つわりの原因「GDF15」と最新研究から分かる驚きの対処法【YouTube動画解説】

最新研究で分かったつわりの原因

質問者:
先生、これまで“つわりの原因はよく分かっていない”って言われてましたよね?
最近、新しい研究で分かったことがあるって聞いたんですが、本当ですか?

先生:
はい、本当です。これまで長い間、つわりの原因ははっきり分かっていませんでした。
「ホルモンのバランスが乱れるから」「妊婦さんの精神的な不安やストレスのせい」「ビタミン不足」など、いろんな説が出ていましたが、どれも決定的ではなかったんです。
ところが最近“GDF15”というホルモンがつわりに深く関わっていることが分かってきました。

質問者:
GDF15…初めて聞きました。それって一体どんな物質なんですか?

先生:
GDF15は「成長分化因子15」という名前のタンパク質です。もともとは体がストレスや炎症を感じたときに分泌される物質で、がんや感染症の研究分野でも注目されていました。
妊娠中になると、このGDF15が“胎盤”から大量に分泌されるんです。体内でGDF15が増えると、脳の延髄にある嘔吐中枢と言う 吐き気を感じさせる領域に存在する受容体に作用し、吐き気・嘔吐や食欲不振を引き起こします。

質問者:
じゃあ「つわりは脳が反応している結果」ってことなんですか?

先生:
その通りです。妊娠9週から10週ごろにかけて、血中濃度が急激に上がります。この時期はちょうど「つわりが一番つらい」と言われるタイミングとピッタリ一致しているんです。

質問者:

やっぱりタイミングまで重なるんですね。実際のデータでも確認されているんですか?

先生:
実際、イギリスや北欧で行われた研究では、つわりが重い妊婦さんの血液を調べると、GDF15の濃度が明らかに高いことが示されています。
特に「妊娠悪阻」と呼ばれる、点滴や入院が必要になるほど重症のケースでは、GDF15の数値が飛び抜けて高いんです。

質問者:
気持ちの問題とか、思い込みとかではなく、科学的に説明できる「生理現象」なんです。

先生:
そうです。GDF15は母体ではなく“赤ちゃん側=胎盤”が作り出しているもの。
つまりつわりは「赤ちゃんからお母さんへのメッセージ」だと言えるんです。
昔から「つわりは赤ちゃんが元気な証拠」って言われてきましたが、それは科学的にも裏付けられた表現だったというわけです。
実際、つわりがある人のほうが流産のリスクがやや低い、というデータもあります。胎盤がしっかり働いているサインだからです。
 


つわりの個人差はなぜ生まれる?

質問者
先生、つわりって「人によって全然違う」ってよく言われますよね?
私の友達は妊娠中もほとんど吐かなかったのに、別の友達は寝込むくらい辛かったって…。
この差って、やっぱり“体質”なんでしょうか?

先生
研究では、つわりの強さは 2つの要素の掛け算で決まると考えられています。

質問者:
2つの要素?どんなものなんですか?

先生:
まずは一つ目は”赤ちゃんがどれくらいGDF15を出すか”
先ほど話したように胎盤は赤ちゃん由来の臓器ですから、ここからGDF15がたくさん作られます。赤ちゃんによってこの量には差があり、分泌が多いと当然、お母さんの体にかかる“刺激”も強くなるんです。

質問者:
じゃあ赤ちゃんの個性によって、つわりの重さが変わるってことですか?

先生:
そういうことです。二つ目は”お母さんの体がGDF15にどれだけ慣れているか”です。
もともと妊娠前から血液中のGDF15がある程度高い人は、体が“事前に練習している”ような状態なので、妊娠して増えてもそこまでびっくりしないのです。
一方で、非妊娠時にGDF15が低い人は、妊娠で急にGDF15が増えると“強烈な刺激”として受け止めてしまうんです。

質問者:
だから「急に増えるかどうか」が違いになるんですね。

先生:
その通りです。たとえば、普段はGDF15が少ない人が妊娠すると、急にたくさん分泌されるので体がびっくりして、つわりが重くなりやすいです。
逆に、もともとGDF15に“慣れている”人は、妊娠しても症状が軽くすむことがあるんです。

要素影響
赤ちゃん側多いほど刺激が強くなる
お母さん側慣れていないほど急上昇に弱い

質問者:
なるほど…。でもそれって本当に研究で証明されているんですか?

先生:
はい、実際の研究を紹介します。
ある遺伝子の変化によって、非妊娠時のGDF15の血中濃度が低い女性は、重いつわり=妊娠悪阻を起こすリスクが 約10倍 に跳ね上がる、という報告があります。
これは、体がGDF15に「慣れていない」ために、急激な上昇に耐えられないからです。

・一方で、βサラセミアという血液の病気を持つ女性は、妊娠していないときから慢性的にGDF15が高い状態になっています。
この方々は、妊娠中にGDF15がさらに増えても体がすでに“慣れている”ため、つわりがほとんど出ないケースがあるんです。

質問者:
まったく逆の例ですね。同じGDF15でも、もとから多いか少ないかで全然違うんですね…。

先生:
この2つの例を比べるだけでも、「つわりの個人差」がしっかり科学的に裏付けられるのが分かります。

なので、「私は弱いからつわりが重いんだ」と思う必要はありません。つわりは赤ちゃんが育っていて、胎盤がちゃんと働いている証拠です。

「つわりが軽い人」「重い人」それぞれに理由があるだけで、どちらも正常な反応なんです。つらい時は我慢せずに休んで、必要なら医療機関に相談してほしいです。


※助産師ひさこさんの動画


つわりを軽減するセルフケア

質問者
つわりを軽減するセルフケアはありますか?

