この記事のまとめ

NIPTy-MONOは、通常のNIPT(13・18・21トリソミーなど染色体の数を調べるスクリーニング)に加えて、155遺伝子・200種類以上の単一遺伝子疾患の発症リスクを、妊婦さんの血液だけで調べられる出生前スクリーニング検査です。単一遺伝子疾患は家族歴がなくても起こりうる病気で、通常のNIPTでは対象にならない領域です。結果はあくまで非確定的なスクリーニング情報であり、確定には羊水検査などの精密検査が必要です。本検査は2026年9月以降、順次提供を開始する予定です。この記事では、単一遺伝子疾患の仕組みから、通常のNIPT・WES(エクソーム解析)・WGS(全ゲノム解析)との違い、費用や検査の流れ、限界と注意点まで、医師監修のもとで解説します。

この記事でわかること

  • 単一遺伝子疾患とは何か、通常のNIPTとの違い
  • NIPTy-MONOでわかること(155遺伝子・200種類以上の対象疾患)
  • 家族歴がなくても単一遺伝子疾患のリスクが生じる理由
  • WES(エクソーム解析)・WGS(全ゲノム解析)との違いと使い分け
  • 検査の流れ・対象となる方・費用
  • 検査の限界と注意点、よくあるご質問

赤ちゃんの健康について、染色体の数だけでなく「遺伝子一つひとつの変化」まで気になる、という声を耳にする機会が増えてきました。近年は、妊婦さんの血液を使った出生前スクリーニングの対象が、染色体レベルから遺伝子レベルへと広がりつつあります。

ヒロクリニックはこれまでに75,000件を超えるNIPT検査実績を積み重ねてきました(利用者満足度98.8%、2023年12月株式会社イージークラウド調べ)。この記事では、単一遺伝子疾患とは何か、NIPTy-MONOでわかること・わからないこと、検査の流れや費用まで、専門用語をかみ砕きながら医師監修のもとで解説します。私自身、外来で単一遺伝子疾患についてご説明する際は、まず「家族歴がなくても起こりうる病気」であることからお伝えするようにしています。不安をあおるためではなく、正しく知っていただくための一歩だと考えているからです。

単一遺伝子疾患とは?NIPTy-MONOと通常のNIPTの違い

そもそも「単一遺伝子疾患」とは

単一遺伝子疾患とは、一つの遺伝子の変化(バリアント)が原因で発症する病気の総称です。骨や軟骨の形成に関わる病気、心臓の構造に関わる病気、神経の発達に関わる病気など、種類は200を超えます。NIPTy-MONOで対象となる単一遺伝子疾患の多くは、両親のどちらか一方から受け継いだ遺伝子一つの変化だけで発症しうる「常染色体顕性遺伝」の形式を取ります。家族歴を問わず、誰にでも起こりうる病気。それが単一遺伝子疾患の特徴です。

単一遺伝子疾患(常染色体顕性遺伝)が伝わる仕組み 親(片方) 変化のある遺伝子1つ 親(もう片方) 変化なし 赤ちゃん 約50%の確率で継承 新生突然変異 両親に変化がなくても 赤ちゃんの代で新しく 生じることがある 単一遺伝子疾患は、親からの継承だけでなく赤ちゃんの代で新しく生じる場合もあります

「家系に同じ病気の人がいなければ安心」と思われがちですが、上図の新生突然変異のように、家族歴がないからといってリスクがゼロとは言い切れない点は知っておいていただきたい事実です。

通常のNIPTとの違い

通常のNIPTは、母体血中の胎児由来DNA(cfDNA)をもとに、13・18・21トリソミーなど「染色体の数の変化」を調べる非確定的検査です。NIPTy-MONOは、同じ妊婦さんの血液を使いながら、染色体の数ではなく「遺伝子一つひとつの変化」を評価する点が異なります。どちらも血液だけで完結する非確定的なスクリーニング検査という点は共通しています。

