先天性異常の予防~21トリソミー(ダウン症候群)は防ぐことができるのか【医師監修】

先天性異常の予防

先天性異常とは、出生前から生じている異常のことです。いったい、どのような疾患があるのでしょうか。ここでは、代表的な先天性異常について特徴を紹介します。21トリソミー(ダウン症候群)を防げるのかについても解説しているので、参考にしてみてください。

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お腹に赤ちゃんが来てくれた喜びとは裏腹に、この子がなんの異常もなく生まれてきてくれるのか不安に思ったことはありませんか?代表的な先天性異常としては、21トリソミー(ダウン症候群)が知られています。

しかし、先天性異常は21トリソミー(ダウン症候群)のみではありません。ここでは、主な先天性異常について特徴や症状を見ていきましょう。21トリソミー(ダウン症候群)が予防できるのかについても解説しています。

胎児の性別は10週目でわかる

先天性とは

先天性とは、「生まれつきの」という意味です。生まれつきもっている性質や疾患に対して使います。反対に、生まれた後に発症したものについては「後天性」という言葉を使うことが一般的です。

先天性異常とは

先天性異常とは、生まれつきもった体の異常のことを指します。生まれる前にわかることもあれば、生まれた後に初めてわかることもあるでしょう。

先天性異常としては21トリソミー(ダウン症候群)が有名ですが、ほかにも後で紹介する18トリソミー(エドワーズ症候群)13トリソミー(パトウ症候群)などさまざまなものがあります。

0~4歳までの死因でもっとも多いのは先天性異常です。なかには命に関わるものもありますが、手術や薬での治療で症状が落ち着くものも少なくありません。代表的な先天性異常はNIPT(新型出生前診断)で検査することも可能です。

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染色体疾患の主な症状

染色体疾患とは、先天性異常のうち染色体の異常によって起こるものです。通常よりも染色体の数が多かったり、逆に少なかったりすることで発症します。

通常、人間の染色体は全部で46本あります。常染色体が44本(22対)と性染色体が2本(1対)です。常染色体と性染色体とでは役割が異なり、性染色体は性別を決める働きをもちます。

染色体の中には、二重螺旋構造になって折りたたまれたDNAが存在していることから、染色体はDNAを保管しておく入れ物の役割もしていると言えるでしょう。常染色体は長いものから順番に番号が割り振られていますが、21番目の染色体は22番目よりも短いことが特徴です。

先天性異常は予防できるのか

21トリソミー(ダウン症候群)

ダウン症候群は、21トリソミーとも呼ばれます。染色体は2本ずつの組み合わせになって対で存在しているのが正常な状態です。しかし21トリソミー(ダウン症候群)の場合は、21番目の染色体が2本ではなく3本になっています。

筋肉の緊張の低下や発達の遅延がよく見られる症状です。心臓疾患や消化器疾患、甲状腺の機能低下などを合併していることもあるでしょう。心臓疾患に関しては、小児の約半数に見られます。

首の後ろの皮膚が余っており、耳の位置が低かったり目がつり上がっていたりすることが特徴です。妊娠中のエコー検査で、首の後ろにむくみが見つかって21トリソミー(ダウン症候群)が発覚することもあります。

しかし、生まれるまで>21トリソミー(ダウン症候群)がわからないこともあるものです。生まれてすぐでも気づかれず、しばらく成長してから発覚することもあります。

21トリソミー(ダウン症候群)の死因は、多くが心臓病や白血病です。平均寿命は55歳と言われています。正常な小児の平均IQは100ほどですが、21トリソミー(ダウン症候群)では50ほどです。発達に遅れが見られることが多いため、学校生活や仕事では周りのサポートが必要となるでしょう。

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18トリソミー(エドワーズ症候群)

