隠れバニシングツインとNIPTの関係【医師監修】

隠れバニシングツイン

Vanishing Twin(バニシングツイン)は、症例によっては、双胎児であるにもかかわらず単胎児と診断されていることがあり、この状態を「隠れVanishing Twin」と定義します。「隠れVanishing Twin」では、NIPTの検査結果に影響が出ることがあります。

NIPTでダウン症以外の疾患も検査できるって本当?
検査費用をチェック

NIPTでダウン症以外の疾患も検査できるって本当?
検査費用をチェック

この記事のまとめ

「隠れバニシングツイン」とは、双子だと気づかれないまま片方の胎児が妊娠初期に消失する現象です。そのまま単胎妊娠として経過が進みます。超音波検査の時期によっては、双胎の存在自体が確認できません。母体血中には、消失した胎児のDNAが一定期間残ることがあります。NIPT(新型出生前診断)は母体血中のDNA断片を分析する検査のため、この残存DNAを拾い上げてしまい、結果に影響する可能性があります。気になる結果が出た場合は自己判断せず、遺伝カウンセリングや確定検査で状況を確かめてください。

この記事でわかること

  • 「隠れバニシングツイン」の定義と、通常のバニシングツインとの違い
  • 超音波検査で双子だと気づかれにくい理由と時期
  • NIPT(新型出生前診断)の結果に影響する仕組みと、偽陽性の考え方
  • 陽性判定が出たときに確認すべきことと、確定検査との関係
  • 検査前に伝えておきたいことと、気持ちとの向き合い方

「単胎妊娠のはずなのに、NIPTの結果に納得できない」。そう感じて調べているうちに「隠れバニシングツイン」という言葉にたどり着いた方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、産科・遺伝の専門クリニックの視点から解説します。双子だと気づかれないまま胎児が消失する「隠れバニシングツイン」の仕組みと、NIPT(新型出生前診断)への影響を整理しました。陽性反応が出たときの向き合い方まで、根拠とともにお伝えします。

「隠れバニシングツイン」とは?双子と気づかれないまま起こる現象

「隠れバニシングツイン」とは、妊娠のごく初期に双胎の一方が消失する現象です。超音波検査で双子と診断される前に、単胎妊娠として扱われてしまうケースを指します。

通常のバニシングツイン(双胎一児死亡)は、妊婦健診で双子と診断されたあとに判明します。健診を重ねる中で、片方の心拍が確認できなくなるためです。一方「隠れバニシングツイン」は、双子だったという事実そのものが医療記録に残りません。ここが、通常のバニシングツインとの大きな違い。

私自身、外来で「まさか双子だったとは思っていませんでした」と驚かれる方に、これまで何度もお会いしてきました。多くの場合、症状も自覚もないまま経過します。NIPTの結果や偶発的な検査をきっかけに、初めて可能性を知ることになるのです。

実際に双子を妊娠された方のSNS投稿でも、妊娠期間を通してバニシングツインへの不安を抱えていたという声が見られます。@twins_dttdtfさんは「バニシングツイン、成長に差が出る、高血圧、早産になる」など、双子だからこその不安が最初からあったと綴っています。それでも無事に臨月を迎えられたことへの感謝をつづっていました。双子とわかっているだけでも不安は大きいものです。まして気づかないまま経過する「隠れ」のケースは、なおさら受け止めにくいものでしょう。

バニシングツインってなに?双子の妊娠で知っておきたいこと【医師監修】
双子の片方が消えたように見える「バニシングツイン」。双子の妊娠では珍しくない現象ですが、突然告げられるとショックを受けることでしょう。バニシ...

なぜ「隠れ」たまま見過ごされるのか

妊娠5〜7週ごろは胎児が非常に小さく、超音波検査で確認しづらい時期があります。そのため、双子であることに気づかれないまま経過することがあるのです。

妊娠初期の超音波検査は、見え方が大きく変わります。腹部の状態や胎児の位置、検査を受けるタイミングによって左右されるためです。片方の胎嚢がとても小さい場合や、すでに縮小が始まっている場合は、通常の健診で見落とされることがあります。

心拍が確認できる前の、非常に早い週数で片方が消失する場合もあります。この場合、双子だった痕跡はほとんど残りません。健診の間隔が空いていたり、最初の受診が妊娠8週以降だったりすると、そもそも双胎の時期を捉えられないことがあります。

早期の超音波検査が発見の鍵になる

双胎の存在を早い段階で確認できれば、その後の経過観察がしやすくなります。妊娠6〜7週ごろに一度でも超音波検査を受けていると、たとえ片方が消失していても記録として残るケースが多いためです。