比較項目通常のNIPTNIPTy-MONO
調べる対象染色体の数の変化(13・18・21トリソミーなど)遺伝子一つひとつの変化(単一遺伝子疾患)
検体妊婦さんの血液(cfDNA)妊婦さんの血液(cfDNA)
対象疾患数主要な染色体異常155遺伝子・200種類以上
検査の性質非確定的検査(スクリーニング)非確定的検査(スクリーニング)
家族歴の有無結果に影響しない家族歴がなくても対象(新生突然変異を含む)

つまり、通常のNIPTとNIPTy-MONOは「どちらが優れているか」ではなく、調べる階層が異なる補完的な検査です。染色体の数は通常のNIPTで、遺伝子一つひとつの変化はNIPTy-MONOで、というように役割を分けて考えてください。NIPTの位置づけについては日本産科婦人科学会も情報を公開しています。

NIPTy-MONOでわかること(155遺伝子・200種類以上)

NIPTy-MONOでは、155遺伝子における200種類以上の単一遺伝子疾患について、発症リスクを評価します。対象となる疾患は、骨・軟骨系、神経系、心血管系など多岐にわたります。

対象疾患の例(骨・軟骨系/神経系/心血管系など)

下記の一覧表に含まれる疾患のうち、比較的よく知られているものを例に挙げます。詳しい説明は各疾患名のリンク先ページでもご覧いただけます。

  • 軟骨無形成症(原因遺伝子:FGFR3):骨・軟骨の成長に関わる疾患
  • マルファン症候群(原因遺伝子:FBN1):結合組織・心血管系に関わる疾患
  • 神経線維腫症1型(原因遺伝子:NF1):神経系に関わる疾患
  • ヌーナン症候群(原因遺伝子:PTPN11など):心臓・発達に関わる疾患
  • 結節性硬化症(原因遺伝子:TSC1/TSC2):神経系に関わる疾患

これらはあくまで一例で、NIPTy-MONOでは他にも多数の単一遺伝子疾患を評価対象としています。対象疾患をすべて確認したい方は、下記の一覧をご覧ください。疾患名をクリックすると、それぞれの解説ページに移動します。

対象疾患の一覧を見る(155遺伝子・200種類以上)

一覧の疾患名は英語の正式名称が中心ですが、日本語での通称がある疾患は日本語表記としています。ご自身やご家族に関わる可能性がある疾患名が見当たらない場合や、詳しく知りたい場合は、遺伝カウンセリングでご相談ください。

検査の仕組み(母体血由来DNAの解析)

1. 母体血由来のDNA(cfDNA)

母体血中に含まれる胎児由来DNA(cfDNA)を解析し、複数の染色体に関するリスクを推定するのが通常のNIPTの仕組みです。NIPTy-MONOでは、この同じ母体血由来のcfDNAを用いて、単一遺伝子疾患に関連する遺伝子の変化を評価します。

2. 単一遺伝子疾患のスクリーニング対象(常染色体顕性遺伝疾患)

NIPTy-MONOは、常染色体顕性遺伝疾患に関連する遺伝子の変化を評価します。これは診断ではなく、あくまで確率的なスクリーニング情報です。陽性であっても病気の発症が確定するわけではなく、陰性であってもすべてのリスクが否定されるわけではありません。

NIPTy-MONO 検査の流れ 採血 妊婦さんの血液 cfDNA抽出 胎児由来DNA 解析 155遺伝子 200疾患以上 遺伝 カウンセリング 結果報告 約3週間目安 ラボ到着後の目安期間です。個別の状況により前後する場合があります NIPTy-MONOは採血から結果報告まで一貫した流れで進みます

WES(エクソーム解析)・WGS(全ゲノム解析)との違い

NIPTy-MONOは妊婦さんの血液だけで完結する非確定的スクリーニング検査である点が、主に羊水を用いるWES・WGSとの大きな違いです。ヒロクリニックでは、単一遺伝子疾患に関する検査として、この3つの選択肢をご用意しています。

