なぜ妊娠中に不眠になる?原因は?【医師監修】

妊娠中に不眠になるの原因

妊娠中に不眠や不安、イライラなどを感じる妊婦さんは少なくありません。妊娠中に生じる睡眠不足やストレス、またこれらの症状の原因や対処法と日常生活の過ごし方を医師が解説いたします。

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はじめに

妊娠によって女性の身体には大きな変化が現れます。ホルモンバランス・体調や体型・また免疫低下などにより、これまでの日常生活とはまったく異なる生活リズムとなるでしょう。

妊婦さんから多く寄せられる相談の中に「睡眠障害(睡眠不足)」が挙げられます。個人差はありますが、妊娠中の不眠は妊娠の初期・中期・後期とすべての期間に生じることも少なくありません。

昼はつわりがひどく、夜に治まるため昼夜逆転してしまう妊婦さんや、臨月が近づき大きくなった子宮により膀胱(ぼうこう)が圧迫され、頻尿となるため夜に目が覚めてしまい眠れない妊婦さんも多くいらっしゃいます。

長期にわたる妊娠期間の中で、睡眠障害(睡眠不足)は疲れやストレスを引き起こし、胎児に影響を与えかねません。妊娠中に起こる不眠の理由・原因、対処法を知り、健やかな出産を迎えましょう。

妊娠中の不眠の原因

妊娠中に起こる不眠の原因はさまざまです。しかし、妊娠初期の不眠はおもにホルモンバランスの変化によるものとされています。

妊娠初期(4週~15週)

  • ホルモンバランスの変化
  • つわり(悪阻)
  • 寝汗
  • 頻尿
  • 不安(流産の不安・胎児の先天性疾患・高齢出産に対する不安など)

妊娠初期のイライラと不安はホルモンバランスの影響

妊娠に大きく関わる3つのホルモンが分泌されることで、妊婦さんの身体や心には大きな変化が訪れます。

hCGホルモン

hCGホルモンとはヒト絨毛ゴナドトロピンともいわれ、妊娠維持に重要とされるホルモンです。妊娠検査薬の反応は、hCGホルモンが通常より多く分泌されることによって陽性反応を示します。

エストロゲン(卵胞ホルモン)

エストロゲンは妊娠の準備に必要なホルモンです。子宮内膜を厚くするほか、乳腺を発達させ産後の母乳をつくる働きをします。

プロゲステロン(黄体ホルモン)

子宮内膜に受精卵が着床しやすいように整えるホルモンです。子宮内膜の厚みを保ち、受精卵が着床すると妊娠継続の維持をおこないます。プロゲステロンは基礎体温の上昇や乳腺の発達、食欲増進の働きをします。

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妊娠初期の眠気と覚醒の原因は体温

妊娠初期にはエストロゲンとプロゲステロンが増加し、分泌されます。どちらも妊娠を維持するために重要なホルモンとなりますが、エストロゲンとプロゲステロンのホルモンバランスの変化によって妊娠中の不眠を引き起こすといわれています。

睡眠と体温には深い関わりがあります。ヒトの身体は夜になると代謝が低下し、それにともない体温も下がっていきます。これは朝・昼の活動による脳のオーバーヒートを防ぐためとされ、夜更し(覚醒時)をしても、やや低体温となります。

プロゲステロンは眠気を生じるホルモンです。生理の前や生理中に異常な眠気が起こるのは、プロゲステロンが原因といえるでしょう。しかし、プロゲステロンは体温を上げる(高温期)作用があることから、夜の寝つきに影響を与えます。これらのことから、妊娠中は昼に眠気を生じ、夜は体温が下がらず、なかなか眠れないなど不眠の原因となることも少なくありません。また、寝汗によって不眠となる妊婦さんもいらっしゃいます。

プロゲステロンは眠気だけでなく、月経前症候群(PMS)を引き起こすホルモンです。妊娠初期はイライラや、不安な気持ちを生じることも睡眠障害を招く原因とされています。もちろん、お腹の赤ちゃんの健康状態が心配で眠れない妊婦さんも多いことでしょう。

ホルモンバランスによる体温変化・メンタル面の影響以外には、つわりや子宮が大きくなることで膀胱圧迫による頻尿が睡眠障害を招くとされています。

妊娠中期(16週~27週)

  • 胎動
  • 頻尿
  • 不安(流産や早産の不安)

