双胎児におけるNIPT検査の精度について

NIPT 双胎児におけるNIPT検査の精度IPT

この記事のまとめ

双胎(双子)妊娠でも、トリソミー21・18についてはNIPTで単胎とほぼ同等の高い精度が海外の系統的レビューで確認されています。一方で、母体血中のcfDNAが2人分混ざり合う構造上、判定保留(no call)になる割合は単胎よりやや高くなる傾向があります。絨毛膜性(一絨毛膜・二絨毛膜)によって結果の意味が変わる点など、双胎特有の注意点も存在します。本記事では、海外のメタアナリシスや実際の臨床データをもとに、双胎NIPTの精度の実際と、陽性・判定保留となった場合の進め方を解説します。

この記事でわかること

  • 双胎妊娠におけるNIPTの感度・特異度の実際の数値
  • 一絨毛膜双胎と二絨毛膜双胎で検査結果の意味がどう変わるか
  • 双胎で判定保留(no call)になりやすい理由
  • 双子の片方だけに異常が疑われた場合の確定検査の進め方
  • 双胎でNIPTを受けられる施設選びと予約のタイミング

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「双子を授かったけれど、NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)の精度はひとりの赤ちゃんのときと同じなのだろうか」。双胎妊娠が分かった後、多くの方がこの疑問を抱きます。インターネット上には「双子だと精度が下がる」「双子は受けられる病院が少ない」など、断片的な情報があふれています。結論から言うと、トリソミー21・18については、双胎でも単胎と同程度の高い精度がここ数年の国際的な研究で示されています。ただし、判定保留になりやすいことや、絨毛膜性によって結果の解釈が変わることなど、双胎ならではの注意点も確かにあります。海外の系統的レビューや実際の臨床データを引用しながら、双胎NIPTの精度を数字で整理していきます。

双胎(双子)妊娠でNIPT検査の精度はどのくらい変わるのか

2025年に発表された海外の系統的レビュー・メタアナリシスでは、双胎妊娠のNIPTはトリソミー21・18について単胎と遜色ない精度を示しています。この研究は35件の先行研究を統合した解析で、双胎妊娠でcfDNAスクリーニングを受けた症例を対象にしています。

結果は次の通りでした。ダウン症候群(21トリソミー)は感度98.8%・特異度100%、18トリソミーは感度94.9%・特異度100%、13トリソミーは感度84.6%・特異度100%です。13トリソミーとその他の性染色体異常については、該当症例数が少なく今後さらに大規模な研究での確認が必要、と研究チーム自身が述べています。

対象疾患感度特異度
21トリソミー(ダウン症候群)98.8%(95%CI 96.5-100%)100%(95%CI 99.9-100%)
18トリソミー94.9%(95%CI 75.9-99.1%)100%(95%CI 99.9-100%)
13トリソミー84.6%(95%CI 54.6-98.1%)100%(95%CI 99.9-100%)
35研究を統合したメタアナリシス(Della Valle L, et al. Ultrasound Obstet Gynecol. 2025)による双胎妊娠でのcfDNAスクリーニング精度

同じ研究では、21トリソミー・18トリソミーの検出精度は一絨毛膜双胎と二絨毛膜双胎で大きな差がなかったとも報告されています。数字だけを見ると心強く感じますが、これはあくまで研究として統合されたデータです。個々の妊娠でNIPTが「絶対に外れない検査」というわけではありません。陽性・陰性のどちらであっても、確定的な診断ではないという前提を忘れないでください。

一絨毛膜双胎と二絨毛膜双胎で何が変わるのか

双胎NIPTの結果を正しく理解する鍵は、絨毛膜性(一絨毛膜か二絨毛膜か)にあります。絨毛膜性とは、双子がそれぞれ別の胎盤を持つか、ひとつの胎盤を共有しているかという分類です。