比較項目NIPTy-MONOWES(エクソーム解析)WGS(全ゲノム解析)
検体妊婦さんの血液主に羊水主に羊水
解析対象155遺伝子・200種類以上の単一遺伝子疾患エクソン領域(ゲノムの約1〜2%)の既知疾患遺伝子ゲノム全域(100%)
位置づけ非確定的なスクリーニング検査より詳細な原因を調べる精密検査未知の領域まで含む精密検査
受けられる時期妊娠初期から主に羊水検査が可能な時期以降主に羊水検査が可能な時期以降

NIPTy-MONOは血液だけで幅広くスクリーニングできる一方、確定的な情報を得るには至りません。超音波検査で気になる所見がある場合や、より詳しく原因を調べたい場合には、エクソーム解析(WES)全ゲノム解析(WGS)が選択肢になります。どちらが適しているかは、医師と相談しながら決めていただけます。

検査で調べる範囲の広がり 通常のNIPT NIPTy-MONO 155遺伝子 WES エクソン領域 WGS ゲノム全域 右にいくほど調べる範囲が広く、検体は血液から羊水に変わります NIPTy-MONOは血液で行う入口の検査で、より詳しく調べたい場合はWES・WGSが選択肢になります

対象となる方・検査の流れ

NIPTy-MONOは、通常のNIPTに加えて単一遺伝子疾患のリスクまで幅広く知っておきたい方を対象とした検査です。ご検討にあたっては、次のような流れで進みます。

  1. 事前相談
    • 検査内容の理解
    • 受検の目的や不安の共有
    • 医療機関・担当者の資格確認
    • 必ず遺伝カウンセリングを受ける
  2. 検体採取
    • 妊婦さん:血液採取
  3. 検査機関へ送付
  4. 解析
  5. 結果説明(ラボ到着後 約3週間目安)
    ・専門家による丁寧なフィードバック
    ・必要に応じた追加検査や相談
    ・心理的サポート・支援体制の確認

なお、NIPTy-MONOは2026年9月以降より順次検査可能となる予定です。開始時期の詳細や事前のご相談は、下記よりお問い合わせください。

検査の限界と注意点

NIPTy-MONOは非確定的なスクリーニング検査であり、確定診断ではありません。結果を正しく理解していただくために、あらかじめ知っておいていただきたい点をまとめます。検査の前に必要なのは、正確な情報と誠実な説明。

  • 確定診断ではない:陽性の場合でも病気の発症が確定するわけではありません。確定には羊水検査などの精密検査が必要です。
  • すべての単一遺伝子疾患が対象ではない:NIPTy-MONOで評価するのは155遺伝子・200種類以上の疾患に限られ、それ以外の単一遺伝子疾患や、遺伝子が関与しない病気は対象外です。
  • 陰性でも安心を保証するものではない:対象範囲外の変化や、現時点の医学で解明されていない原因による病気は、この検査だけでは見つけられません。
  • 提供開始前の検査である:NIPTy-MONOは2026年9月以降より順次検査可能となる予定です。精度に関する詳細データは、検査開始後にあらためてご案内します。

結果の解釈には医学的知識が必要です。誤解や不安を避けるためにも、臨床遺伝専門医・遺伝カウンセラーによる説明を必ず受けてください。検査不能となるケースについては判定不能と出る理由についての記事もあわせてご参照ください。

遺伝カウンセリングを受ける意味

NIPTy-MONOの結果は、検査報告書の数値や判定名だけを見て理解できるものではありません。専門の医師やカウンセラーとともに、その結果が家族にとって何を意味するのかを一緒に読み解いていく過程こそが、遺伝カウンセリングの本質です。

結果を「一人で」抱え込まないために

私が診療の場でお会いする患者様の中には、検査結果を受け取った直後、断片的な情報だけで結論を出そうとしてしまう方が少なくありません。専門知識のないまま結果を解釈すると、不必要な不安につながってしまうことがあります。遺伝カウンセリングでは、結果の医学的な意味だけでなく、その情報とどう向き合っていくかを一緒に考える時間を設けています。産婦人科専門医・小児科専門医・臨床遺伝専門医が連携する体制のもと、疑問や不安をその都度言葉にしていただける環境を大切にしています。ゲノム医療の研究・支援体制は日本医療研究開発機構(AMED)の情報も参考になります。