受診のタイミングは、体調やライフスタイルによって前後することもあるでしょう。それ自体は責められることではありません。ただ、双胎の可能性を念頭に置いた早めの受診は、あとになって大切な判断材料になるもの。知っておいて損はないでしょう。

「隠れバニシングツイン」はどのくらいの頻度で起こるのか

双胎妊娠のうち約10〜15%にバニシングツインが起こるとされています。早期の超音波検査を受けなければ、「隠れ」たまま単胎妊娠として扱われるケースも一定数あると考えられます。

日本における双胎妊娠そのものの頻度は、全妊娠の約1%です。そのうち10〜15%でバニシングツインが起こるため、単純計算では全妊娠の0.1〜0.15%ほどが該当します。ただし、これは診断された双胎妊娠を分母にした数字です。

ごく早い週数に片方が消失し、超音波検査で確認されなかった「隠れ」のケースがあります。こうしたケースは、統計に含まれにくいという性質があります。そのため、実際の発生頻度は、公表されている数字より多い可能性があると考えられています。

指標目安の頻度備考
双胎妊娠の頻度全妊娠の約1%生殖医療の広がりで増加傾向
双胎妊娠中のバニシングツイン約10〜15%早期の超音波検査で診断された場合の目安
「隠れ」たまま経過するケース正確な統計は未確立早期受診がないと記録に残りにくい

体外受精など不妊治療の広がりにより、多胎妊娠の機会そのものが増えています。国立成育医療研究センターの多胎妊娠外来でも、多胎特有の経過観察が丁寧に説明されています。多胎が増えれば、気づかれないまま起こる「隠れ」のケースも、相対的に増えていくと考えられます。

双胎に関するより詳しい統計は、日本多胎支援協会の資料も参考になります。

「隠れバニシングツイン」がNIPTの結果に与える影響

消失した胎児のDNAが、母体血中に一定期間残ることがあります。それがNIPT(新型出生前診断)の結果に影響し、偽陽性の一因になる可能性があります。

NIPTの仕組みは、母体の血液中を流れる胎児由来のDNA断片(cfDNA)を分析するというものです。双子だったことに気づかれないまま片方が消失していた場合、状況はやや複雑になります。残された赤ちゃんのDNAだけでなく、消失した胎児のDNAも一緒に血液中を流れていることがあるからです。

消失した胎児に染色体異常があった場合を考えてみましょう。そのDNA断片を検査が拾い上げてしまうことがあります。すると、残された赤ちゃんには問題がなくても、陽性という判定が出ることがあります。これがNIPTにおける「偽陽性」の代表的な原因のひとつです。

海外の研究が示す傾向

海外の学術誌に掲載された研究があります。バニシングツインを伴う妊娠のNIPT結果は、単胎妊娠に比べて偽陽性が生じやすいと報告されています。ある比較研究では、妊娠13週以前に受検した場合の偽陽性率が約2.6%でした。14週以降では約0.8%まで下がったとされています。

数字は研究ごとに幅があります。国や検査手法によっても条件が異なるため、あくまで一つの目安として捉えてください。時期による違いがあるという傾向だけを、頭に入れておくとよいでしょう。詳しい解釈は陽性的中率と精度の記事もあわせてご覧ください。

受検の時期偽陽性の傾向(海外の一研究)考え方
妊娠13週以前高くなりやすい消失した胎児のDNAが残りやすい時期
妊娠14週以降低くなる傾向消失した胎児のDNAが減少していく

結果が陽性だった場合でも、慌てて自己判断する必要はありません。医療機関に相談すれば、時期や経過をふまえた説明を受けられます。

NIPTで陽性反応が出たときの対応

NIPTの結果は非確定的検査です。陽性反応が出た場合は、羊水検査などの確定検査と、遺伝カウンセリングで状況を整理することが大切です。

NIPTは精度の高いスクリーニング検査ですが、それだけで診断を確定するものではありません。とくに「隠れバニシングツイン」の可能性がある場合、確定検査の意味はより大きくなります。羊水検査は残された赤ちゃんの細胞を直接調べます。消失した胎児のDNAの影響を受けにくいという特徴があります。詳しくはNIPTと羊水検査の関係をまとめた記事をご参照ください。

陽性判定のあとに、超音波検査を振り返ることもあります。初期の記録に双胎を示す所見がなかったかを確認するためです。記録が残っていなくても、経過や症状の聞き取りから可能性を検討できる場合があります。思い当たることがあれば、担当医に伝えてください。

ヒロクリニックの対応

一般的なNIPTでは「バニシングツインの既往がある場合は検査不可」と案内する医療機関もあります。消失児のDNAが影響しうるためです。ヒロクリニックでは、経過を確認したうえで、隠れバニシングツインの可能性が疑われる方の受検についてもご相談を承っています。

検査は国内の検査機関(東京衛生検査所)で解析するため、最短2〜5日で結果をお伝えできます。21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー13トリソミーなど、対象疾患を限定した非確定的検査です。残された赤ちゃんのリスクを確認する材料になります。判定が難しい状況ほど、専門的な説明とあわせて検討する必要があります。

よくある質問
皆様からよくいただく質問をまとめました。NIPTについて安心して検査を受けられるよう、皆様の疑問にお答えいたします。...