  • 一絨毛膜双胎(モノクロリアル・ツインズ):1個の受精卵が分裂してできた一卵性双胎で、原則として同一の遺伝情報を持ちます。胎盤も1つを共有しているため、cfDNAの由来がひとつにまとまりやすく、結果の解釈は比較的シンプルです。
  • 二絨毛膜双胎(ダイコリオニック・ツインズ):二卵性双胎の大半と、一部の一卵性双胎が該当します。それぞれが別の胎盤を持つため、母体血中には2人分のcfDNAが別々の割合で混ざり合います。片方の胎盤だけに染色体異常が生じた場合、もう一方の正常なcfDNAで異常のシグナルが薄まり、検出が難しくなることがあります。
ナース

双胎NIPTを理解する最初の一歩、それが絨毛膜性の確認です。超音波検査で絨毛膜性がどちらかを確認しておくと、NIPTの結果を落ち着いて受け止めやすくなります。絨毛膜性の判定は、妊娠初期の早い時期ほど正確です。双子の妊娠が分かったら、まず産婦人科でこの点を確認してもらうことから始めてください。

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双胎特有の精度リスク:判定保留(no call)とバニシングツインの影響

双胎妊娠は、判定保留(no call・結果が出ない状態)になる割合が単胎より高くなる傾向があります。NIPTは、母体血中に含まれる胎児(胎盤)由来のcfDNAの割合(フィータルフラクション)がある一定の水準に達していないと、正確な判定ができません。

中国のある単一施設で1,650件の双胎NIPTを解析した研究があります。11件(約0.7%)が、フィータルフラクション不足による判定保留(再検査)だったと報告されています。この研究でのトリソミー21の感度は100%、特異度は99.79%でした。ただし双胎は事前確率(検査を受ける集団での発生頻度)が単胎より低いため、陽性的中率(PPV)は21トリソミーで57.14%にとどまっています。「陽性=確定」ではないことが、この数字からも分かります。

もうひとつ知っておきたいのが、バニシングツインの影響です。妊娠のごく初期に双子の一方が子宮内で亡くなり、吸収されてしまう現象を指します。亡くなった赤ちゃんに染色体異常があった場合、そのDNA断片は母体血中に一定期間残ることがあります。生存している赤ちゃんが正常でも、NIPTが陽性・判定保留になる一因になり得ます。Xでは@rinkarinkarさんが、双子妊娠の途中で片方を亡くした経験を投稿していました。「初め双子妊娠で片方の子が流産のまま子宮に滞留している状態だったのでNIPTは受けられず、胎児ドックのみにした」という内容です。バニシングツインが起きた場合、NIPTの適応やタイミングは医師との相談が欠かせません。バニシングツインそのものについてはバニシングツインの原因・双子の種類と母体・胎児への影響を解説した記事で詳しく取り上げています。

双子の片方だけに異常が疑われたら?不一致(discordant)ケースの考え方

双子の一方にのみ染色体異常が疑われる「不一致(discordant)」の場合、NIPTだけでどちらの胎児が陽性かを特定することはできません。母体血中のcfDNAは双子2人分が混ざった状態で解析されるため、検査結果は「双子のうち少なくとも1人に異常の可能性がある」という情報にとどまります。

そのため双胎で陽性判定が出た場合は、超音波検査で双子それぞれの発育や形態を個別に確認します。そのうえで、確定検査(羊水検査)を各胎児から個別に採取して行うのが原則です。二絨毛膜双胎では特に、どちらの羊膜腔から採取したかを正確に記録し、取り違えを防ぐ体制が重要です。私も外来で「どちらの子が陽性なのか、先に教えてほしい」と聞かれることがありますが、NIPTの仕組み上、その特定は確定検査を待たなければ分かりません。焦らず、ひとつずつの確認の積み重ね。それが結果的に一番の近道になります。

双胎でNIPTを受けられる施設・タイミングの実際

双胎妊娠は、NIPTを実施できる施設が単胎より限られているのが実情です。解析の難易度が上がることに加え、確定検査・分娩まで含めた総合的な周産期管理が必要になります。そのため、設備の整った総合病院や専門施設に限定しているケースが少なくありません。

Xでも、双子の妊婦健診先を探していた@nanako__1124さんが投稿していました。「双子だと設備が揃ってる総合病院とか大学病院しか受け入れてくれないみたい」「隣駅の妊婦健診をやっているクリニックだとNIPT検査をやっていない」という内容です。施設によって双胎の受け入れ可否や検査時期の基準は異なります。妊娠が分かった早い段階で、双胎に対応しているかどうかを問い合わせておいてください。