費用

NIPTy-MONOの費用は、税込330,000円(税抜300,000円)です。プランの選び方に迷う方は、まずプラン診断で概要を確認いただくのがおすすめです。

税抜税込
NIPTy-mono300,000円330,000円

結果の解釈には医学的知識が必要で、誤解や不安を避けるためにも、臨床遺伝専門医・遺伝カウンセラーによる説明を必ず受けてください。WES・WGSまで検討されている場合は、費用差も含めて比較しながらご案内しています。

よくあるご質問(FAQ)

Q. NIPTy-MONOはいつから受けられますか?

A. NIPTy-MONOは2026年9月以降より順次検査可能となる予定です。開始時期の最新情報や事前のご相談は、随時カウンセリングにて承っております。

Q. 通常のNIPTと何が違いますか?

A. 通常のNIPTは13・18・21トリソミーなど染色体の数の変化を調べる検査です。NIPTy-MONOは同じ血液を使いながら、染色体の数ではなく155遺伝子・200種類以上の単一遺伝子疾患に関わる遺伝子の変化を調べる点が異なります。

Q. 家族に同じ病気の人がいなくても、受ける意味はありますか?

A. あります。単一遺伝子疾患の変化には、両親のどちらからも受け継がず赤ちゃんの代で新しく生じる「新生突然変異」によるものも含まれます。家族歴がないからといって、リスクがゼロとは言い切れません。

Q. 結果はいつわかりますか?

A. ラボ到着後、約3週間を目安に結果をご報告する予定です。具体的な期間は検体の状態によって変わるため、カウンセリング時に個別にご案内します。

Q. NIPTy-MONOで変化が見つからなければ安心してよいですか?

A. NIPTy-MONOで対象とする155遺伝子・200種類以上の疾患に変化が見つからなかった場合でも、すべての病気の可能性が否定されたわけではありません。対象範囲外の疾患や、まだ解明されていない原因による病気は、この検査の対象外だからです。

Q. WES・WGSとの違いは何ですか?どちらを選べばいいですか?

A. NIPTy-MONOは血液だけで完結するスクリーニング検査です。より詳しく原因を調べたい場合や、超音波検査で気になる所見がある場合は、主に羊水を用いるエクソーム解析(WES)全ゲノム解析(WGS)が選択肢になります。どちらが適しているかは医師とご相談のうえ決めていただけます。

著者・監修

岡 博史(おか ひろし)/医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長・Labo Director(ラボディレクター)。慶應義塾大学医学部卒業後、日本と米国の医師国家試験に合格し、医学博士を取得。日本に約20人しかいないラボディレクター資格を保有。専門職大学の客員教員も務め、YouTube「ひろし先生の正しいエビデンス妊娠ch」などで、エビデンスにもとづく妊娠・出生前診断の情報を発信しています。参考:日本人類遺伝学会日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」難病情報センター、当院の編集・監修体制もご参照ください。

Q&A

  • Q
    父親のスワブ検体が必要なのはなぜですか?
    単一遺伝子疾患のスクリーニングでは、両親の遺伝情報の組み合わせが推定結果に影響する場合があります。父親のスワブを用いることで、 スクリーニングの精度向上が期待できます。採取は口腔内を軽くこするだけで、痛みはありません。
  • Q
    検査は妊娠のいつ頃に受けられますか?
    妊娠10週から行うことができます。
  • Q
    Verageneと通常のNIPTはどう違いますか?
    通常のNIPTは主に「染色体数の異常」に関するスクリーニングです。 Verageneはその仕組みに加えて、一部の単一遺伝子疾患のリスク推定が可能である点が異なります。
医師監修 監修日:2025年11月18日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。