妊活前と妊娠後に注意するべきこと 妊娠したらやるべきことは?【医師監修】

妊娠前に気をつけたいこと

妊娠を望む方は身体を整える必要があります。これを一般的に妊活といい、生活環境を見直すことのほか健康チェックや夫婦間での話し合いなどをおこなう妊娠活動を指します。この記事では妊活前に注意することや妊娠前検査などについてを医師が解説します。

妊娠したら15週目までに
NIPTを検討しましょう

妊娠したら15週目までに
NIPTを検討しましょう

この記事のまとめ

妊活前と妊娠後にやるべきことは、生活習慣の見直し・葉酸の付加摂取・妊娠前の検査とワクチン、そして妊娠がわかったら早めの産婦人科受診の4つに整理できます。将来の妊娠に備えて今から心と体を整える取り組みは「プレコンセプションケア」と呼ばれ、こども家庭庁も国の計画として後押ししています。葉酸は妊娠1か月以上前から1日400マイクログラムを付加的にとることが、国の食事摂取基準でも示されています。妊娠後はNIPTなどの出生前診断も選択肢になります。

この記事でわかること

  • プレコンセプションケアの意味と、こども家庭庁が進める背景
  • 禁煙・節酒・適正体重・葉酸など、妊娠前から整えたい生活習慣
  • 風疹抗体検査やワクチンなど、妊娠前に受けておきたい検査の順番
  • 妊娠がわかったらやること、NIPTを含む出生前診断の位置づけ

プレコンセプションケアとは

プレコンセプションケアとは、将来の妊娠を見すえて今から心と体を整える取り組みのことです。「コンセプション」は受胎を意味し、その前段階のケアという意味になります。妊娠してから慌てて生活を変えるのではなく、妊娠する前の体づくりを大切にする考え方。国立成育医療研究センターがセンターを設け、こども家庭庁も母子保健の柱として推進しています。

私自身、外来で妊活中の方とお話しするなかで「妊娠がわかってから葉酸を飲み始めました」という声をよく聞きます。少しもったいないと感じる場面です。神経管が作られる時期を考えると、本当は妊娠前からの準備が効いてきます。Xでも@MatsuokaKodairaさんが、プレコンセプションケアを「将来の自分のために今から始める、心と体のベーシックケア」と表現し、子どもを持つ・持たないに関わらずすべての人に関わるもので、国(こども家庭庁)の5か年計画にも位置づけられていると紹介していました。私の実感とも重なる言葉でした。

大切なのは、これが女性だけのテーマではないという点です。禁煙や節酒、体重管理はパートナーにも関わります。夫婦で一緒に取り組むことで、妊活の土台が整いやすくなるでしょう。プレコンセプションケアは、特別な人だけのものではありません。

より詳しい枠組みは、国立成育医療研究センターのプレコンセプションケアセンターや、こども家庭庁の母子保健のページでも確認できます。妊活を意識し始めた段階の方は、まず全体像をつかんでおいてください。妊娠を望む前の段階で不妊の不安がある場合は、人工授精などの治療の選択肢を早めに知っておくと落ち着いて動けます。

プレコンセプションケアの4つの柱 生活習慣 禁煙・節酒 適正体重 葉酸 1か月前から 1日400μg 妊娠前の検査 風疹抗体 ワクチン 妊娠後の受診 産婦人科 母子手帳
妊娠前から妊娠後まで、段階ごとに整理して準備を進めます

妊娠前から見直したい生活習慣

禁煙・受動喫煙の回避・節酒・適正体重の維持・バランスの良い食事・適度な運動・十分な睡眠・カフェインの管理が、妊娠前から見直したい生活習慣の柱です。どれも今日から始められる内容ばかり。ひとつずつ整えていけば、体は少しずつ妊娠に向いた状態へ近づきます。

禁煙と受動喫煙の回避

喫煙している方は、妊活を始める前に禁煙してください。たばこの本数が多いほど妊娠しにくく、妊娠後も早産流産、赤ちゃんの発育不良につながると指摘されています。自分が吸わなくても、まわりの煙を吸い込む受動喫煙にも注意が必要です。男性の喫煙も精子の状態に影響するとされ、夫婦で足並みをそろえた禁煙が近道になります。

節酒とカフェインの管理

お酒はほどほどに控えてください。妊娠中の飲酒はアルコールが胎盤を通って赤ちゃんへ届き、発育や健康に影響すると考えられています。妊娠に気づく前の時期も含めて、量を減らしておくと安心です。

カフェインも過剰にならない範囲に。コーヒーや紅茶、エナジードリンクを一日に何杯も飲む習慣がある方は、少しずつ減らしてみてください。どうしても飲みたいときは、カフェインレスの製品に置き換える方法があります。ハーブティーの一部は妊娠中は避けたほうがよいものもあるため、パッケージの表示を確認してください。

適正体重とバランスの良い食事

やせすぎも太りすぎも、妊娠には向きません。急激なダイエットは女性ホルモンの分泌を乱し、排卵が止まってしまうことがあります。無理な食事制限ではなく、適正体重を保つ食習慣を目指してください。

