ブライダルチェックとは?プレコンケアの費用目安

ブライダルチェックとは、将来の妊娠・出産に備えて心身の状態を確認しておく任意の健康診断で、結婚の有無にかかわらず受けられます。近年は国が推進する「プレコンセプションケア」という考え方の実践方法のひとつとしても位置づけられています。私自身、外来で「結婚前に一度調べておいたほうがいいですか」という質問を受けることが少なくありません。本コラムでは、検査の中身・費用の目安・受けるタイミング・受診の流れまでを、公的情報にもとづいて整理します。

この記事でわかること

  • ブライダルチェックとプレコンセプションケアの関係
  • 女性・男性それぞれが確認する主な検査項目
  • 費用の目安と保険適用の有無
  • 受けるタイミングと頻度の考え方
  • 申し込みから結果を受け取るまでの流れ

ブライダルチェックとは?プレコンセプションケアの実践のひとつ

ブライダルチェックは、妊娠・出産に影響しうる病気の有無や体の状態を、将来子どもを望むタイミングより前に確認しておく健康診断です。「結婚」を機に受ける方が多いことから広まった呼び方ですが、結婚の予定がなくても、将来的に妊娠を考えている方であれば誰でも対象になります。

こども家庭庁は、性別を問わず若いうちから性や妊娠に関する正しい知識を持ち、将来の妊娠・出産を見据えて自身の健康管理を行う取り組みを「プレコンセプションケア」と呼び、国の施策として推進しています。国立成育医療研究センターのプレコンセプションケアセンターでも、妊娠前の健診とカウンセリングを組み合わせた「プレコンチェック」が提供されており、ブライダルチェックはこうした取り組みの入り口といえるでしょう。

大切なのは、妊娠に向けた準備は女性だけの課題ではないという視点です。パートナーがいる場合は、男女がそれぞれ自身の体の状態を把握し合うことが、安心して妊娠・出産に臨むための共同作業になります。

なぜ受けるのか|ブライダルチェックの意義とメリット

ブライダルチェックの意義は、妊娠・出産に影響する可能性のある病気や体の状態を早期に把握し、必要なら妊娠前に対応する時間を確保できる点にあります。症状がないまま進行する病気や感染症も少なくないため、事前の確認そのものに価値があります。

子宮筋腫や子宮内膜症、卵巣のう腫といった婦人科系の病気は、不妊の原因になったり妊娠中の合併症につながったりすることがあります。貧血や甲状腺機能の異常も、妊娠経過に影響しうる項目です。こうした病気は自覚症状に乏しいことも多く、婦人科健診の機会がなければ気づかないまま過ごしてしまう方も見受けられます。

性感染症は無症状で経過することがあり、気づかないうちにパートナーへ感染させたり、妊娠・出産時に赤ちゃんへ感染したりするリスクがあります。風疹も見過ごせない項目のひとつです。妊娠初期に風疹へ感染すると、赤ちゃんに先天性風疹症候群を引き起こすリスクが高まることが、国の感染症サーベイランスでも報告されています。抗体が十分でない場合はワクチン接種を検討でき、接種後は一定期間の避妊が必要になるため、早めの確認が安心につながります。

検査だけでなく、体づくりの準備を早めに始められる点もメリットのひとつです。厚生労働省は、妊娠を計画している女性に対し、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のため妊娠の1ヶ月以上前から葉酸を1日400マイクログラム摂取することが望ましいとしています。ブライダルチェックの受診をきっかけに、こうした栄養面の準備を医師や管理栄養士に相談できるのも利点といえるでしょう。

検査項目|女性・男性それぞれで確認する内容

検査項目は医療機関によって幅がありますが、感染症・ホルモン・生殖器の状態を軸に、女性・男性それぞれに応じた項目で構成されるのが一般的です。性別で優劣がある検査ではなく、体の構造上確認できる部位が異なるだけ。そう理解しておくとよいでしょう。

