この記事でわかること
NIPTの性別判定が出生後の性別と食い違うことがあります。背景には、バニシングツイン(消失双胎)や胎児自身の性染色体異常、性分化疾患、母体由来の要因など複数の原因があります。検査そのものの欠陥だけが理由ではありません。
- バニシングツインが性別不一致を招くしくみ
- クラインフェルター症候群など胎児本体の性染色体異常
- アンドロゲン不応症候群など「染色体と外見のズレ」が生じる病態
- 母体側の要因がNIPT結果に影響するケース
- 実際に性別が違っていたときの相談先
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NIPTの性別判定と実際が違うことはある? まず知っておきたい全体像
NIPTで判定された性別が、出生後の性別と異なるケースはごくまれに報告されています。ただし、その多くは検査の失敗ではなく、妊娠の過程で起きる生物学的な出来事が背景にあります。
私はこれまでの診療で、性別不一致を心配して来院される妊婦さんに何度もお会いしてきました。原因を一つずつ丁寧に確認すると、多くは説明のつく理由があります。
主な原因は、大きく分けて次の4つです。それぞれ発生のしくみが異なるため、順番に見ていきましょう。
| 原因 | 発生する場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| バニシングツイン(消失双胎) | 妊娠初期の子宮内 | 消えた双子のY染色体断片が血液中に残る |
| 胎児本体の性染色体異常 | 胎児 | クラインフェルター症候群など数的異常 |
| 性分化疾患 | 胎児 | 染色体と外見上の性が一致しない |
| 母体由来の要因 | 母体 | 母体自身の性染色体モザイクなど |
次の章から、それぞれの原因を具体的に解説します。
原因1:バニシングツイン(消失双胎)による性別不一致
もともと双子だったうち、一方の発育が妊娠初期に止まることがあります。消えた双子が男の子だった場合、血液中に残るY染色体由来の断片がNIPTの結果に影響することがあります。妊娠初期によく見られる自然現象の一つ。
なぜバニシングツインが性別判定に影響するのか
NIPTは、母体の血液中に流れるDNA断片を解析する検査です。妊娠初期の超音波で双子と診断された妊娠のうち、一定の割合でバニシングツインが起こるとされています。
消えた側の胎児が男の子であれば、その細胞由来のY染色体断片が残ることがあります。断片はしばらく母体の血液中にとどまります。生き残った胎児が女の子の場合、この断片が混ざることで性別判定にゆらぎが生じる可能性があります。
実際にバニシングツインを経験した方の投稿からも、判定への戸惑いがうかがえます。
X(旧Twitter)ユーザーの@aya_babylogさんは、受診時に片方の胎嚢が空だったと報告していました。診察の結果、バニシングツインの診断を受けたと綴っています。私も診療の中で、片方の胎嚢だけが育たなかったご家族と向き合うことがあります。
気づかれにくい「隠れバニシングツイン」もある
超音波検査のタイミングによっては、双子だったこと自体が確認されないまま経過することがあります。後から振り返って、初めてバニシングツインだったとわかるケースもあります。
ごく初期の段階で一方が育たなくなると、次の超音波検査ではすでに単胎に見えることがあります。この場合、双子だったという記録自体が残りません。結果として、性別不一致の原因を後から特定するのが難しくなります。
X(旧Twitter)ユーザーの@miemas666さんは、バニシングツインの診断を受けた当時のつらさを投稿していました。あわせて、その後生まれた子どもたちへの思いもつづっています。診断のタイミングは妊娠ごとに異なり、同じ現象でも受け止め方はさまざまです。
原因2:胎児本体に性染色体の数的異常があるケース
バニシングツインが関係しないケースもあります。胎児自身の性染色体の数が通常と異なり、外見上の性別と染色体の判定が食い違って見えることがあります。
クラインフェルター症候群(47,XXY)
クラインフェルター症候群は、男性の性染色体にX染色体が一つ以上多い状態です。外見は男児として生まれることがほとんどです。幼少期には性別に関する違和感を伴わないことも珍しくありません。
難病情報センターの解説によると、性腺機能不全が主な病態です。思春期以降に診断されることも多いとされています。詳しくは難病情報センターのクラインフェルター症候群のページをご参照ください。
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47,XYY症候群など、そのほかの数的異常
47,XYY症候群のように、Y染色体が一つ多いケースもあります。外見上の性別に大きな違いが出ないことが多く、出生後すぐに気づかれないまま経過することもあります。
こうした数的異常が疑われる場合、正確な原因の特定には遺伝子検査が欠かせません。性染色体異常の結果を知らされないための対応もあわせてご覧いただくと、事前の心構えがしやすくなります。
原因3:性分化疾患による「染色体と外見のズレ」