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双胎でNIPT陽性・判定保留だったときの流れ

双胎でNIPT陽性となった場合も、単胎と同じく確定的検査を経てはじめて診断が確定します。日本産科婦人科学会の指針でも、NIPTはあくまで非確定的な検査であり、陽性の場合は羊水検査などの確定検査を受けることとされています。

  1. まず超音波検査で、双子それぞれの発育状況やマーカー所見を個別に確認します。
  2. 遺伝カウンセリングで、NIPTの結果が意味すること・意味しないことを整理します。
  3. 必要に応じて、双子それぞれの羊膜腔から個別に羊水を採取する羊水検査に進みます。

判定保留(no call)だった場合は、採血をやり直す再検査か、超音波検査を軸にした管理へ切り替えるかを医師と相談することになります。判定保留は「異常がある」という意味ではなく、フィータルフラクション不足などで結果が出せなかったというだけです。陽性判定そのものの仕組みや、確定でない理由についてはNIPT陽性=確定ではない。偽陽性の仕組みと確定診断ガイドでも詳しく解説していますので、あわせて確認してください。

体験談から見る双胎NIPTとの向き合い方

双子を授かった妊婦さんの多くが、単胎以上の不安を抱えながらNIPTの結果を待っています。ひとりぶんの命の心配が、双子では単純に2倍以上の重みになるからです。

Xでは、双子を妊娠中の@ayakbkbjさんが「NIPT陰性だった。双子ってこともあってずっと不安だったから、連絡が来て本当に安心した。より2人が愛おしくなった」と投稿していました。陰性という結果そのものより難しいのは、「不安な期間をどう過ごすか」という時間との付き合い方。私自身、双子を妊娠中の患者さんから「毎日、片方だけ元気がないのではと気になってしまう」という声を聞くことが少なくありません。

結果を待つ間は、次の3点を意識してください。

ひとつめは、NIPTの精度データはあくまで集団としての統計であり、自分たちの結果を保証するものではないと理解すること。ふたつめは、陽性・判定保留のどちらであっても、確定検査というひとつ先のステップが必ず用意されていると知っておくこと。みっつめは、パートナーや医師、遺伝カウンセラーと、ひとりで抱え込まずに話す時間を作ることです。単胎か双胎かによらず、これは変わりません。

ヒロクリニックNIPTで双胎妊娠の検査を受けるメリット

ヒロクリニックNIPTでは、年齢制限や紹介状なしで、心拍確認後の早い時期から双胎妊娠のNIPTに対応しています。これまでに実施してきた検査実績は75,000件を超え、2023年12月の調査(株式会社イージークラウド調べ)では利用者満足度98.8%という結果も出ています。

  • 産婦人科専門医・小児科専門医・臨床遺伝専門医が連携し、双胎特有の疑問にも遺伝カウンセリングで対応します。
  • 国内の検査機関(東京衛生検査所)で解析するため、最短2〜5日というスピードで結果を報告できます。
  • NIPTで陽性となり羊水検査に進む場合は、費用補助制度(ライト・スタンダード・ワイド)を利用できます。他院で受けた羊水検査にも適用されます。

NIPTの種類や検査対象は施設によって幅があります。双胎で検討する際は、対応可能な週数や検査項目の違いも比較したうえで選んでください。検査の種類ごとの違いはNIPT(新型出生前診断)の種類と精度をやさしく解説した記事でまとめています。

まとめ

双胎妊娠のNIPTは、トリソミー21・18について単胎とほぼ同等の精度を持ちます。一方で、判定保留になりやすいことや絨毛膜性による解釈の違いなど、双胎ならではの特徴もあります。数字の高さに安心しきるのではなく、「陽性・陰性のどちらも確定診断ではない」という検査の性質を理解しておいてください。それが、結果と向き合う土台になります。

  • 21・18トリソミーの精度は単胎と大きく変わらないと報告されていますが、13トリソミーはデータがまだ限られています。
  • 判定保留やバニシングツインの影響など、双胎特有の要因があることを知っておいてください。
  • 陽性・判定保留となった場合は、双子それぞれを個別に確認する確定検査に進むのが基本です。