食事は主食・主菜・副菜をそろえるのが基本になります。鉄分の多いほうれん草やひじき、赤身の肉や魚を意識して取り入れると、妊娠に備えた体づくりに役立ちます。極端なメニューではなく、続けられる範囲での積み重ねが結果につながります。バランスと継続。この2つが軸です。

運動と睡眠、そして薬の相談

ウォーキングやストレッチなど、無理のない運動を習慣にしてください。血流がよくなり、ホルモンの働きも整いやすくなります。睡眠も同じくらい大切で、夜ふかしを減らして生活リズムを一定に保つことが妊活の土台になります。

持病があって薬を飲んでいる方は、自己判断で中断しないでください。妊娠中に使える薬かどうかは種類によって異なるため、妊活を始める前に主治医へ相談しておくと安心です。市販薬も同じで、妊娠初期は風邪に似た症状が出ることがあり、安易な服用は避けたほうがよいでしょう。

妊活前と妊娠前に見直したい生活習慣をまとめたイラスト

葉酸は妊娠1か月以上前から

葉酸は、妊娠の1か月以上前から妊娠3か月ごろまで、1日400マイクログラムをサプリメントなどで付加的にとることが国の食事摂取基準で示されています。赤ちゃんの脳や脊髄のもとになる神経管は妊娠のごく初期に作られ、この時期の葉酸が神経管閉鎖障害のリスク低減に関わるとされています。妊娠に気づいてからでは間に合わないことがある、という点が大切です。

葉酸はビタミンB群のひとつで、細胞の分裂や成熟に関わります。ほうれん草・ブロッコリー・アスパラガス・レバーなどに多く含まれる栄養素。ただし食品由来の葉酸は吸収されにくい面があり、食事だけで妊娠前の必要量を満たすのは簡単ではありません。そこで、厚生労働省の日本人の食事摂取基準でも、妊娠を計画する女性にはサプリメントなどからの付加摂取がすすめられています。

いつから葉酸を意識すればよいのか、迷う方は少なくありません。私も「妊活を始めようかな、と思った時点から」とお伝えしています。Xでも不妊治療にくわしい@kameda_ivfさんが、妊娠前から妊娠期の栄養について「いつ・何を基準に選んでいるか」を問いかけ、葉酸などを知るタイミングそのものに注目していました。知る時期が早いほど、準備も早く始められます。

注意したいのは、とりすぎもよくないという点です。サプリメントは表示された量を守ってください。葉酸の選び方や摂取量の目安は葉酸についての解説で、サプリメントとの付き合い方はサプリメントの考え方のページでくわしく紹介しています。あわせて確認しておいてください。

妊娠前に受けておきたい検査

妊娠前には、風疹の抗体検査、必要なワクチンの接種、感染症の検査、持病や内服の相談、そして歯科のチェックを済ませておくと安心です。ワクチンには妊娠中は接種できないものがあり、順番を意識して動くことがカギになります。妊娠してからでは選べない検査もある、という前提で計画してください。

風疹抗体検査とワクチンは妊娠前に

妊娠初期に風疹にかかると、赤ちゃんに白内障や難聴、心臓の病気などが起こる先天性風疹症候群のリスクがあります。子どものころに予防接種を受けていても、免疫は年齢とともに下がることがあるため、妊活前に抗体があるか調べておいてください。

ここで押さえておきたいのが接種の順番です。風疹の予防接種は生ワクチンで、妊娠中は接種できません。だからこそ、妊娠前に検査と接種を済ませる必要があります。接種後は一定期間の避妊がすすめられるため、期間の目安は医療機関で確認してください。夫婦そろって抗体を調べておくと、より安心です。

感染症・持病・歯科のチェック

性感染症は、母子感染につながることがあります。クラミジアや梅毒などは早産流産の一因にもなるため、気になる場合は妊活前に検査を受けてください。結婚前の女性を対象にした「ブライダルチェック」でまとめて調べる方法もあります。

持病がある方は、妊娠が体に与える影響と、いま飲んでいる薬について主治医へ相談しておくと計画が立てやすくなります。見落とされがちなのが歯科。妊娠中はホルモンの影響で歯ぐきのトラブルが起きやすく、治療を受けにくい時期もあるため、妊娠前に歯の状態を整えておいてください。子宮頸がんや乳がんの検診も、この時期に済ませておくと安心です。

妊娠前に受けておきたい検査とワクチンを整理したイラスト

妊娠したらやること

妊娠がわかったら、まず産婦人科を受診し、母子健康手帳を受け取り、妊婦健診を定期的に受けることが基本の流れになります。そのうえで、赤ちゃんの染色体について知りたい方には、NIPTなどの出生前診断という選択肢があります。あわてず、順番に進めていってください。

産婦人科の受診・母子手帳・妊婦健診

市販の妊娠検査薬で陽性が出たら、早めに産婦人科を受診してください。超音波で子宮内に胎のうが確認できると、妊娠の週数や状態がわかります。医師から妊娠の診断を受けたら、お住まいの自治体で母子健康手帳を受け取ってください。