染色体はXYであっても、ホルモンがうまく働かないために女児として生まれる病態があります。代表例がアンドロゲン不応症候群です。
アンドロゲン不応症候群(AIS)は、X染色体上のアンドロゲン受容体遺伝子に変化がある病態です。染色体は46,XYでも、男性ホルモンが体にうまく作用せず、外見は女性として発育することがあります。
NIPTは血液中のDNA断片から染色体の構成を調べる検査であり、外見までは判定できません。したがって、NIPTでXYと判定されても、出生時の外見が女児に見えることがあります。これは検査の限界というより、病態そのものの性質によるものです。
アンドロゲン受容体遺伝子の変化は、X染色体を介して伝わる遺伝形式(伴性潜性遺伝)の一つです。遺伝のしくみをより詳しく知りたい方は伴性潜性遺伝と赤ちゃんの性別の解説も参考にしてください。詳細は小児慢性特定疾病情報センターのアンドロゲン不応症のページにまとめられています。
原因4:母体由来の要因もNIPT結果に影響する
NIPTが解析する血液中のDNA断片には、胎児(胎盤)由来だけでなく母体自身の細胞由来の断片も含まれています。そのため、母体側の要因が結果に影響することがあります。
母体自身が、気づかないまま性染色体モザイクを持っていることがあります。一部の細胞だけ染色体構成が異なる状態です。染色体上のごく小さな重複・欠失(コピー数多型)を母体が持つケースも同様です。こうした要因があると、断片が血液検査の解析に混ざり込むことがあります。
母体由来の影響は頻度としては限られています。ただし、原因不明の判定不能や再検査の一因になることが知られています。NIPTで陽性でも、羊水検査では異なる結果になったケースもあります。詳しくはNIPTで陽性でも羊水検査は陰性だったケースで解説していますので、あわせてご覧ください。
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NIPTは「非確定的検査」。羊水検査との違いと限界
NIPTはスクリーニング検査であり、確定診断ではありません。性別を含む結果を確定させるには、羊水検査での確認が必要です。
日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会の情報提供でも、NIPTは非確定的な検査だと明記されています。詳しくは出生前検査認証制度等運営委員会の公式サイトをご確認ください。
| 項目 | NIPT | 羊水検査 |
|---|---|---|
| 検査の性質 | 非確定的(スクリーニング) | 確定的診断 |
| 検体 | 母体血液 | 羊水(胎児由来細胞) |
| 性染色体の精度 | 常染色体トリソミーよりやや低い傾向 | 直接胎児細胞を調べるため高い |
| 母体・母体外要因の影響 | 受けやすい | 受けにくい |
厚生労働省の専門委員会資料でも、NIPTの技術的な限界がまとめられています(厚生労働省 資料)。性染色体は、常染色体のトリソミーに比べて判定精度がやや低い傾向があるとされています。そのため、判定不能や再検査が必要になることもあります。
遺伝子検査の重要性
性別不一致の原因を特定するには、詳細な遺伝子検査が欠かせません。ホルモン受容体の変化やモザイクの有無を確認するには、専門的な解析が必要になるためです。
性別判定ができるNIPTの精度についても、事前に確認しておくと安心材料になります。
性別不一致の臨床例

出生後に男の子と判定されたお子さんが、実際には外見上女の子だったという臨床例が報告されています。染色体を調べるとXYと判定され、テストステロン受容体の変化が疑われました。
このように、外見と染色体の情報だけでは原因を断定できません。遺伝子検査を行って初めて、具体的な病態にたどり着けるケースが多くあります。
性別不一致の社会的な受け止め方
性別不一致は、ご本人やご家族にとって心理的な負担を伴うことがあります。正確な診断と、丁寧な遺伝カウンセリングが欠かせません。
性別に関する話題は特にデリケートです。医療従事者には、患者さんとご家族に寄り添う慎重な対応が求められます。
実際に性別が違っていたときの相談の流れ
NIPTの性別判定と出生後の性別が異なっていた場合は、まず医療機関に相談してください。遺伝カウンセリングを受けられる窓口が安心です。
自己判断で不安を抱え込む必要はありません。次の順番で確認していくと、状況を整理しやすくなります。
- 妊娠中の超音波記録を確認し、双子だった可能性がないか振り返る
- 出生後の染色体検査(核型分析)を受け、正確な染色体構成を確認する
- 臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを受け、原因と今後の見通しを相談する
原因がわかれば、今後の育児やご家族の心構えにもつながります。一人で抱え込まず、専門家と一緒に進めてください。
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よくある質問
NIPTで判定された性別が実際と違うことは、どのくらいの頻度でありますか?