双胎妊娠は、体調管理も検査の判断も単胎より複雑になりがちです。ひとりで判断を抱え込まず、双胎に対応できる施設と早めにつながっておいてください。

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よくある質問

Q. 双胎(双子)妊娠でもNIPTは受けられますか?

受けられます。ただし解析の難易度や周産期管理の観点から、双胎に対応していない施設もあります。予約前に双胎妊娠に対応しているかを確認してください。

Q. 双胎だとNIPTの精度は下がりますか?

21トリソミー・18トリソミーについては、海外のメタアナリシスで単胎とほぼ同等の高い感度・特異度が報告されています。ただし13トリソミーなど一部の対象疾患はデータが少なく、判定保留になる割合も単胎よりやや高い傾向があります。

Q. 一絨毛膜双胎と二絨毛膜双胎で何が違いますか?

一絨毛膜双胎は同一の遺伝情報を持つ一卵性双胎で、胎盤も1つを共有するため結果の解釈が比較的シンプルです。二絨毛膜双胎はそれぞれ別の胎盤を持ち、cfDNAが個別に混ざり合うため、片方だけの異常は検出が難しくなる場合があります。

Q. 双子の片方だけ陽性という結果は出ますか?

NIPTの結果だけでは、どちらの胎児が陽性かを特定できません。「双子のうち少なくとも1人に異常の可能性がある」という情報にとどまるため、超音波検査と、双子それぞれから個別に採取する羊水検査で確認します。

Q. バニシングツインがあるとNIPTの結果に影響しますか?

影響することがあります。妊娠初期に亡くなった双子の一方に染色体異常があった場合、そのDNA断片が母体血中に一定期間残り、生存している赤ちゃんが正常でも陽性・判定保留の一因になり得ます。バニシングツインが判明している場合は、検査のタイミングを医師と相談してください。

Q. 双胎でNIPTが陽性だった場合、次に何をすればいいですか?

まず超音波検査で双子それぞれの状態を確認し、遺伝カウンセリングを受けたうえで、羊水検査などの確定検査に進みます。二絨毛膜双胎では、どちらの羊膜腔から採取したかを正確に区別することが欠かせません。

著者・監修

岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director(ラボディレクター)。慶應義塾大学医学部卒業後、日本と米国の医師国家試験に合格し、医学博士を取得。日本に約20人しかいないラボディレクター資格を保有。YouTube「ひろし先生の正しいエビデンス妊娠ch」などで、エビデンスにもとづく妊娠・出生前診断の情報を発信しています。

Q&A

  • Q
    双子妊娠でもNIPT(新型出生前診断)は受けられますか?
    はい、双子妊娠でもNIPTは実施可能です。ただし、検査の精度や対象となる異常の範囲に制限がある場合があるため、事前に医療機関で確認することが大切です。
  • Q
    双子妊娠のNIPTは単胎妊娠と比べて精度が違いますか?
    一般的に、双胎妊娠ではNIPTの精度が単胎妊娠よりやや低下します。これは胎児由来DNAの量や分離の難しさによるもので、陽性・陰性判定の信頼性がやや変動することがあります。
  • Q
    双子妊娠ではすべての染色体異常を調べられるのですか?
    検査機関やプランによって異なりますが、双子の場合、対象疾患が限定されることが多いです。たとえば21トリソミーのみ検査可能というケースもあります。
  • Q
    双子妊娠のNIPT結果で異常が出た場合はどうすればよいですか?
    異常が出た場合も確定診断のために羊水検査などの追加検査が必要です。双胎のどちらに異常があるかを特定するのが難しい場合もあるため、専門医のサポートが重要です。
  • Q
    双子妊娠でNIPTを受ける際の注意点はありますか?
    はい、検査の限界を理解したうえで受けることが重要です。結果の解釈が複雑になることもあり、受検前に遺伝カウンセリングを受けることで、安心して検査に臨むことができます。
医師監修 監修日:2024年9月24日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2024年9月24日
花澤 司 (医師/ヒロクリニック大宮駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2024年9月24日
陽川 英仁 (医師・医学博士/ヒロクリニック大阪駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

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