その後は妊婦健診が始まります。母体の体重や血圧、赤ちゃんの発育を定期的に確認する大切な機会です。多くの自治体で健診の費用を助成する仕組みがあり、母子手帳と一緒に受診票が渡されます。自治体ごとの制度は、こども家庭庁の母子保健の情報もあわせて確認しておいてください。

NIPTを含む出生前診断という選択肢

妊娠がわかると、赤ちゃんの健康を気にかける方は多いはずです。出生前診断は、赤ちゃんの状態を妊娠中に調べる検査の総称。受けるかどうかは自由で、正解があるわけではありません。まず情報を知り、夫婦で話し合って決めてください。

NIPT(新型出生前診断)は、お母さんの腕から採血するだけで受けられる検査で、母体や赤ちゃんへの負担が少ない点が特徴です。ここで正確に理解しておきたいことがあります。NIPTは13トリソミー18トリソミー・21トリソミーなど、対象を定めた染色体に限った非確定的な検査です。「陽性」という結果が出ても、それだけで確定にはなりません。確定診断には羊水検査などの確定的検査が別に必要になります。

最も多くみられる染色体の変化が、ダウン症(21トリソミー)です。検査でわかること、わからないことを整理したうえで、受けるかどうかを選んでください。判断に迷うときは、遺伝カウンセリングを通じて専門家と相談する方法もあります。数字だけで不安になる必要はありません。

妊娠前後の準備 早見表

妊娠前から妊娠後まで、やることを時期ごとに並べると全体像がつかみやすくなります。下の表を目安に、いまの自分がどの段階にいるかを確認してください。

時期主にやることポイント
妊活を意識したら禁煙・節酒・適正体重・葉酸の付加摂取1日400μgの葉酸は1か月以上前から
妊娠前風疹抗体検査・ワクチン・感染症検査・歯科生ワクチンは妊娠中は接種できない
妊娠がわかったら産婦人科受診・母子手帳・妊婦健診陽性が出たら早めに受診
妊娠初期以降出生前診断の情報収集・選択NIPTは非確定的検査。確定は羊水検査など

よくある質問

妊活前と妊娠後の準備について、外来でよく寄せられる質問をまとめました。疑問が残った点は、遠慮なく医療機関に相談してください。

Q. プレコンセプションケアはいつから始めればよいですか。

妊娠を意識し始めた時点から始めてください。生活習慣の見直しや葉酸の付加摂取は、妊娠のかなり前から効いてきます。特別な準備は必要なく、禁煙や睡眠の改善など、できることからひとつずつで大丈夫です。

Q. 葉酸は1日どのくらい、いつまでとればよいですか。

妊娠を計画する女性は、妊娠1か月以上前から妊娠3か月ごろまで、サプリメントなどから1日400マイクログラムを付加的にとることが国の食事摂取基準で示されています。とりすぎもよくないため、製品の表示量を守ってください。

Q. 風疹のワクチンは妊娠中でも受けられますか。

風疹の予防接種は生ワクチンのため、妊娠中は接種できません。だからこそ妊娠前に抗体検査を受け、必要なら接種を済ませてください。接種後は一定期間の避妊がすすめられるので、期間の目安は医療機関で確認してください。

Q. 妊娠がわかったら、まず何をすればよいですか。

検査薬で陽性が出たら、早めに産婦人科を受診してください。妊娠の診断を受けたら自治体で母子健康手帳を受け取り、その後は妊婦健診を定期的に受けます。多くの自治体で健診費用の助成があります。

Q. NIPTを受ければ赤ちゃんの状態は確定しますか。

いいえ、NIPTは13・18・21トリソミーなど対象を定めた染色体に限った非確定的な検査です。陽性の結果だけでは確定にならず、確定診断には羊水検査などが別に必要になります。結果の受け止め方に迷うときは遺伝カウンセリングを利用してください。

Q. 妊活の準備は女性だけがすればよいですか。

いいえ、パートナーの協力も大切です。禁煙や節酒、体重管理は男性側の要素にも関わります。風疹の抗体検査も夫婦そろって受けておくと安心です。二人で取り組むことが、妊活の土台になります。

著者・監修

岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director(ラボディレクター)。慶應義塾大学医学部卒業後、日本と米国の医師国家試験に合格し、医学博士を取得。日本に約20人しかいないラボディレクター資格を保有。YouTube「ひろし先生の正しいエビデンス妊娠ch」などで、エビデンスにもとづく妊娠・出生前診断の情報を発信しています。

妊娠を望む方は身体を整える必要があります。これを一般的に妊活といい、生活環境を見直すことのほか健康チェックや夫婦間での話し合いなどをおこなう妊娠活動を指します。この記事では妊活前に注意することや妊娠前検査などについてを医師が解説します。

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

NIPT(新型出生前診断)について詳しく見る

医師監修 監修日:2020年3月16日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2020年3月16日
花澤 司 (医師/ヒロクリニック大宮駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2020年3月16日
陽川 英仁 (医師・医学博士/ヒロクリニック大阪駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

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