知ですか?妊娠して、病院に通っている妊婦さんは聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。妊娠中毒症とは、何らかの原因で妊娠中に血圧が高くなり、さまざまな症状が引き起こされることをいいます。

現在では、妊娠高血圧症候群と呼ばれています。

以前は高血圧、タンパク尿、浮腫のいずれかがあれば、妊娠中毒症と呼ばれていました。

症状の中で高血圧が重要視されるようになり、妊娠高血圧症候群という名称に改められてからは定義も変わり、浮腫やタンパク尿がみられても血圧が高くない場合は妊娠高血圧症候群にあたらないとされています。

妊娠高血圧症候群とは? 注意したいポイントをご説明します【医師監修】
妊娠高血圧症候群とは? 注意したいポイントをご説明します【医師監修】
妊娠高血圧症候群について、どのようなものであり具体的な症状は何なのか。また、予防するための効果的な手法などについて詳しくご説明したいと思いま...

妊娠高血圧症候群・赤ちゃんへの影響は?

妊娠高血圧症候群になると、血流が悪くなります。そのため、胎児に栄養や酸素が十分量いきわたらず発育不全が起こることがあります。早産や死産、低出生体重児(体重2500g未満)などにつながる恐れがあるのです。

このような人は妊娠高血圧症候群になりやすいので要注意

もともと高血圧や糖尿病、腎臓の病気などを持っている方、肥満や高齢の場合、妊娠高血圧症候群のリスクが高まります。また、家族に高血圧の人がいる方や多胎妊娠(双子など)、初産婦の方もリスクが上がるので注意が必要です。

妊娠高血圧症候群の原因

妊娠高血圧症候群の原因については研究が進んでいますが、まだはっきりとした結論は出ていません。最近の研究では胎盤で、さまざまな物質が異常に作られてしまい全身の血管に作用することで引き起こされるのではないかと言われています。

妊娠高血圧症候群の妊婦さん

妊娠高血圧症候群の症状

妊娠高血圧症候群の症状について詳しくみていきましょう。

頭痛

妊娠高血圧症候群では、頭痛が起こることがあります。これは子癇(しかん)と呼ばれる発作の前兆で、大変危険な状態です。

頭痛の症状がある場合は早めに病院を受診して、主治医に診てもらうようにしましょう。

意識障害

妊娠高血圧症候群では意識障害が起こることがあります。これは子癇(しかん)とよばれる発作でみられる症状です。けいれんの症状が出ることもあります。

妊娠高血圧症候群が悪化すると、子癇(しかん)に進行することがあります。子癇(しかん)は、意識消失・呼吸停止の恐れもある危険な病態です。

妊娠中は、むくみやしびれ、頭痛などの症状に注意するとともに、妊婦検診を定期的に受け体調をみてもらうようにしましょう。

肝臓の機能障害

妊娠すると通常、体の血液量の増加に合わせて血管も拡張して容積が増えるため、血圧が通常通りに保たれます。しかし、妊娠高血圧症候群の妊婦さんは何らかの原因で血管がうまく広がらないのです。これは妊娠高血圧症候群の妊婦さんの血圧が高い原因と考えられます。

このことで肝臓に血液がうまく流れなくなるとHELLP症候群という重篤な合併症につながる恐れがあります。HELLP症候群では溶結、肝酵素上昇、血小板減少を呈し、多臓器障害をきたす重篤な疾患です。母体の死亡につながる恐れもあります。

脳出血

妊娠高血圧症候群になると、脳出血のリスクが上がります。脳出血とは、脳の細い血管が切れて脳の組織の中に出血することをいい、死亡につながることもあります。

妊娠高血圧症候群は重症化すると命に関わります。気になる症状がある場合は早めに病院を受診するようにしましょう。

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妊娠高血圧症候群と診断されたら

妊娠高血圧症候群と診断されると、ごく軽度なときは外来で経過観察を行う場合もあります。その場合は自宅療養の仕方などを指導されるかと思いますので、医師の指示に従うようにしましょう。

入院が必要と医師が判断した場合は入院となります。

妊娠高血圧症候群の治療法

妊娠高血圧症候群の治療では、安静にしておくことが大切になります。また、けいれん予防や重症の高血圧改善のためにお薬を用いることがあります。

しかし根本的にこの病気を治す方法はわかっていないため、妊娠継続が良くないと考えられる場合は、早めに出産しなければならないこともあります。

妊娠高血圧症候群の治療法

妊娠高血圧症候群は入院が必要?