明確な統計は限られています。ただし、常染色体のトリソミー判定に比べると発生頻度はごくわずかとされています。バニシングツインや胎児側の性染色体異常が背景にあるケースが中心です。
バニシングツインだったかどうか、自分で気づく方法はありますか?
妊娠初期の超音波記録を振り返り、双子が確認されていたかを確認してください。ごく初期に一方が育たなくなった場合、記録に残らないこともあります。
性染色体異常があると、必ず外見に違いが出ますか?
いいえ。クラインフェルター症候群や47,XYY症候群のように、外見上ほとんど違いが出ないケースもあります。思春期以降に診断されることも珍しくありません。
NIPTの性別判定と羊水検査の性別判定は、どちらが正確ですか?
胎児由来の細胞を直接調べる羊水検査のほうが確定的です。NIPTは母体血液中の断片を解析する非確定的な検査のため、確定にはあたりません。
出生後に染色体と外見が一致しないと言われたら、まず何をすればいいですか?
臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを予約してください。核型分析などの追加検査を行い、原因を一緒に確認していく流れになります。
NIPTで「判定不能」となった場合、性別不一致と関係がありますか?
判定不能は、胎児由来のDNA量が少ない場合など、性別不一致とは別の理由で起こることが多い状態です。原因によって対応が異なるため、再検査時に医師へ確認してください。
まとめ
NIPTの性別判定と実際の性別は、まれに食い違うことがあります。背景には、バニシングツイン、胎児本体の性染色体異常、性分化疾患、母体由来の要因という4つの主な理由があります。
いずれも検査担当者のミスではなく、妊娠や染色体をめぐる自然な出来事の一つ。心配な点があれば、一人で悩まず専門医に相談してください。
NIPTや性別判定について不安なことがあれば、まずはLINEでの無料相談も活用できます。
監修者
岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・ラボディレクター(検査部門の統括責任者)
慶應義塾大学医学部卒業後、日本とアメリカの医師国家試験に合格。臨床研修後2年で医学博士を取得。専門職大学の客員教員を務め、日本に20人ほどしかいないラボディレクター資格を保有しています。著書『妊娠したら最初に読んで欲しい本』。
Q&A
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Q育休は会社で制度が定められていなくても取得できますか?育児休業は、法律で定められている制度のため、会社の就業規則で定められていなくとも、申し出により取得が可能です。育児休業の取得は、労働者が請求できる権利の一つであるため、就業規則で定められていないからと諦めずに、上司へ取得の申請を依頼しましょう。
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Q契約社員でも育休制度は利用できますか?契約社員でも、申請時点で子どもが1歳6カ月になる日までに、労働契約の期間が満了することが明らかになっていなければ、育児休業制度の取得が可能です。ただし、入社1年未満の場合や申し出の日から1年以内に雇用関係が解消されると明らかになっている場合、1週間の所定労働日数が2日以下の場合などは、対象外となる可能性があるため注意しましょう。
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Q上司に育休の取得を認めてもらえませんでした育児休業は法律によって定められている制度で、労働者には請求の権利があります。そのため、原則企業は取得を拒否したり、制限したりできません。もし、上司から断られたり、渋られたりした場合は、人事労務担当者に相談しましょう。また、企業内で対応してもらえない場合は、都道府県労働局雇用環境・均等部に相談するのも一つの手段です。
日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医
この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。
日本小児科学会 小児科専門医/日本小児科学会認定 出生前コンサルト小児科医/小児科(NIPT・出生前診断)
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日本小児科学会 小児科専門医/日本アレルギー学会 所属/小児科(NIPT・出生前診断)
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