安定期といわれる妊娠中期ですが、大きくなっていくお腹で息苦しい、睡眠時の姿勢の変化、腰痛などで夜中に目が覚め、不眠を生じる妊婦さんも少なくありません。

また妊娠中期は胎動が始まる時期ですので、日中は動いていて気にならない胎動が横になって静かにしていると気になってしまい、眠れないこともあるでしょう。

妊娠中は胎児の成長にともない、子宮に多くの血液を送る必要があります。そのため血液量が増加し、その量は妊娠前とくらべ約1.4〜1.5倍になるとされています。体液のバランスを保つため血液は腎臓でろ過され、余分な水分が尿となり排出されることから妊娠中は頻尿になりやすいといえるでしょう。妊娠中期は腎臓を通過する血液量が最大となり、頻尿を招き、それが睡眠障害の原因の一つになるといえます。また、血液量が増えると粘膜がむくむため、鼻づまりを起こし眠れない、といった妊婦さんもいらっしゃいます。

妊娠中期は胎児ともに、妊婦さんの精神面が安定する時期といわれています。しかし、切迫流産・切迫早産と診断された妊婦さんは不安からの睡眠障害、または日中の活動が制限されることによるストレスから不眠となるケースも多くみられます。

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妊娠後期(28週~)

  • 動悸
  • 息切れ
  • むくみ
  • 胎動
  • 腰痛、背部痛など身体の痛み
  • むずむず脚症候群
  • 皮膚の痒み
  • こむら返り
  • 不安(出産に対する不安、出産後の不安)
  • 頻尿

妊娠中は血液量が増加します。妊娠後期には心臓に送られる血液量と心拍数は非妊娠時よりもおよそ30〜50%も増えるため、寝ていても動悸が生じ、息苦しいと感じることも少なくありません。また妊娠中は貧血になりやすいとされ、貧血も動悸の原因になります。妊娠後期となると胎児の成長とともに、お腹が大きくなり運動不足となる妊婦さんも多いことでしょう。そのため、血流が悪くなり身体にむくみ(浮腫)が生じやすいといわれています。

妊娠中に起こる皮膚の不快感やかゆみ症状

妊娠中に下肢にむずむずと不快な症状を特徴とする「むずむず脚症候群」を引き起こすケースも少なくありません。むずむず脚症候群のはっきりとした原因は解明されていませんが、夜の睡眠時に症状が現れやすく、睡眠障害を招くとされています。

性別を問わず発症するむずむず脚症候群とは異なり、妊娠時のみに起こる症状として「妊娠時そう痒性丘疹(PUPPP)」や「妊娠性疱疹」が挙げられます。いずれも強いかゆみにより、睡眠が妨げられ睡眠障害を招くとされています。内服薬や塗り薬によって、かゆみを抑えることができるため、これらの症状が現れた際はすみやかに診察を受けることが大切です。

妊娠中期から後期にかけて起こるこむら返り

妊娠中期から妊娠後期にかけて、こむら返りを起こす妊婦さんも多くみられます。「こむら」とは、ふくらはぎのことです。ふくらはぎの筋肉が痙攣し、異常な収縮によって起こる脚がつった状態をいいます。就寝中に、こむら返りを生じることもあるため、突然の痛みに飛び起きる妊婦さんもいらっしゃいます。

こむら返りは運動不足による下肢の血行不良、またはカルシウムやマグネシウム不足が原因とされています。しかし妊娠28〜31週頃からお腹が大きくせり出て、足元が見えづらくなることも。散歩をためらうようであれば、室内で足踏みをするだけでもかまいません。軽い運動と栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。

マタニティハイとマタニティブルー

マタニティハイとマタニティブルーとは、妊婦さん特有の心の浮き沈みといわれています。

マタニティハイとは妊娠した喜びのあまり、他人に高揚感(ハイ)を押しつけてしまう行為とされています。相手の気持ちや状況を考えず妊娠の素晴らしさを解説してしまう、頼まれていないにも関わらずエコー写真を見せてしまう、などが挙げられます。なお、マタニティハイは医療用語ではありません。

一方、マタニティブルー(マタニティブルーズ)は、精神医学辞典にもある医療用語です。ホルモンバランスの変化も影響するとされ、妊娠中に不安で気分が落ち込む・出産に対する恐怖感・イライラなど感情のコントロールができない症状などが挙げられます。

妊娠中期に安定した心身の不調は、妊娠後期に再び現れることも少なくありません。なお、マタニティブルーは出産後にも発症するとされ、産後うつへと移行するケースもみられます。妊娠中はもちろん、出産後の心身の不調を感じた際は、家族やパートナー、または担当医に相談することが大切です。