検査を受ける前に備えておきたいこと

双胎妊娠の可能性は、NIPTを受ける前に必ず医療機関へ伝えてください。過去の超音波検査の記録があれば、あわせて伝えましょう。

初診の時期が遅かった方や、健診の間隔が空いていた方は、双胎だったかどうかを自分では判断しづらいものです。それでも、思い当たる点があれば遠慮せず申告してください。情報が共有されているだけで、結果の解釈や追加検査の判断が的確になります。

  • 妊娠初期の超音波検査を受けた時期と、その際の所見
  • 不妊治療(体外受精・排卵誘発剤など)の有無
  • 出血や下腹部痛など、気になる症状があった時期
  • これまでの妊娠・出産歴

検査プランは、対象疾患の範囲によって選択肢が分かれます。ご自身の状況に合わせて、事前に確認しておくと安心です。

非公開: N-Scanプラン一覧
ヒロクリニックNIPTのN-スキャンプラン。最先端の非侵襲性胎児染色体異常検査で、妊娠初期の不安を解消し、安心のマタニティライフをサポートし...
非公開: N-Guardプラン一覧
ヒロクリニックNIPTのN-ガードプラン。先進の非侵襲性検査で妊娠中の不安を軽減し、母子の健康を守るための最良の選択をご提案。...
非公開: N-Advanceプラン一覧
ヒロクリニックNIPTのN-Advanceプランは、総合的なケアとサポートで妊娠期間中の不安を軽減。信頼できる検査サービスを提供します。...

「隠れバニシングツイン」だったとわかったときの気持ちとの向き合い方

気づかないまま双子の片方を失っていたと知ることは、大きな衝撃を伴います。それでも、母体や生まれてくる赤ちゃんへの医学的な悪影響は、基本的にありません。

「双子だったなんて知らなかった」という事実を、後から知らされることがあります。想像以上に受け止めにくいものです。喜びと同時に、気づけなかったことへの戸惑いや、静かな喪失感を抱く方も少なくありません。

診療の場では、時間をかけて気持ちを整理される方を数多く見てきました。すぐに答えを出そうとせず、ご自身のペースで受け止めていくこと。それも、大切な向き合い方のひとつ。

母体への影響についても触れておきます。妊娠初期に消失した胎児組織は子宮に吸収されるため、身体的な負担はほとんど残りません。残された赤ちゃんの発育についても、単胎妊娠と変わらず育つケースが大半です。あわせて流産についての記事も、気持ちの整理の助けになるはずです。

気持ちの整理に時間がかかる場合は、一人で抱え込まないでください。こども家庭庁は、流産・死産等を経験した方向けの相談窓口一覧を公表しています。助産師や臨床心理士に相談できる窓口が、都道府県ごとに紹介されています。担当医だけでなく、こうした窓口にも相談できるという選択肢を、心に留めておいてください。

\隠れバニシングツインの可能性がある方もご相談ください/
他院でNIPTを断られた方も、まずはヒロクリニックへ。国内の検査機関(東京衛生検査所)による解析で、お腹の赤ちゃんの状態を確認する材料をお届けします。