エドワーズ症候群は、18番目の染色体が1本多くなることで発症する先天性異常です。そのため、18トリソミーとも呼ばれています。

6,000人に1人の割合で見られ、筋肉や脂肪が十分に発達せず、体が小さいことが特徴です。体に力があまり入らずぐったりとしているような様子が見られます。内反足といって、足首が内側に曲がっていたり、手をぎゅっと握りしめていたりする様子も18トリソミー(エドワーズ症候群)に特徴的な症状です。

見た目以外の異常としては、心臓や肺、消化管などの機能に問題がある可能性があることも挙げられます。残念ながら、18トリソミー(エドワーズ症候群)をもって生まれた赤ちゃんは、生後1週間以内に死亡することが多いものです。1歳になるまで生きられる確率は10%未満だと言われています。

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13トリソミー(パトウ症候群)

パトウ症候群は、13番目の染色体が1本多くなることで発症する先天性異常です。13トリソミーとも呼ばれています。10,000万人に1人の割合で見られ、眼の発育異常や心臓の異常、知的障害などが代表的な症状です。子宮内ではあまり動く様子が見られません。羊水が多かったり少なかったりすることもあります。

大きな特徴は、顔面に見られる異常でしょう。眼が小さく、瞳孔が欠損しており、口唇裂や口蓋裂などが見られることもあります。耳の位置が低く、異常な形をしていることも少なくありません。また、重度の心臓の異常が見られることも特徴です。患者の80%は心臓の異常を抱えています。

13トリソミー(パトウ症候群)の治療方法は確立されておらず、生後1か月以内に亡くなってしまうことがほとんどです。

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先天性異常を防ぐことはできる?

一部の先天性異常は予防することができると言われています。たとえば、先天性風疹症候群は、風疹のワクチンを打つことで予防が可能です。

梅毒トレポネーマやヒト免疫不全ウイルス、B型肝炎ウイルスなど、感染を防ぐことで先天異常を回避できるものもあります。葉酸やビタミンAなど、栄養素の摂取量に気をつけることで防ぐことも可能です。

ただし、染色体異常を防ぐ有効な方法はあまりありません。しいて言えば、高齢出産を避けることが挙げられるでしょう。多くの染色体異常は、出産年齢が高齢になるほど発生率が増加するためです。

とはいえ、若い年齢で妊娠出産をしたからといって、先天性異常を防げるというわけではありません。このことから、先天性異常には防げるものとそうでないものがあると言えます。

妊婦に葉酸が推奨されている理由とは?

妊娠中は葉酸をしっかり摂ろう、と一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。妊娠中に葉酸が必要になるのは、先天異常の一つである神経管閉鎖障害を予防するためです。

神経管閉鎖障害になると、神経管がうまく作られずに歩行障害や排便障害、水頭症などの症状が現われます。神経管が作られる妊娠初期の頃に葉酸の摂取量が不足していると、神経管閉鎖障害になるリスクが高まるのです。

1日に400μgの葉酸を摂取することで、神経管閉鎖障害のリスクを減らすことができます。

先天性異常の予防に葉酸を

葉酸とは

葉酸はビタミンの一種です。DNAやたんぱく質の合成などに関わる栄養素として知られています。かつてはビタミンMやビタミンBcとも呼ばれていました。食事からの摂取量が減ったり、吸収に何かしらの問題が生じたりしたときに不足しやすいと言われています。

葉酸が不足すると胎児の神経管閉鎖障害のリスクを高めるほか、巨赤芽球性貧血や神経障害、腸機能障害になりやすくなることが特徴です。葉酸を多く含む食品としては、枝豆やブロッコリー、鶏レバーや卵黄が知られています。

葉酸を摂取することで21トリソミー(ダウン症候群)を防ぐことはできる?