先生
はい、あります。つわりで苦しむ妊婦さんのために、日常生活でできる工夫はいくつもあります。
「今日からすぐに試せるセルフケア」を具体的にご紹介していきます。  

質問者:
まず、一番大事なのは何でしょうか?

先生:
一番大事なのは ”食べ方の工夫” です。

つわり中は食事が“義務”のように感じてしまうこともありますが、ポイントは一度にたくさん食べないことと、空腹になりすぎないようにする、ことです。

空腹になると胃酸が増えて、かえって気持ち悪さが強くなる方が多いんです。

だからおすすめなのは、“少量頻回食”。1日3食にこだわらず、少しずつ食べても大丈夫なんです。

質問者:

じゃあ、どんな食べ物を選ぶといいんですか?

先生:
食べ物の選び方にもコツがあります。

”匂いや油っぽさが強い料理は避けて、冷たいフルーツやゼリー、シャーベット、アイスなど、喉ごしが良くて香りの少ないものを選ぶと食べやすいです。

質問者:

ほかにどんな工夫がありますか?

先生:
次に ”水分補給”。

つわりで食べられなくても、水分だけはしっかりとっておくこと。

冷たい水や麦茶を一口ずつ、あるいはスポーツドリンクを小さな氷にしてなめるのも有効です。

氷を口に含むだけでも、口の中がさっぱりして気持ち悪さが和らぐことがあります。

質問者:

食材や栄養素で、つわりに効果があるものはあるんですか?

先生:

例えば「生姜」です。吐き気をやわらげる作用があることが分かっています。ジンジャーティーやスープに少し入れるのがおすすめです。

あとは”ビタミンB6”です。つわりを軽くする効果があると報告されています。バナナやアボカド、さつまいもに多く含まれています。もちろんサプリメントで補うこともできますが、その場合は医師や薬剤師に相談してください。

最後に”運動”です。
無理のない範囲での運動はむしろおすすめです。

軽い散歩やストレッチ、マタニティヨガなどはリフレッシュになりますし、胃の不快感をやわらげる助けにもなります。


辛いつわりの処方箋ができる、明るい未来

質問者
セルフケアで日常的にケアすることも大事なのですね。ただつわりが辛いときが多々あります。つわりの辛さを軽減させる研究はありますか?

先生
はい、研究は着実に進んでいます。
注目されているのは、「妊娠前にGDF15への耐性をつくる」という全く新しい発想です。

これまでのつわり対策は「症状が出た後にどう和らげるか」でしたが、この方法は逆であらかじめ体を“GDF15に慣れさせておく”、いわば“予防的アプローチ”なんです。

質問者:
具体的にはどんな方法なんでしょうか?

先生:
具体的には、糖尿病治療薬として広く使われている メトホルミン を妊娠前に投与し、少しずつGDF15を高めておくことで、妊娠初期の急激な上昇に体が驚かないようにする。

そんな臨床試験が欧米を中心に進行中です。
もしこの方法が実用化されれば「妊娠初期=強いつわりで苦しむ」というこれまでの常識が変わる可能性があります。

つまり、つわりを“根本から和らげる”未来が本当に近づいているんです。

質問者:
では、今つわりで苦しんでいる人が「今すぐできること」ってあるんでしょうか?

先生:
ヒロクリニックでは 「プレグボム」 という処方薬を提供しています。

この薬はアメリカFDAでも正式に承認されていて、世界的に第一選択薬として推奨されている薬です。

成分は ドキシラミンと ビタミンB6の組み合わせで、実は60年以上の臨床経験があるんです。

質問者:

サプリや民間療法と比べると、やっぱり信頼性が違うんですね。

先生:

その通りです。「サプリ」や「民間療法」とは違い、医学的に安全性と有効性が裏づけられているのが特徴です。

そのため、生活に支障が出るほど強いつわりで困っている方にとっては、大きな助けになります。

質問者:
処方薬なら、医師と相談しながら使えるのも安心ですね。

先生:
はい。つわりの症状がつらくて生活に支障が出ている場合は、こうした信頼性のある薬を医師と相談しながら活用するのも大切な選択肢です。
ただし、もちろん“病気”ではないつわりですから、無理せず、生活改善やセルフケアと併せて、自分に合った方法を探してほしいと思います。

質問者:
根本的な改善から、今すぐできる対策まで、たくさん教えていただいて…本当に感謝です。

先生
つわりは一時的なものですが、ご本人や赤ちゃんにとってはとても大きなことです。
“自分に合った対処法”を見つけて、少しでも心穏やかに過ごしていただけるよう、願っています

医師監修 監修日:2025年9月30日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2025年9月30日
花澤 司 (医師/ヒロクリニック大宮駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2025年9月30日
陽川 英仁 (医師・医学博士/ヒロクリニック大阪駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

参考文献

  1. Fejzo MS, Baldwin HR, Connor AR, Pontikas AJ, Tuggle S, Sharda P, et al. GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy. Nature. 2024 Jan 25;625(7996):760-767.
  2. Fejzo MS, Satorimoto T, Bodian DL, Gelling JR, Freathy B, Oneda S, et al. Placenta and appetite genes GDF15 and IGFBP7 are associated with hyperemesis gravidarum. Nat Commun. 2018 Mar 21;9(1):1178.