「隠れバニシングツイン」に関するよくある質問

診察室でよくいただく質問を、Q&A形式でまとめました。気になる項目からご覧ください。

Q. 「隠れバニシングツイン」と通常のバニシングツインは何が違いますか?

A. 通常のバニシングツインは、双子と診断されたあとに片方の消失が確認されます。「隠れバニシングツイン」は、双子だったこと自体が確認されないまま、単胎妊娠として経過してしまう点が異なります。

Q. なぜ超音波検査で双子だと気づかれないことがあるのですか?

A. 妊娠5〜7週ごろは胎児が非常に小さく、心拍が確認できる前の段階で消失すると、痕跡がほとんど残りません。健診の受診時期や間隔によっても、双胎の存在を確認できるかどうかが左右されます。

Q. 「隠れバニシングツイン」があるとNIPTの結果にどう影響しますか?

A. 消失した胎児のDNAが、母体血中に一定期間残ることがあります。そのDNAをNIPTが拾い上げると、偽陽性につながる可能性があります。海外の研究では、受検時期が早いほど偽陽性が生じやすい傾向も報告されています。

Q. NIPTで陽性判定が出た後、隠れバニシングツインの可能性はどう確認しますか?

A. 初期の超音波検査の記録を振り返るほか、症状や経過の聞き取りから可能性を検討できる場合があります。確定的な診断のためには、羊水検査などの確定検査が必要です。気になる点は担当医に伝えてください。

Q. 隠れバニシングツインの既往が疑われても、NIPTは受けられますか?

A. 経過を確認したうえで受検を検討できます。ヒロクリニックでは、判定が難しい状況についても、専門的な説明とともにご相談を承っています。他院で断られた場合も、まずはご相談ください。

Q. 「隠れバニシングツイン」だったとわかったとき、どう気持ちを整理すればよいですか?

A. すぐに答えを出そうとせず、ご自身のペースで受け止めていくことが大切です。母体や残された赤ちゃんへの医学的な悪影響は、基本的にありません。気持ちの整理が難しいときは、こども家庭庁の相談窓口一覧など、専門の相談先も活用してください。

監修者

岡 博史(おか ひろし)
医療法人社団福美会 ヒロクリニック統括院長 / ラボディレクター

岡山県出身。慶應義塾大学医学部を卒業後、日本とアメリカの医師国家試験に合格。臨床研修後2年で医学博士を取得しました。専門職大学の客員教員を務め、日本に約20人ほどしかいないラボディレクター資格を保有しています。世界最高峰のNIPT提供を目指し、産婦人科・小児科・臨床遺伝の専門医と連携した診療体制を整えています。

【参考文献】

関連記事

Vanishing Twin(バニシングツイン)は、症例によっては、双胎児であるにもかかわらず単胎児と診断されていることがあり、この状態を「隠れVanishing Twin」と定義します。「隠れVanishing Twin」では、NIPTの検査結果に影響が出ることがあります。

NIPT(出生前診断)について詳しく見る

NIPT(出生前診断)について詳しく見る

医師監修 監修日:2023年4月6日
岡 博史 (医師・医学博士/ヒロクリニック統括院長)

日本皮膚科学会 皮膚科専門医/日本医師会 産業医/東京衛生検査所 指導監督医

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2023年4月6日
花澤 司 (医師/ヒロクリニック大宮駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

医師監修 監修日:2023年4月6日
陽川 英仁 (医師・医学博士/ヒロクリニック大阪駅前院 院長)

日本産科婦人科学会 産婦人科専門医/産婦人科(NIPT・出生前診断)

この記事は、 ヒロクリニックNIPTの編集・監修体制 にもとづき、資格を持つ医師が内容を確認しています。

参考文献

  1. Curnow KJ, Wilkins-Haug L, Ryan A, Killion AL, Hall MP, Gross SJ, et al. Detection of triploidy, reciprocal subchromosomal abnormalities, and "vanishing twins" in noninvasive prenatal testing. Am J Obstet Gynecol. 2015 Jun;212(6):790.e1-9.
  2. Gromminger S, Erkan S, Schöck U, Stangier K, Bonnet J, Schuler S, et al. Mind the gap: detection of vanishing twin pregnancies by next-generation sequencing-based non-invasive prenatal testing. Prenat Diagn. 2014 Dec;34(12):1224-9.
  3. Futch T, Spinosa J, Bhatt S, de Feo E, Wetzel AM, Jones RT, et al. Vanishing twin: a cause of discordant noninvasive prenatal testing (NIPT) results. Prenat Diagn. 2013 Oct;33(10):1013-4.
  4. Niles KM, Murji A, Barrett J, Shannon P, Chitayat D. Noninvasive Prenatal Testing (NIPT) in Vanishing Twin Pregnancies. J Obstet Gynaecol Can. 2020 Jan;42(1):49-54.
  5. Hochstenbach R, Elferink MG, van Zon PH, de Pater JM, Page-Christiaens GC, Schuring-Blom GH. Vanishing twins in non-invasive prenatal testing (NIPT): a source of false-positive results. Eur J Hum Genet. 2015;23(Suppl 1):E-Vol.

関連記事

  1. 遺伝子
  2. NIPT ヒロクリニックの利点と欠点
  3. NIPT ヒロクリニックについて
  4. NIPT ヒロクリニックについて
  5. NIPT ヒロクリニックの比較
  6. NIPT DNA鑑定