妊娠前から葉酸を摂取することで、21トリソミー(ダウン症候群)を防げる可能性があると言われています。神経管閉鎖障害のある子供を出産した経験がある母親は、そうでない母親と比べて21トリソミー(ダウン症候群)のある子供を妊娠する可能性が5.8倍高いことがわかっているのです。神経管閉鎖障害は葉酸が不足することで起こるため、葉酸の服用が21トリソミー(ダウン症候群)の予防につながる可能性があります。

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その他先天性異常を予防する方法

葉酸の摂取以外に、次のようなものも先天性異常の予防に効果的です。

予防接種

妊娠中に風疹にかかることが原因で起こる先天性異常が先天性風疹症候群です。先天性風疹症候群になると、難聴や白内障などの症状が現われます。妊娠前に風疹の予防接種を行うことで予防が可能です。パートナーから妊婦にうつる可能性もあるので、男性の接種も推奨されています。

ビタミンAや水銀を過剰に摂取しない

ビタミンAを摂りすぎると、催奇形性を起こす可能性があることがわかっています。代表的なのは耳の形態異常です。ビタミンAが入ったサプリメントは摂らず、食品から摂取することが推奨されています。

妊娠初期はビタミンAの摂取量が1日1,500μgREを超えないようにしましょう。水銀は胎児の中枢神経の発達に影響を及ぼす成分です。マグロやカジキなどは水銀の濃度が高いため、1週間で50~100g程度に摂取量を抑えることが推奨されています。

ヨウ素の摂取量に気をつける

妊娠中にヨウ素の摂取量が不足すると、胎児の流産や死産につながったり、先天性甲状腺機能低下症を招いたりする可能性があります。逆に過剰に摂取すると、甲状腺機能低下が起こりやすくなることも明らかです。

ヨウ素を多く含む昆布やわかめを摂りすぎないように注意しましょう。また、ポビドンヨードを含むうがい薬の使用も避けるようにしてください。

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まとめ

代表的な先天性異常としては、21トリソミー(ダウン症候群)18トリソミー(エドワーズ症候群)13トリソミー(パトウ症候群)などが知られています。どれも染色体の異常によって起こるものです。これらの先天性異常はNIPT(新型出生前診断)で検査することができます。

葉酸を摂取することで21トリソミー(ダウン症候群)を予防できる可能性があることがわかっているので、とくに妊娠前から葉酸をしっかり摂るようにしましょう。葉酸の摂取は神経管閉鎖障害のリスクも減らすことができます。そのほか、予防接種や食事によって一部の先天性異常は予防が可能です。

NIPT(新型出生前検査)でわかる疾患
NIPT(新型出生前検査)でわかる疾患
ヒロクリニックのNIPTは、胎児の染色体の数の異常...

【参考文献】

先天性異常とは、出生前から生じている異常のことです。いったい、どのような疾患があるのでしょうか。ここでは、代表的な先天性異常について特徴を紹介します。21トリソミー(ダウン症候群)を防げるのかについても解説しているので、参考にしてみてください。

NIPTについて詳しく見る

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記事の監修者

川野 俊昭先生

川野 俊昭先生

ヒロクリニック博多駅前院 院長
日本産科婦人科学会専門医

産婦人科医として25年以上、主に九州で妊婦さんや出産に向き合ってきた。経験を活かしてヒロクリニック博多駅前院の院長としてNIPT(新型出生前診断)をより一般的な検査へと牽引すべく日々啓発に努めている。

略歴

1995年 九州大学 医学部卒業
1995年 九州厚生年金病院 産婦人科
1996年 九州大学医学部付属病院 産婦人科
1996年 佐世保共済病院 産婦人科
1997年 大分市郡医師会立アルメイダ病院 産婦人科
1998年 宮崎県立宮崎病院 産婦人科 副医長
2003年 慈恵病院 産婦人科 医長
2007年 日本赤十字社熊本健康管理センター診療部 副部長
2018年 桜十字福岡病院 婦人科
2020年 ヒロクリニック博多駅前院 院長

資格

日本産科婦人科学会専門医
検診マンモグラフィ読影認定医
日本スポーツ協会公認 スポーツドクター
厚生労働省認定臨床研修指導医
日本抗加齢医学会専門医

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