妊娠高血圧症候群の治療では、安静にしておくことが大切となりますので、医師が必要と判断した場合は入院することになります。

医療費の助成はある?

妊娠は病気ではないため、通常保険の適用はありません。しかし、妊娠高血圧症候群は症状や病気の中に分類されるため、保険が適用になります。

また、各自治体によって、医療費の助成を行っているところもあります。

例えば東京都では

  • 前年の所得金額が30000円以下の世帯

もしくは

  • 入院見込み期間が26日以上(退院後の申請の場合は実際の入院期間が26日以上)の場合に助成が受けられます。

医療保険による給付を適用した後の自己負担分が助成されることとなっているため、安心です。

自治体によって、助成があるか、そしてその内容は異なりますので、妊娠高血圧症候群の診断を受けたときは早めに確認しておきましょう。

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妊娠高血圧症候群を予防するために大切なこと

妊娠高血圧症候群はまだ詳しい原因がわかっていないので、予防法についてはまだはっきりしていません。しかし、妊娠高血圧症候群にならないために効果的であると考えられているポイントがいくつかあるのでご紹介します。

食事での塩分摂取を抑える

塩分の摂りすぎは血圧が上がる原因になりますので、塩分を控えることが大切です。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では食塩摂取の目標量は成人女性で1日6.5g未満となっています。

だしを効かせる、レモンや酢などの酸味を上手に使うことで、塩分を減らすことが可能です。食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

体重管理に気を付ける

急激な体重増加は妊娠高血圧症候群につながる恐れがあります。食事は妊娠時期ごとの適量を守るようにしましょう。

妊婦検診を必ず受ける

妊娠高血圧症候群は自覚症状がおきづらい疾患です。妊婦検診で初めてわかる場合が多いため、予定通り受けるよう心がけましょう。

体重管理などについても、指導を受けるようにしておくといいですね。

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まとめ

妊娠高血圧症候群についてご説明しました。妊娠高血圧症候群は重症化した場合のリスクが高い病態ですので、早期発見・早期治療が非常に大切です。

食事や体重管理など日々の生活に気を付けるとともに、しっかりと妊婦検診を受診し予防していきましょう。

また、妊娠高血圧症候群以外にも妊娠中はおなかの赤ちゃんについて気になることがたくさんありますよね。NIPT(新型出生前診断)では、お母さんの血液をとるだけで赤ちゃんに染色体異常がないかを調べることができます。ご興味のある方は是非ヒロクリニックNIPTのスタッフにお問合せください。

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【参考文献】

妊娠中に注意しておきたい妊娠中毒症。自覚症状は乏しいものの、悪化した場合は死産につながる恐れもある怖い病態で、現在では妊娠高血圧症候群と呼ばれています。約20人に1人に起き、比較的頻度が高いため注意が必要です。

NIPTについて詳しく見る

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記事の監修者

川野 俊昭先生

川野 俊昭先生

ヒロクリニック博多駅前院 院長
日本産科婦人科学会専門医

産婦人科医として25年以上、主に九州で妊婦さんや出産に向き合ってきた。経験を活かしてヒロクリニック博多駅前院の院長としてNIPT(新型出生前診断)をより一般的な検査へと牽引すべく日々啓発に努めている。

略歴

1995年 九州大学 医学部卒業
1995年 九州厚生年金病院 産婦人科
1996年 九州大学医学部付属病院 産婦人科
1996年 佐世保共済病院 産婦人科
1997年 大分市郡医師会立アルメイダ病院 産婦人科
1998年 宮崎県立宮崎病院 産婦人科 副医長
2003年 慈恵病院 産婦人科 医長
2007年 日本赤十字社熊本健康管理センター診療部 副部長
2018年 桜十字福岡病院 婦人科
2020年 ヒロクリニック博多駅前院 院長

資格

日本産科婦人科学会専門医
検診マンモグラフィ読影認定医
日本スポーツ協会公認 スポーツドクター
厚生労働省認定臨床研修指導医
日本抗加齢医学会専門医

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