分類女性が確認する主な項目
問診月経周期、既往歴、アレルギーなど
超音波検査子宮・卵巣の形や大きさ、筋腫や卵巣のう腫の有無
子宮頸がん検査子宮頸部の細胞を採取し、がん細胞の有無を確認
血液検査貧血、血糖値、甲状腺ホルモン、女性ホルモン(FSH・LH・E2・PRLなど)、AMH(卵巣予備能の目安)
感染症検査クラミジア、淋菌、梅毒、HIV、B型・C型肝炎、風疹抗体など
分類男性が確認する主な項目
問診既往歴、生活習慣、性感染症の既往など
血液検査ホルモン値、感染症抗体など
感染症検査クラミジア、淋菌、梅毒、HIV、B型・C型肝炎など
精液検査精子の数・運動率・形態などを調べ、男性側の要因を確認

不妊の原因は女性側・男性側のどちらか一方に偏るものではありません。不妊の原因についての解説記事でも触れているとおり、原因が確認できないケースを含め要因は多岐にわたります。精液検査を含む男性側の検査も、女性側の検査と同じくらい妊娠準備の一部として受け止めることが大切です。男性の妊活について具体的に知りたい方は妊活で男性がやるべきことの記事もあわせてご覧ください。

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費用の目安と保険適用の有無

ブライダルチェックは病気の治療を目的とした検査ではないため、多くの場合は自由診療となり、公的医療保険は適用されません。費用は医療機関や検査項目の組み合わせによって大きく異なるため、事前に料金表で確認しておくと安心です。

一般的には、問診と一部の血液検査を中心にした基本的なプランが比較的安価に設定され、性感染症・ホルモン・超音波検査までを含む標準的なプランはやや費用が上がり、精液検査や卵巣予備能検査、保因者スクリーニングまで検査項目を広げた詳細なプランはさらに費用が高くなる傾向があります。金額の幅は医療機関ごとに差が大きいため、この記事の数字を鵜呑みにせず、受診先の料金表と照らし合わせてください。

お住まいの自治体によっては、妊娠前の健康チェックに関する費用助成の制度を設けている場合があります。該当するかどうかは、自治体の保健センターや母子保健の窓口に問い合わせて確認してください。

受けるタイミング|いつ、どのくらいの間隔で

ブライダルチェックは、妊活を始める前や結婚前後など「妊娠を意識し始めたとき」がひとつの目安になります。特定のイベントを待つ必要はなく、大切なのは意識し始めたタイミングという一点。

  • 結婚前・婚約時:体の状態を知る機会として
  • 妊活を始める前:治療が必要な病気が見つかっても対応する時間を確保できる
  • パートナーが変わったとき:性感染症の確認のため
  • 30歳前後以降:妊娠率の変化を見据えた体の状態把握のため

風疹ワクチンの接種が必要と分かった場合、接種後は2ヶ月程度の避妊期間が必要になります。妊活の開始時期から逆算し、余裕を持って受診するほうが後の予定を立てやすくなります。妊活中の食事や生活習慣についての記事もあわせて確認しておくと、検査結果を踏まえた体づくりに役立ちます。

受診の流れ|申し込みから結果を受け取るまで

受診の流れは、①医療機関選び・②予約・③問診と検査・④結果説明の4段階が基本です。初めての受診でも、順を追えば迷うことは少ないはずです。

  1. 産婦人科・レディースクリニック・泌尿器科などから、検査項目とプラン内容を比較して医療機関を選ぶ
  2. 電話やWebで予約し、生理周期に合わせた受診日を相談する(一部の検査は生理周期の影響を受けるため)
  3. 当日は問診票の記入、内診・超音波検査、採血などを受ける(男性は問診と採血、精液検査は別途容器で提出することが多い)
  4. 後日、医師から結果の説明を受け、必要に応じて追加の受診や生活面のアドバイスを受ける