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より良いマタニティライフを過ごすために

妊娠中はホルモンバランスや急激な身体の変化によって多くの妊婦さんが、さまざまな不安を感じることでしょう。また、つわりや頻尿、お腹の赤ちゃんの健康状態が気になり睡眠障害に悩む妊婦さんは少なくありません。

「夜になると寝れない」「胎動で睡眠不足」「頻尿で二度寝すらできない」これらは妊婦さんから受ける相談の一部です。しかし流産や早産など睡眠障害そのものが、胎児へ影響を与えることは少ないとされています。

妊娠中の不眠対処法

妊娠中の不眠・睡眠障害の対処法は個人差がありますが、何よりもストレスをためないことが大切です。イライラや不安な気持ちはホルモンバランスの影響と考え、軽いストレッチやお風呂で血行を促し、リラックスすることを心がけると良いでしょう。なお、熱めのお風呂(42℃〜)は交感神経(覚醒・興奮)が刺激されるため注意が必要です。

NIPT(新型出生前診断)で知る胎児の健康リスク

近年は胎児診察技術の向上により、妊娠初期に胎児の染色体異常を調べることができるようになりました。これによりダウン症候群(21トリソミー)エドワーズ症候群(18トリソミー)パトウ症候群(13トリソミー)などの、染色体異常による先天性疾患リスクを早期に知ることが可能です。

ヒロクリニックNIPTでは妊娠10週0日より、スクリーニング検査が可能なNIPT(新型出生前診断)を実施しております。NIPT(新型出生前診断)とは、母体血液の採取のみで検査可能な出生前診断です。また、胎児への直接的な侵襲(ダメージ)がないことから安全性の高い出生前診断といわれています。

NIPT(新型出生前診断)は、最も頻度の高い遺伝子疾患とされるダウン症候群(21トリソミー)の検査において感度・特異度ともに99.9%と、とても高精度なスクリーニング検査です。染色体異常は胎児の先天性疾患だけでなく流産の原因ともなるため、妊娠中の母体の健康リスクを早期に知り、備えることができるでしょう。

胎児の染色体異常についての不安や、NIPT(新型出生前診断)について分からないことがありましたら、ヒロクリニックNIPTまでご相談ください。妊娠中の不安な気持ちを一つでも減らし、不眠や睡眠障害を改善しましょう。

NIPT(新型出生前診断)とはどういう検査?
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【参考文献】

  • バイオメカニズム学会誌,Vol.29,No.4(2005) 女性の睡眠とホルモン 渋井佳代
  • 妊娠中の身体の変化 Haywood L. Brown MD, Duke University Medical Center
  • 日本神経治療学会「標準的神経治療:Restless legs症候群」(IV 二次性Restless legs症候群 4.妊娠とRLS)
  • 妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル公益社団法人 日本産科婦人科医会 2017
  • ヒトの体温調節と睡眠 内山 真、降籏隆二

妊娠中に不眠や不安、イライラなどを感じる妊婦さんは少なくありません。妊娠中に生じる睡眠不足やストレス、またこれらの症状の原因や対処法と日常生活の過ごし方を医師が解説いたします。

NIPTについて詳しく見る

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記事の監修者

川野 俊昭先生

川野 俊昭先生

ヒロクリニック博多駅前院 院長
日本産科婦人科学会専門医

産婦人科医として25年以上、主に九州で妊婦さんや出産に向き合ってきた。経験を活かしてヒロクリニック博多駅前院の院長としてNIPT(新型出生前診断)をより一般的な検査へと牽引すべく日々啓発に努めている。

略歴

1995年 九州大学 医学部卒業
1995年 九州厚生年金病院 産婦人科
1996年 九州大学医学部付属病院 産婦人科
1996年 佐世保共済病院 産婦人科
1997年 大分市郡医師会立アルメイダ病院 産婦人科
1998年 宮崎県立宮崎病院 産婦人科 副医長
2003年 慈恵病院 産婦人科 医長
2007年 日本赤十字社熊本健康管理センター診療部 副部長
2018年 桜十字福岡病院 婦人科
2020年 ヒロクリニック博多駅前院 院長

資格

日本産科婦人科学会専門医
検診マンモグラフィ読影認定医
日本スポーツ協会公認 スポーツドクター
厚生労働省認定臨床研修指導医
日本抗加齢医学会専門医

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