予約時には、直近の月経開始日や既往歴、現在服用中の薬の有無を伝えておくと、当日の案内がスムーズです。パートナーと一緒に受診する場合は、同日の同時間帯で予約できるか、事前に確認しておくとよいでしょう。医療機関によっては、女性と男性で診療科そのものが分かれていることもあり、女性は産婦人科・レディースクリニック、男性は泌尿器科や男性外来で受けるケースもあります。

結果に気になる点があった場合も、慌てる必要はありません。多くの項目は治療や生活習慣の見直しで対応できます。「知らずに妊娠して慌てる」より「知ったうえで準備する」ほうが、選べる選択肢は確実に増えます。私が担当した患者さんの中にも、ブライダルチェックで見つかった軽度の甲状腺機能異常を先に整えてから妊活を再開し、落ち着いて経過を追えたという方がいました。

妊娠が確認されたあとの検査については、出生前検査についての解説記事で詳しく取り上げています。ブライダルチェックが妊娠前の準備であるのに対し、出生前検査は妊娠成立後に胎児の状態を確認する検査であり、目的とタイミングが異なる点を押さえておいてください。

出典:こども家庭庁「はじめようプレコンセプションケア」国立成育医療研究センター プレコンセプションケアセンター国立健康危機管理研究機構「風疹 発生動向調査」厚生労働省「性感染症」厚生労働省「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための葉酸の摂取について」

よくある質問(FAQ)

Q. ブライダルチェックは結婚していなくても受けられますか?

受けられます。結婚を機に受ける方が多いために広まった呼び方で、将来的に妊娠を考えている方であれば独身でもパートナーの有無にかかわらず対象です。

Q. ブライダルチェックとプレコンセプションケアは同じものですか?

完全に同じ言葉ではありません。プレコンセプションケアは性別を問わず妊娠前から健康管理に取り組む考え方全体を指し、ブライダルチェックはその実践方法のひとつである健康診断にあたります。

Q. ブライダルチェックの費用に保険は使えますか?

病気の治療目的ではないため、多くの場合は自由診療で保険は適用されません。費用は医療機関や検査項目の組み合わせで異なるため、受診前に料金表を確認してください。

Q. 男性も検査を受ける必要がありますか?

受けることが望まれます。不妊の原因は女性側・男性側のどちらか一方に偏るものではなく、精液検査を含む男性側の確認も妊娠準備の一部です。

Q. ブライダルチェックはいつ受けるのがよいですか?

結婚前後や妊活を始める前が目安です。風疹ワクチン接種が必要になった場合は接種後2ヶ月程度の避妊期間が必要になるため、余裕を持った受診が安心につながります。

Q. NIPT(出生前診断)とブライダルチェックはどう違いますか?

ブライダルチェックは妊娠前に自身の体の状態を確認する検査です。一方でNIPTは妊娠が成立したあとに、胎児の染色体の状態を調べる非確定的な検査で、目的も受けるタイミングも異なります。

まとめ:知ったうえで準備する、という選択

結婚の有無を問わず、妊娠・出産に備えて心身の状態を確認できる健康診断、それがブライダルチェックです。国が進めるプレコンセプションケアの実践として、女性だけでなく男性も含めた検査項目が用意されています。費用は自由診療が基本で医療機関ごとに幅があるため、事前確認が欠かせません。

  • ブライダルチェックはプレコンセプションケアの実践方法のひとつ
  • 女性は超音波・子宮頸がん検査・ホルモン値・AMHなど、男性は精液検査を含むホルモン・感染症検査が中心
  • 自由診療が基本で費用は医療機関ごとに幅があり、事前の料金確認が必須
  • 妊活を始める前や結婚前後が受診の目安、風疹ワクチンが必要な場合は避妊期間を考慮

まずは信頼できる産婦人科やレディースクリニックに問い合わせ、検査項目と費用を確認するところから始めてください。妊娠が確認されたあとの検査や生活面の疑問があれば、あわせて専門医に相談しながら進めていきましょう。

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医師監修 監修日:2025年8月15日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。